「人手不足なのになぜ賃金が上がらないのか」から4年が経ちました。
JLさんのスレを読んでいて思い出したのが『人手不足なのになぜ賃金が上がらないのか』。失業率2%台という世界でも稀な需給逼迫状況なのに賃金が上がらず、逆に日本の数倍の失業率の欧米では賃金が上がるのはなぜなのか。経済理論に反するような現象の仕組みを10人以上の経済学者が分析した本です。1/n https://t.co/ZP8KH7BfSL pic.twitter.com/q5f1yXqrOY
— 中田:‖ (@paddy_joy) 2021年10月20日
理由の一つは「賃金の下方硬直性がもたらす上方硬直性」、つまり日本では"賃下げ"が難しいからこそ、好景気になっても「不景気になった時に賃下げできない」という理由で賃上げに踏み切れないという傾向です。逆に賃下げを断行できた会社は好景気には賃上げしているという面白いデータがあります。2/n
— 中田:‖ (@paddy_joy) 2021年10月20日
哀しいのは「就職氷河期の影響」という側面。年齢別で2010年以降の賃金上昇率を見ると、大卒では1970年代生まれの男性だけが突出して賃金が下がっており、他の年代はちゃんと上がっていることがわかります。氷河期世代はまさに「賃金が低くても辞めない」という状態に置かれています。3/n
— 中田:‖ (@paddy_joy) 2021年10月20日
他に説得力があるのは「高齢者と女性による弾力的な労働供給」。20世紀までは就労することが少なかった高齢者や既婚女性が、21世紀になってから急速に就労率が伸び(これ自体は良いこと)、わずかに賃金を上げるだけで十分な労働力が供給される状況にあることが実証されています。4/n
— 中田:‖ (@paddy_joy) 2021年10月20日
他に説得力があるのは「高齢者と女性による弾力的な労働供給」。20世紀までは就労することが少なかった高齢者や既婚女性が、21世紀になってから急速に就労率が伸び(これ自体は良いこと)、わずかに賃金を上げるだけで十分な労働力が供給される状況にあることが実証されています。4/n
— 中田:‖ (@paddy_joy) 2021年10月20日
つまり労働力不足は非正規雇用である程度は補えてしまえるが故に、正規雇用の給与も上がりにくかったという構造が浮かび上がります。これは潜在的に失業していた高齢者や既婚女性に対する正社員からの所得移転とも言え、給与「総額」自体は2010年から順調に伸びていることからも窺えます。5/n
— 中田:‖ (@paddy_joy) 2021年10月20日
面白かったのは「実は賃金は伸びている」という論考。上記の「氷河期以外は伸びている」という側面の他、「労働時間は年々減っているから時間当たり賃金は実は伸びている」とか、「継続して就労している人をトラッキングすれば1990年代以降は毎年3-4%ずつ賃金は伸びている」という話もあります。6/n
— 中田:‖ (@paddy_joy) 2021年10月20日
等々、様々な角度からの分析があり、中には「そうは言ってもこれから賃金は上がる可能性はある」としている学者もいるのですが、本書が出版されてから4年経っても状況は変わらないので、やはり本書の大宗の学者の通り構造的に賃金は上がりにくいのだと思わせます。7/nhttps://t.co/679BGZ1vZL
— 中田:‖ (@paddy_joy) 2021年10月20日
ようやく円安由来のコストアップインフレやTSMCの進出に押される形で給料を上げる企業が出てきましたね。
www.itmedia.co.jp
www3.nhk.or.jp
www3.nhk.or.jp
新党くにもりがまたクソマンガを流してた
こうした状況に対して「新党くにもり関係者と思しき人」が、またしてもマンガでデマを流しました。
togetter.com
この政党関係者がマンガでデマを流すのは「インボイス」「税金の仕組み」に続いて3度目です。もう知識がないだけで悪気はないとみなすことは無理でしょう。意図的にこういうマンガを作って流していると判断せざるを得ません。今後もやらかしそうな気がするので、面倒だけどその都度ちゃんと「こいつらは信用できない集団です。こいつらの漫画に騙されるのは恥ずかしので気を付けよう」って言い続けないと……。
www.tyoshiki.com
新党くにもりは、超定期金利時代が終わったのにいまだにMMT理論に固執しているようなイデオロギーゴリゴリ集団なので、今後もこういうノリの漫画を見かけたら「また新党くにもりのプロパガンダか」くらいに疑ってかかるようにしてほしいです。
ある時に配当出しすぎて問題になったアマダとか、青山商事のような事例を出して具体的に語るならともかく、中途半端な知識で、実際に投資やってる人間が見る可能性があるtwitterでこういうイカサマを堂々と開示してくるのは、さすがに人をなめすぎてて不愉快です。
この漫画に騙される人は反ワクとかその他のデマにも騙されてる可能性があるから十分気を付けましょう
こういう行為は本当にタチが悪いので騙されないように自衛として最低限の知識を身に着ける必要があるし、そういう知識を身に着けるつもりがないなら、こういう話題に近づかないほうが良いと思います。
たとえばTwitterでしばしばバズる「保育士の給料が安すぎる!」論ですが、試しに上場している保育園の事業を見てみれば、配当しないことによる給料のアップサイドがわかります。たとえばJPホールディングスであれば臨時職員あわせて6,400人の職員の会社で配当額は4億円ですから、この4億円を株主に還元せずに全従業員に還元したとしても一人当たり年収はわずか6万円しか上がりません。「配当のせいで給料が上がらないんだ」論者が求めているのはわずか6万円の年収アップなのでしょうか?他国に全く追いつけないので私はもっと給料を上げる方法を考えた方が良いと思います
「賃金上げろ」「内部留保吐き出せ」って言ってた人たちは、「賃上げが当たり前の社会は労働者にとって今よりずっとしんどい競争にさらされる社会である」という当たり前の話とこれから向き合っていくことになると思う
ようやく「デフレ脱却」と「賃上げ」のにらみ合いにおいて、強制的なインフレが起きた後に賃上げ議論が活発化したということになります。「物価上昇」「インフレ」が起き始めた瞬間にこれほどまでに賃上げ要求が強くなるのだから、やはりマイルドなインフレを保つというのはすごく大事なんだなってのを目の当たりにしてますね……。
ゆるやかなインフレが常に続く場合、(預金金利がインフレ率を上回ることは考えられないため)貯蓄するだけだと資産の価値が減っていきます。ちゃんと働いて賃上げを要求し、賃上げをしない企業からは逃げて別の企業に行く。そういう行動が当たり前になってくると企業も賃上げをせざるをえない。
他の国が、常に続くインフレ状況下で「金利やインフレに負けないペースで成長しなければ淘汰される」という環境で戦っていたのに対して我々は30年続いたデフレと超低金利政策のおかげで「給料が上がらなくてもなんとか食っていける」「自分の会社が成長しなくても会社はつぶれないだろう」というマインドになっていた。
日本だけは他の国と比べて「金利・インフレが前提の資本主義」のプレッシャーから守られていたと言えます。先進国の中で唯一、ガツガツしなくても生きていける「他の国と比べたら優しい環境」に守られていた。
これからは、賃金は上がっていくかもしれませんが、その代わりに成長しない企業はジワジワと淘汰されていくでしょう。そんな中で生きていくためには労働者の行動とか考え方自体が変わる必要が出てくるんだろうなと思います。
仮に、これからも継続的に賃金が上がっていく社会になった場合賃金は上がっていくかもしれませんが、企業だけじゃなくて労働者も淘汰が始まります。成長のためには使えない人を切り捨てる必要性が高まります。
今まで頑張ってたけど給料が上がらなかったという人は報われますが、そういう人ははてブなんかやってないと思うんですよね…。昼間からはてブをやってるような我々が今後も生き残れるかどうかはわかりません。高い賃金がほしければ今以上の生産性・成果が求められる。「内部留保はきださせてやったぜヤッター」みたいにプラスの面しかないと思ってた人は、その時になってから「前の給料上がらないけどぬるま湯の方がよかった」と言い出さないように頑張りましょう。
id:kakaku01 バブル期の激烈な賃金上昇の間にすさまじい淘汰が発生していたのであれば、今生き残ってる老人たちは超絶精鋭ぞろいのはずであるが……
バブル期の時は需要拡大に人手が追い付かないような時代でしたしインフレに負けないくらい預金金利も高かったのでまったく状況が違うと思います。