日本の多重下請け構造の話が盛り上がっていたのでメモ。
日本の多層下請け構造は雇用流動性の低さから生じている
日本では多重下請け構造が横行していますが、これは世界的に見ても極めて異質です。勿論海外にも下請けはありますが、大抵は3次止まりで、日本の様に5次6次下請けというのは殆ど耳にしません。なぜ日本がこの習慣を止められないのか、今日は考察したいと思います。最後までお付き合い下さい(1/7)
— ちゃん社長 (@Malaysiachansan) 2023年1月12日
さて日本で多重下請け構造が多く見られる業界として、建設業やIT業が挙げられます。特に悪いのは行政が発注した仕事で多重下請けが生じる事で、こうなると中抜きの分余計な費用が加わり税金が無駄になります。更に介する会社が多くなると責任の所在も不明瞭になります。COCOAなどが典型的な例です(2/7)
— ちゃん社長 (@Malaysiachansan) 2023年1月12日
ではなぜ日本は多重下請け構造を絶てないのでしょうか。例えば一般論ですが、海外の多くの国では構造的に全然儲からない零細企業は社長が自ら潰してしまいます。無理に安価で受けるよりも、潰して社長も再就職する方が稼げる為です。一方日本はそうならず、赤字覚悟で企業を存続させようとします(3/7)
— ちゃん社長 (@Malaysiachansan) 2023年1月12日
結果全然儲からない金額で仕事を受注し、5次6次下請けが存在する様になります。ではなぜ彼らは儲からないのに会社を続けるのでしょうか。1つの理由は日本では再就職が容易でないからです。経営者が会社を潰して再就職したくても、非正規の仕事が殆どで、正社員の仕事は簡単には見つかりません(4/7)
— ちゃん社長 (@Malaysiachansan) 2023年1月12日
そして日本では非正規と正社員の間に絶望的な賃金格差があります。加えて中小の社長の多くは個人保証も負っています。これなら儲からなくても安価で受けてしまうのも当然です。日本は開業率も廃業率も世界最低水準で推移していますが、この様な中途採用の厳しさや正規と非正規の格差がある限り、(5/7)
— ちゃん社長 (@Malaysiachansan) 2023年1月12日
儲からない零細企業は存在し続け、多重下請け構造も無くなりません。これに対して一部の人は「多重下請けを法律で禁止すべきだ」と主張します。私もそれ自体には反対はしませんが、仮にそれを禁止しても根本的な解決にはなりません。問題の本質は正規非正規の格差や雇用流動性の低さであって、(6/7)
— ちゃん社長 (@Malaysiachansan) 2023年1月12日
多重下請けはその問題が目に見える事象として現れているに過ぎない為です。安価で受ける企業がある限り、日本の賃金は上がりません。日本は雇用構造全体の変革が必要です。海外との比較を含めた更に詳しい中小企業に関する考察は過去のnoteで書いています。是非ご覧下さい(7/7)https://t.co/Eyar1m8thH
— ちゃん社長 (@Malaysiachansan) 2023年1月12日
日本でも5次下請は殆ど耳にしないようであり、6次下請は存在が確認できないようですよ。 pic.twitter.com/4DVAUiJxut
— ブックウェスト やさしい確定申告著者 (@bookm17) 2023年1月15日
ちゃんと調べてから返信しなさい。持続化給付金事業は9次下請け、原発除染は11次下請けまで確認されています。それ以外にも私の返信や引用リツを見れば当事者が一杯いるでしょう。貴殿に税理士業務を発注したら、会社の会計をメチャクチャにされそうです。恐ろしいです。https://t.co/i24Y7xlRo4
— ちゃん社長 (@Malaysiachansan) 2023年1月15日
多重下請けでいつも見られる現場の光景
— hitomi@PC講師Office系Java教えてます。 (@Hitomi1103slabo) 2023年1月14日
元請け現場リーダー「あれ、今日はどこから?」
ベテラン作業員「今日はX→Y経由で(笑)」
元請け「君ってE→F経由じゃなかった?」
作業員「そっちは単価が安いんで断りました(笑)」
元請け「君が来てくれるなら今度からXにするかな
」
中国のヒットマンと同じですね。https://t.co/kwDmNxAFfQ
— くまちゃん (@kumachan_hope) 2023年1月13日
下請け企業は給与と稼働と雇用が大企業に比べて悪くなっている
これは「零細企業をなぜ潰さないか」という下側の視点だけど、
— ところてん (@tokoroten) 2023年1月14日
大企業側の視点からすると
「稼働の波に応じた必要労働力に合わせて、社員を増減(解雇)するのが難しいから、稼働の波を企業間の受発注で吸収している」
ってのが、多重下請け構造の根っこなのよなぁ https://t.co/7wM9NjpSLX
必要労働力を会社間の受発注の関係で吸収する結果、下請け企業は、社員の給料を払うだけの仕事が来なくて赤字になったり、
— ところてん (@tokoroten) 2023年1月14日
提供できる製造能力(労働力)を超える仕事を受けてデスマーチになったりする
結果的に、下請け企業は給与と稼働と雇用が大企業に比べて悪くなってくる
これが日本の構造
もっと簡潔に言ってしまうとこうなる
— ところてん (@tokoroten) 2023年1月14日
「雇用の流動性の低さを、受発注の流動性で補っているのが日本社会」
で、相見積での価格競争も相まって、下請け企業になればなるほど待遇が悪くなるという現象が発生する
これ非常にスッキリする説明。
— 365yen aka バイク犬 (@365yen) 2023年1月15日
実際、景気が良いときは元請けからは仕事振れるように採用しろと言われるが、いざ不景気となると発注は滞るしフォローもないんよね。
中小は固定費のリスクを担うことになるのでスケールすることも難しい。 https://t.co/nX73cimfs6
雇用を守ることに特化しすぎた結果として日本は「国家全体としての生産性向上」が著しく低い
大企業は常にキャパを超える仕事を取り続けて、下請けに投げる
— ところてん (@tokoroten) 2023年1月14日
だから、大企業は多く稼げるのね、これが大企業正社員の給与が高い一因
で、そういう構造なので、下請けになればなるほど稼働率が下がってくるので、報酬額が下がってくる
末端は赤字なので社員のクビを容易に切れるようになってきて……
もっと身も蓋もない話をすると、日本企業は雇用を守るために分業しているので、
— ところてん (@tokoroten) 2023年1月14日
分業による比較優位の実現による生産性向上の恩恵にあまりあずかれていない、という話
また、こういう環境では、経営者の仕事としては、上位の企業からいかに仕事を取ってくるかだけでなく、
— ところてん (@tokoroten) 2023年1月14日
同列の企業から溢れた案件に応援を出せるかが求められるようになる
つまり、人脈を通じた仕事の融通が非常に大事になってくる
これが技術職がなかなか経営層に入れない理由の一端だったりする
下請けは普通に考えても4から5層が必要になる
— ところてん (@tokoroten) 2023年1月15日
・官公庁や本社案件を取るための東京本社
・それを地方で実行するための地方支社
・その下で実行を担う分野別の支援会社
・その下で実務を行う人材派遣会社やフリーランス、零細企業
で要件定義をするコンサルやPMが間に挟まったりするともう1層追加
発注側にちゃんと能力と権限と責任能力があると、分野別支援会社との直契約になるので、二層とかになる
— ところてん (@tokoroten) 2023年1月15日
これを念頭に企業で求められる仕事と能力について振り返ってみる。
— nyohhiroki (@nyohhiroki) 2023年1月15日
するとどうだろう、優秀と言われる為に求められる能力、スキル、経験の多くは「流動性をカバーする際に生まれる付加価値」となっていることに気付く。
日本の大半の優秀な労働力は、その能力の大半を調整弁に費やしているのだ。 https://t.co/uiDrzFGskD
雇用を守れより「失業者をケアしよう」の方が全体としてコストが安くなる可能性もある・・・のかな?
>稼働の波を企業間の受発注で吸収 コメント失礼します。仰るような面はあるかと思います。たとえば、物流で卸が在庫のバッファになるのに似ていて、「多重下請け」が労働在庫のバッファになると。解決策は「雇用流動性」の確保ですが、北欧のように「雇用より失業者を守れ」がいいと思います。
— しろうと (@sirouto) 2023年1月14日
下請けを複数に分散して
— 岸﨑 澄英 (@KISHIZAKI_WDC) 2023年1月14日
リスク回避したつもりが
孫受けが同じ所だったってのがあって笑えない
なぜわが国ではイケハヤみたいな人に希望を持ってしまう人が多いのか
わざわざ解説されなくてもみんなご存じの通り日本って「正社員」「派遣社員」以上に大きな格差として「元請けー下請け」の関係があるんですよね。
この構造のせいで、下請け企業の会社に勤めている人は(やりがいとか人間関係などはあるかもしれないけど)利益的な面では本当に救われない……。
一方、最近になってテクノロジが発展したことにより
個人でもモノを売ったり仕事が取れるようになると、優秀な人はそのあまりの利益率の高さに驚く…ということが起きています。
特に同人業界などのクリエイター関係やVTuber界隈は完全に今までの常識が成り立たなくなっている。
www.tyoshiki.com
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だから、「フリーランス」に夢を持つ人がどうしても出てくるんですよね。
まぁ……個人で独立して食っていける人は相当優秀に限るんですけどね。
独立って言えば格好いいですけど結局企業から仕事もらわないといけないんで「みんなもフリーランスになろう!」みたいな煽りで情報商材屋に金払っちゃうような他人任せの人だと、むしろ交渉力が最弱すぎて多重下請けの社員以下の底辺になってしまうケースも多発してます。底辺になってしまうとさらに弱い情弱を狙って営業を仕掛けなければならず、フリーランス界隈の下層はこの世の地獄と化してますね……気を付けないと……。
イケハヤを擁護したいわけじゃないですが、まぁ「イケハヤ」的なるものに夢を見る人が増えるのは気持ちはわかる。でも彼はそういう人達を食いものにして自分だけが幸せになれればよいちいうタイプなので、結局自分で頑張れる人じゃないと厳しいと思います。