頭の上にミカンをのせる

もうマンガの感想だけでいい気がしてきた

トランプは確かに狂っているが、本当に狂っていたのはどちらかというとバイデンであったということを忘れてはいけない。

「ゾルタン・ポズサー」さんって初めて知った。クレディ・スイスの著名なストラテジストさんらしい
en.wikipedia.org



※以下の内容は半分が「MMT理論」に基づいている話であり、真面目に受け取りすぎると頭おかしくなるのでその点ご注意ください。



まず要点だけ整理 :トランプ関税は世界中に溢れるドルの吸収が目的。「FRBが慎重に進めてきたQT」をさらに倍プッシュする。




1:かつて米国の貿易赤字は世界にドルを供給する源泉だったが、関税政策はこれを変化させる。


2:関税によって米国政府がドルを回収すると、そのドルは市場から「消滅」する。これは、従来の金融政策(利上げ)とは異なる、強力なドル吸収効果を持つ。



3:コロナ禍で、バイデンによる狂ったレベルの大規模な財政出動が行われ市場にドルがじゃぶじゃぶに溢れ、資産価格が暴騰した。



4:FRBはこれを緩やかに是正しようとしていた(軟着陸を目指す動き)。しかしこれはもとより困難なパスであった。


5:そもそも利上げだけではインフレ抑制は難しい。なぜなら利下げしない限り統合政府から利払いのために毎年4%の米ドルが更に発行されて貯蓄主体に流れていってしまうからだ。利上げによるインフレ抑制は明確な景気減速・景気後退によってしか実現しない。しかしバイデンが金をばらまきすぎたことによって米国の株価が上がり続けるものだから消費は一向におとろえず景気後退が起きなかった。



6:真のインフレ対策には、税(関税含む)によるドルの回収・消滅が不可欠であるという話になった。その際に、アメリカは2つの選択肢を迫られた。「バイデンによる富裕層に対する増税」と、「トランプに寄る関税と言う名目だが実際はアメリカ国民および諸外国に対する増税」だ。トランプは国民を騙したわけではなく、選挙戦のときから堂々と「関税を引き上げる」と宣言していた。中国に対する60%の関税は公約通りだ。


7:トランプによる関税による急激なドル吸収(消滅)は、軟着陸を困難にし、景気後退リスクを高める可能性があるのは明白だった。しかし、なぜか市場は第一次トランプ政権の再現を期待していてこのリスクをとことんまでに軽視していた。


8:その結果、アメリカ国民は、バイデンルートを選ばず、トランプルートを選んだ。



9:このロジックを理解すれば、トランプがインフレ対策として関税を維持・強化する可能性は高かった。しかし市場は痛みを伴わないインフレの克服というストーリーを信じ、トランプ当選以降も株価を上げ続けた。



10:トランプ「ジャスト100日だ。良い夢見れたかよ」
jp.reuters.com



計算

「その他の条件(輸入量や価格など)は一切変わらず、純粋に関税率の上昇分だけ税収が増える」という非常に単純化された仮定のもとで、年間の関税収入増を試算します。


アメリカはコロナ以降に、FRBのバランスシートが5兆ドル拡大し、さらにバイデン政権の際に8兆ドルくらい財政赤字を拡大した。


会計年度別          財政赤字額:

2019年度 (トランプ政権): 約 9,840億ドル (GDP比 4.6%) - コロナ禍前

2020年度 (トランプ政権最終年): 約 3兆1,320億ドル (GDP比 14.9%) - コロナ禍対応で急増
2021年度 (バイデン政権1年目): 約 2兆7,760億ドル (GDP比 12.1%) - コロナ禍追加対策等
2022年度 (バイデン政権2年目): 約 1兆3,750億ドル (GDP比 5.4%) - 経済回復、対策縮小で赤字減少
2023年度 (バイデン政権3年目): 約 1兆6,950億ドル (GDP比 6.3%) - 税収減、利払い増等で再び赤字拡大
2024年度 (バイデン政権4年目): 2024年6月時点で約1兆9,150億ドル (GDP比 7.0%) 。

コロナ以降のアメリカの株高は、13兆ドル以上のお金のバラマキの影響が大きい。

これを今後、ゴリゴリに削りとり、吸収&消滅させていく。

ちなみに、今FRBが行っているQTは年間7200億ドルなので、最大6000億ドルの関税アップはQTがさらに倍プッシュされると言う感覚。
しかも、QTではあくまで銀行の資金の流動性を減らすだけだがアメリカ政府が関税で吸収したドルは、アメリカが財政赤字を伴った政策を行わない限りは民間に戻らない(購買力が消滅する)のでダイレクトに経済にダメージを与える。





解説:変化する世界経済の奔流――米国の貿易赤字、関税、そして「消えるドル」の謎

提示された文章は、近年の国際金融とマクロ経済、特に米国の政策が世界経済に及ぼす複雑な影響について、鋭い洞察と、やや非伝統的な視点(現代貨幣理論、MMTの考え方に近い)を交えて論じています。

一見難解に思えるかもしれませんが、その核心にある論理を順を追って丁寧に解き明かしていきましょう。

1. かつての安定構造:米国の貿易赤字と「ワールドダラー」

話の出発点は、長らく続いてきた国際経済の基本的な構造です。米国は、世界最大の経済大国であると同時に、慢性的な「貿易赤字国」でもありました。これは、米国が海外からモノやサービスを大量に輸入し、その代金として基軸通貨である米ドルを海外に支払ってきたことを意味します。文章中の「米国が貿易赤字を垂れ流す」という表現は、この状態が大規模かつ継続的であったことを示唆しています。

この結果、何が起こったか。米国に輸出を行う国々、特に新興国は、輸出代金として大量の米ドルを受け取ります。受け取ったドルは、必ずしもすぐに自国通貨に両替されるわけではなく、多くの場合、そのまま政府や中央銀行の「外貨準備」として蓄積されていきました。「新興国の外貨準備が積み上がって」いったのです。

しかし、このドルは単に金庫に眠っていたわけではありません。米ドルは国際貿易の決済通貨であり、国際金融取引の基軸通貨です。新興国が保有するドルもまた、国際的な投資(例えば米国債の購入)、貿易金融、あるいは他の国々との取引決済などに利用され、世界経済の血液のように循環していました。これが「ワールドダラーとして世界の実体経済に回っていた」という状況です。この構造は、ある意味で安定しており、米国が消費し、世界が生産してドルを稼ぎ、そのドルが再び世界を巡る、という循環を生み出していました。

著名なストラテジストであるゾルタン・ポズサー氏が、かつてこうした国際的な資金フローの分析で注目を集めていましたが、筆者は、彼のような視点での議論が最近下火になっていると感じているようです(「ゾルタンが浮上しなくなったから誰もそういう話をしなくなった」)。しかし、水面下では大きな変化が進行していました。


2. ゲームチェンジャー:関税政策と「ドルの回収・消滅」

この比較的安定していた構造に変化をもたらしたのが、米国の関税政策の強化です。トランプ政権以降、米国は貿易不均衡の是正や国内産業保護などを目的に、特定の国からの輸入品に対して関税を課す動きを強めました。

関税は、単に輸入品の価格を上げるだけではありません。国際的なドル循環の観点から見ると、極めて重要な意味を持ちます。関税が課されると、輸入業者はその税金を「米ドル」で「米国財務省」に支払う必要があります。これは、これまで海外(輸出国である新興国など)に流れていたドルの一部が、関税という形で米国政府に「回収」されることを意味します。

さらに、関税は新興国のドル収入を直接的に減少させます。関税によって輸入品の価格が上がれば、米国内での需要が減る可能性があります。また、輸出国にとってはコスト増となり、対米輸出で得られる利益(貿易黒字)が減少、あるいは停止するかもしれません(「貿易黒字が止まる」)。ドル収入が減れば、新興国は自国の経済活動や対外支払いのため、これまで蓄積してきた外貨準備を取り崩さざるを得なくなります(「外貨準備の取り崩し過程に入る」)。

ここで、文章の筆者は極めて重要な、そしてMMT的な視点を提示します。通常、税金は政府の財源となり、公共サービスなどで再び市中に支出されると考えられます。しかし、筆者は、政府(通貨の発行体)が自国通貨(この場合は米ドル)を税として回収する行為は、単なる資金移動ではなく、その通貨自体を「消滅」させるプロセスだと捉えています。「外貨準備の減少分は誰かの手に移るんじゃなくて、発行体からの課税だから世の中から消滅するんですよね。」という一節がこれを示しています。

考えてみれば、政府は通貨を発行する主体です。政府にとって自国通貨での税収は、民間に対する債権(税金を徴収する権利)の回収であり、あるいは自らが発行した負債(通貨)の回収・消滅と捉えることができます。民間企業が自社株買いをしてそれを消却するのに似ているかもしれません。この「対消滅」という考え方によれば、関税によるドル回収は、市場から物理的にドルを消し去る、極めて強力なドル吸収メカニズムとなるのです。これは、後述する中央銀行の金融引き締めとは異なる、直接的な効果を持ちます。

この「消えたドル」は、もともと何に使われていたのでしょうか? 新興国は外貨準備のドルで、米国債だけでなく、米国の株式や不動産など、様々な資産を運用していました。もし関税強化によってドルの流入が止まり、さらに外貨準備を取り崩す必要からこれらのドル建て資産を売却する動きが広がれば、それらの資産価格に大きな下落圧力がかかるのではないか?(「消えた米ドルで運用されていた他の資産はどうなるのか。」)という新たな懸念が生まれます。

3. コロナ禍のドル奔流と資産インフレ、そしてFRBの苦悩

関税の問題と並行して、もう一つの大きな動きがありました。新型コロナウイルスのパンデミックです。これに対応するため、バイデン政権を含む米国政府は、歴史的な規模の財政出動(国民への現金給付、失業保険拡充など)を行いました。中央銀行であるFRBもまた、大規模な金融緩和(ゼロ金利政策、量的緩和)でこれを支えました。

その結果、市場には未曾有の量の米ドルが供給されることになりました(「バイデンがアホみたいにドル刷った」)。この溢れたマネーは、実体経済の回復を支える一方で、株式市場や不動産市場などの資産市場にも流れ込み、価格を急騰させました。筆者が「資産価値は水増しされてるはず」と指摘する状況です。

しかし、この過剰なドル供給は、やがて深刻なインフレを引き起こしました。物価上昇が加速し、国民生活を圧迫するようになると、今度はインフレ抑制が最重要課題となります。ここで登場するのが、FRBのパウエル議長です。FRBは、インフレを退治するため、金融政策を「引き締め」方向に転換しました。具体的には、政策金利の引き上げ(利上げ)と、市場から資金を吸収する量的引き締め(QT)です。

ただし、FRBが目指していたのは、急激な引き締めによって景気を失速させる(ハードランディング)のではなく、経済へのダメージを最小限に抑えながら、緩やかにインフレを鎮静化させる「軟着陸(ソフトランディング)」でした。「引き締めでゆっくり回収していきたかったのがパウエル」というわけです。金融政策を通じて、市場に溢れた過剰なドルを時間をかけて吸収しようとしていたのです。

4. 関税と金融引き締めの「衝突」? 軟着陸への懸念

ここで、二つの大きな力が交錯します。FRBが金融政策で「ゆっくりと」ドルを回収しようとしているところに、政府が関税という財政政策で、より直接的かつ「急速に」ドルを市場から吸収(消滅)させる動きが加わったのです(「まさかの関税即時吸収」)。

この続きはcodocで購入