頭の上にミカンをのせる

もうマンガの感想だけでいい気がしてきた

基本的に人間、必要がないのに会話なんかしなくてよい。そのかわりに会話をする時はちゃんと会話をしたい

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本題に入る前にちょっと自分語り

私も会話メンドクセー勢ではあるが、私が嫌いなのは「どーでもいいやつ」と「どーでもいい会話をすること」である。

別に会話そのものは嫌いではないし、会話そのものは楽しいとすら思っている。

ただ、大抵の人間がどーでもいいと思ってるし、大抵の会話の内容に興味がないだけだ。


たとえお肉が好きな人でも

すでに満腹の時は食べたくないし、数日常温で放置されて味が劣化しているものは食べたくないでしょ?

さらに、そういうクソまずい肉を食わせる店が、普通のお店より高い値段を要求してきたらどうする?

もうそいつの店には二度と行かないよね。

私はこの「1️⃣二段階味が劣化したもの」を「2️⃣高いコストを払って」食べることを「3️⃣強要される」のが嫌なだけだ。


つまり

1️⃣そこまで親しくない、大事だと思ってない人が

1️⃣興味がない話題について、最低限の説明も引き付ける工夫もなく喋り続け

2️⃣こちらは話を聞くためにたくさん時間を使ったり、気を使って精神をすり減らすことになる(それでいて相手はこちらの話を聞かない)

3️⃣そういう会話が義務になっていたり、何度もその相手との会話をしなければいけない


こういう状況だと会話というものが苦行としか思えなくなってきて
それが続いた結果、会話そのものが嫌いだと勘違いしていた時期がある。



というわけで本題


人間は会話の量をもっと減らして、そのかわりに1つ1つの会話は大事にするようにしたほうがいいと思ったりする


私は基本的に必要がないのに会話なんかしなくてよいと考えてる。

必要がなければ1週間くらい誰とも話しなくても私は割と平気だ(最近はそうでも無くなってきてるから困る)

それよりも、一人で黙々といろんなことインプットして自分の考えをブログで書いてるほうが楽しかったりする。


ただ、会話の必要性がまったくないとは思ってない。

会話をする時は、ちゃんと会話をしたい。適当じゃなくて楽しい会話にしたい。

どうでもいい会話で消耗しすぎて、大事な相手との会話のときにも疲れてるから適当になっちゃう、みたいなのはちょっとやだ。


また、ある程度親しい友人ができてからの話だということは理解してる。

親しい人ができるまでの段階で毛づくろい的なコミュニケーションをすることは否定してない。

これを否定してたら、親友を作る機会を逃してしまう事になりかねない。

また、適度な毛づくろいコミュニケーションができるほうが
人付き合いの摩擦で消耗しないで済むということも理解している。

ただ、いろいろ考えるとしんどくなるので

原則としては「会話量は少なめにして、大事な人との会話は適当にやりたくない」と考えている。



こういうお話は、対話形式にするとわかりやすいのではないかと思って試してみた

舞台
平日の午後、少し寂れた喫茶店の隅の席。

(コーヒーカップを前に、小泉知文が向かいに座る三宅ダルミに、穏やかに話しかける)

小泉:「こうしてダルミちゃんと二人で会うの、久しぶりだね。誘いに乗ってくれてありがとう」

三宅:「……うん。まあ、特に予定もなかったから」

小泉:「そっか。……あのさ、いきなり変なこと聞くようだけど、ダルミちゃんって、あんまり自分のこと、話さないよね」

三宅:「……そう?」

小泉:「うん。俺がおしゃべりだから余計にそう感じるのかもしれないけど。なんていうか、いつも聞き役に回ってくれるか、静かにしてるか、ってイメージで。話すのって、もしかして苦手だったりする?」

(三宅は少しだけ視線をカップに落とし、間を置いてから口を開く)

三宅:「苦手、っていうのとは少し違うかも。……そもそも、話す必要性を感じない、っていうのが近いかな」

小泉:「必要性を感じない? へぇ、面白いな。もうちょっと聞いてもいい?」

三宅:「……小泉くんは、聞きたがりだね」

小泉:「ごめんごめん。でも、純粋に興味があるんだ。ダルミちゃんみたいな考え方の人って、俺の周りにあまりいないから」

(小泉が急かすでもなく、ただ静かに待っているのを見て、三宅はぽつりぽつりと話し始める)

三宅:「なんて言うか……自分の考えを、誰かに分かってほしいって欲求が、多分すごく薄いんだと思う。
話したところで、相手の反応が返ってくるでしょ。
『そうなんだ』とか『私はこう思う』とか。そのリアクションを受け止めるのが、まず一つの労力で」

小泉:「うんうん」

三宅:「それに、嫌なことがあっても、自分の中で『まあ、いいか』って消化できれば、それで終わりじゃない。
なのに、わざわざ口に出して言葉にすると、終わったはずのことがまた始まっちゃう気がする。
事態が収束しなくなる感じ。そのプロセスが、すごく無駄に思える」


小泉:「なるほど……。話すことで、逆に面倒が増える、みたいな感覚?」

三宅:「そう。それに、人と意見が違った時、話し合って一つの答えにまとめることに、意味を見出せないんだよね。
AとBっていう意見があるなら、AとBがそのまま共存すればいい。
無理なら、私がAに合わせるか、それが嫌なら、もう関わらないか。その方がずっと合理的。
わざわざ話し合って、お互い不本意な妥協点を探すなんて、苦痛でしかない」


小泉:「……」

三宅:「だから、『話そうよ』って言われると、身構えちゃう。
『この人は、私の腹の中を全部吐き出させて、その上で反論してスッキリしたいだけなんじゃないか』って。
だから理解されたいんじゃなくて、放っておいてほしい。そう思うことの方が多いかな」


(三宅はそこまで一気に話すと、ふう、と小さく息をついた。小泉は腕を組んで、真剣な顔で何度も頷いていた)

小泉:「なるほどな……。すごくよく分かった。ありがとう、話してくれて。
ダルミちゃんの言うこと、一つ一つ、すごく筋が通ってる。
確かに、話すことで余計にこじれたり、取り返しのつかない亀裂が入ったりすることって、世の中に山ほどあるもんな」

三宅:「……でしょ?」

小泉:「うん。ダルミちゃんにとっては、話し合いってメリットよりデメリットの方が圧倒的に大きいんだね。
コストとリスクを考えたら、フェードアウトが最善の選択肢になる、っていうのも理解できるよ」


(小泉が完全に自分の意見を受け止めたことに、三宅は少しだけ驚いたような顔をする)

小泉:「その上で、なんだけどさ。俺がなんでこんなに話すのが好きなのか、今、ダルミちゃんの話を聞きながら考えてたんだ」

三宅:「……なんでなの?」

小泉:「俺にとって話すことって、多分、思考の整理なんだ。
頭の中でモヤモヤしてることを、口に出して言葉にする作業を通して、
『あ、俺は今、こういう風に感じてたんだ』って、初めて自分で自分を理解できることがあるんだよ」

三宅:「……自分のために話してるってこと?」

小泉:「そうかもしれない。誰かに理解されるのは二の次で、
まず自分が自分を理解するために言葉を探してる。
あと、人と話してて、自分じゃ絶対思いつかなかった視点や言葉が出てくる瞬間が、たまらなく好きなんだ。
さっきの『終わったはずのことがまた始まっちゃう』ってダルミちゃんの言葉もそう。俺の中にはなかった感覚だから、世界が少し広がった気がした」

三宅:「……大げさだな」

小泉:「ははっ、そうかも。でも、俺にとって会話は、問題解決のツールっていうより、発見とか、探検に近いのかもな」

(三宅は黙ってコーヒーを一口飲んだ。その表情は、先ほどよりも少しだけ和らいでいる)

小泉:「だからね、俺も基本的にはダルミちゃんと同じだよ。必要がないなら、話なんてしなくてもいい。無理に話すことじゃない」

三宅:「……うん」

小泉:「でもさ、それでもやっぱり『こういう時は話をする必要がある』とか『話してもいいかな』って思う時って、お互いにあると思うんだ。ダルミちゃんの場合は、どういう時?」


三宅:「……そうだね。旅行の計画みたいに、目的がはっきりしてる情報交換は別に平気。
あとは、すごく大きな誤解をされてて、生活に支障が出そうな時。それは、さすがに話して訂正するかな……。それくらい」

小泉:「そっか。俺は、誰かとこれからも関係を続けていきたいって思った時かな。
合わないかも、って感じた時にこそ、少し話してみたい。
もしかしたら、そのズレが面白かったり、全然違うところで繋がれたりするかもしれないから。
試さずに離れるのは、ちょっともったいない気がしちゃうんだ」

三宅:「もったいない、か……。
私は、そこにコストをかける方がもったいないって思う。……面白いね、本当に真逆だ」

小泉:「だろ? でも、こうして話してみて、
ダルミちゃんの考えてることが少し分かって、俺はすごく嬉しいよ。
ダルミちゃんを少しだけ発見できた、みたいな」

三宅:「……私も、小泉くんがなんであんなにおしゃべりなのか、理由がちょっとだけ分かったかも」

(三宅が、ほんの少しだけ口角を上げて微笑んだ)

小泉:「ほら。だから、話すのも全くの無駄ってわけでもないんじゃないかな」

三宅:「……まあ、今日みたいなのなら、悪くない」

小泉:「よかった。じゃあさ、またこうやって話さない?
何かを決めるんじゃなくて、ただ『人ってなんでこうなんだろうね』って
お互いが思ってることを報告し合うだけ。今日の続きみたいにさ」


(三宅は少しだけ考えるように視線を彷徨わせた後、やがて小泉を見て、小さく頷いた)

三宅:「……うん。気が向いたらね」

小泉:「よっしゃ! 約束な。
じゃあ次は、『人はなんでわざわざ物語を求めるのか』について、どう?」

三宅:「……それは、また今度考える」