頭の上にミカンをのせる

もうマンガの感想だけでいい気がしてきた

高市早苗の経済政策を評価する(3/3) セットアップした条件に基づいて高市早苗の「労働規制緩和」などの日本経済に対する姿勢を評価する

昨日の続きです。

昨日の記事では持続成長型(ホワイト企業)を増やす道筋として3つの視点からそれぞれ目指すべき方向性を考えてみました(あくまで一つの案であり正解ではないです)


この観点から新しく首相になった高市さんの公約を評価してみましょう。

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はたして、高市さんの取り組み方で、日本は「ブラック企業依存」を脱却して「持続成長型の企業」の比率を伸ばすことができるだろうか?


高市新総裁の掲げる経済政策が、前回の議論で定義した「持続成長型」モデルの実現にどの程度貢献し得るか、
あるいは「消耗型」モデルを継続させるリスクがあるかという観点から評価します。



評価の結論として

高市氏の政策は短期的な需要喚起と財政出動に大きく依存しており

「仕組み化」や「生産性向上」といった持続成長型モデルの核心となる要素への言及が欠如しているため

全体として持続成長への貢献度は低いと評価されます


具体的な評価内容

「持続成長型」(多数採用 ☓ 仕組み)モデルへの移行という観点から、その公約を「政治」「会社経営」「従業員の働きかけ」の三方向から評価します。


1. 政治的な側面:ルールとインセンティブの評価
持続成長型モデル(4)の実現には、「消耗型」(3)を経済的に成り立たなくさせ、企業に「仕組み化投資(DX、標準化)」を促すルール設計が不可欠です。


政策要素 持続成長型モデルとの関係 評価
積極財政・危機管理型投資 「仕組み化」への優遇措置ではなく、成長への波及効果が小さい需要側の支出が中心。
財源の裏付けの欠如 財源議論を欠く積極財政は、金利上昇・円安・物価高騰を招き、経済の安定性を損なう。 マイナス
金融緩和持続の志向 政治が日銀の中立性を制限することで、市場の信頼性(ルールの安定性)が低下する。

高市氏の政策は、企業に対し「長時間労働の罰則強化」や「仕組み化投資への優遇」といった、本質的な生産性向上に資するインセンティブを提供していません。
むしろ、財政の不安定化を通じて経済の予測可能性を低下させ、企業が長期的な「仕組み」投資を行う環境を阻害するリスクを伴います。



2. 会社経営的な側面:経営戦略と評価基準の転換
持続成長型モデル(4)は、個人の「ハードワーク」依存を断ち切り、「仕組み」の構築と多様性の活用を最優先する経営戦略を求めています。


政策要素 持続成長型モデルとの関係 評価
供給力強化の成長戦略 労働生産性向上に直結する「供給力強化」(労働市場改革、構造改革)への言及が不足している。
金融緩和維持 企業が構造改革や「仕組み化」の努力をせず、低金利環境に依存して非効率な「消耗型」モデルを延命させる誘因となり得る。 マイナス
アベノミクスの継承 異例の金融緩和や財政規律軽視の「功罪を総括」せず継承を謳う姿勢は、経営者層に「仕組み化」への本気の転換を促す説得力を欠く。

総括: 経営戦略の観点から見ると、高市氏の公約は「仕組み化」や「多様性の戦略的活用」といった、企業の内部構造を変革させるための強い圧力を欠いています。
企業は「需要増」の期待から一時的に潤うかもしれませんが、根本的な非効率性(属人化、長時間労働)は温存され、管理職の評価基準の転換(プレイヤーからシステム設計者へ)も進みにくいと予想されます。



3. 従業員からの働きかけ:主体的な行動と市場の形成
持続成長型モデル(4)は、従業員が「業務改善・仕組み化」に主体的に関与し、市場の圧力を通じて企業の変化を促すことを求めます。


政策要素 持続成長型モデルとの関係 評価
物価高騰と賃金 財源なき積極財政と円安は、物価高騰(悪い円安)を招き、実質賃金の上昇を阻害し、国民生活を圧迫する。 マイナス
将来への期待 国債発行による将来世代への負担転嫁は、若年層の将来期待を低下させ、自律的なリスキリングや生産性向上への意欲を削ぐ。
労働市場の流動化 成長産業への労働力移動を促すための「セーフティネット強化」や「労働市場改革」への言及が薄い。


総括: 従業員が「消耗型」企業から「持続成長型」企業へ移動し、市場の圧力をかけるためには、経済と生活の安定が前提です。

高市氏の政策がもたらす「悪い円安」や財政悪化リスクは、国民生活に逆風となり、安定した将来設計を困難にします。

これは、従業員が「自分の業務を改善する」という主体的な行動よりも、「目先の生活維持」に注力せざるを得ない環境を作り出し、モデル移行を妨げる可能性があります。




じゃあなんすか。 労働者の大部分は今まで通り消耗型モデルの企業で働けってことっすか。高市さんに具体的にまずこれだけはやってもらうべきって話をしてくださいよ

大多数の労働者がそのまま非効率な企業で働き続けるのではなく、持続成長型モデルへ強制的に移行させる環境を作ることが、新総裁に求められています。

この移行を実現するため、最優先で取り組むべき、たった一つの土台となる政策を提言します。

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