読売新聞は、ABEMAを運営する「サイバーエージェント」に、調査の詳細や情報の真偽を尋ねる質問状を送り、約1か月後の11月27日に番組の総合プロデューサーから回答を得た。
回答では、総合プロデューサーが「取材源の秘匿から名前は控える」とした上で、この「県議」に再確認したところ
「『水源は九つ。水源は地下で繋がっており、周辺の土地を購入している以上は日本の貴重な水源が買われているという危機に変わりはない』と説明された」とした。
これを踏まえ、総合プロデューサーは情報の 信憑しんぴょう 性について「情報を提供してくださった方の意見が100%間違いとも言い切れない。国の水源の定義が決まってない以上、九つという主張もあるにはある」と主張した。
県議の「周辺の土地を購入している」との主張について、詳細や真偽についてはコメントせず、根拠も示さなかった。
総合プロデューサーは「番組の趣旨は、『外国人が平気で土地を買えるってどうなの』という疑問に実際の経営者が意見するというもの。大枠では適切だった」とし、削除や訂正はしないとの見解を示した。一方で「あのナレーションはダメだったと感じている。反対意見を持つ議員たちにももっと取材してから書くべきだった」としている。
記者は、番組が情報源だとする「県議」に事実関係を確認しようと、番組の配信当時に和歌山県議だった42人全員に取材したが、調査を行ったり、番組の取材を受けたりしたと答えた人はいなかった。
最近、ABEMAで配信されている経済討論番組『For JAPAN -日本を経営せよ-』において
和歌山県の水源地に関する情報(いわゆる外国資本による買収問題)が拡散され、議論を呼んでいます。
自治体やファクトチェック機関から実態との乖離が指摘されているこの情報が、なぜそのまま番組で取り上げられたのか。
また、Abemaはもともとこういう問題を何度もやらかしてるメディアではありますが今までは指摘されたら一応反省は示していたと思います。
しかし、今回の総合プロデューサーの態度は、誤りを指摘されているのに、口先だけの言い逃れや開き直りと受け取れる態度であり、非常に問題があると感じました。
そこで、その背景にある制作体制や責任の所在について気になり、公開されているプレスリリースや出演者のブログなどのオープンソース情報を元に整理してみました。
・・・というわけで。
さっさと結論を言うと、本番組の実質的な制作責任者(総合プロデューサー)は元フジテレビアナウンサーの長谷川豊氏である可能性が極めて高いと思います。
少なくとも高いレベルで関与していることは公開されている情報だけでもしっかり確認できます。

以下、その根拠となる情報を共有します。
公開情報に見る「プロデューサー」の表記
まず、番組に関連する企業のプレスリリースを確認すると、長谷川氏の役割が明記されているものが見つかります。
株式会社ORKが公開した特別企画に関するリリースには、以下のような記述があります。
「ABEMA番組『For JAPAN -日本を経営せよ-』の特別企画で、番組プロデューサー 長谷川 豊氏と弊社代表取締役社長 小泉 星児との対談がYouTubeにて配信されております。」
https://www.ork.co.jp/topics/444/
ここではっきりと「番組プロデューサー」という肩書きが使われています。
また、番組に出演した旅館経営者の方のブログ記事(現在は削除・修正されている可能性もありますが、ウェブ上の記録として確認可能なもの)においても、収録現場の様子として以下の記述がありました。
「プロデューサーには、元フジテレビの長谷川豊さん。打ち合わせにおける、コチラの話を引き出す話術に驚かされました!」
https://note.com/great_human8287/n/ncc2c6d1ec06c
「元フジテレビ」という具体的な記述があることから、同姓同名の別人ではなく、アナウンサー出身の長谷川氏本人であることは間違いなさそうです。
単に名義を貸しているだけではなく、現場での打ち合わせやトークの引き出し役として、実務の指揮を執っている様子がうかがえます。
制作会社と番組のスタンス
さらに調べてみると、長谷川氏は「株式会社Media STARTS」という会社の代表を務めており、同社の事業内容は「TV番組制作・WEB制作・ブランディング」です。
本番組『For JAPAN』は、多数の中小企業経営者が出演し、自社の理念や日本の課題について語る形式をとっています。
出演企業にとっては、番組に出ることが自社のブランディングに繋がるという側面があります。長谷川氏の会社が制作とブランディングを事業の柱としている点とも合致します。
また、番組の立ち上げに際して公開されたインタビュー記事において、長谷川氏やMCの古舘伊知郎氏は「自主規制」や「コンプライアンス」に対して疑問を呈する発言をしています。
「コンプラ尽くし」の地上波ではできないことをやる、というスタンスが、今回の検証不十分な情報の拡散に繋がった一つの要因である可能性は否定できません。
まとめと、採用するメディア側の姿勢について
以上の情報から、ABEMA『For JAPAN』の制作・構成のキーマンが長谷川豊氏であることは、ほぼ事実と言ってよいでしょう。
信じるに足る情報があった根拠を示しておりますが、間違いだということであれば、ご指摘ください。
最後に、この人選について触れておきたいと思います。
長谷川豊氏といえば、過去に人工透析患者に対する極めて過激なブログ記事を投稿し、大きな批判を浴びた経緯があります。
その際、テレビのレギュラー番組を降板することになりましたが、問題となった発言や、その後もSNS等で繰り返された過激な言動に対して、十分な謝罪や反省がなされたとは言い難い状況が続いていました。
過去にメディア倫理に関わる重大なトラブルを起こし、その責任の取り方も曖昧だった人物を
報道や言論に関わる番組の「プロデューサー」という制作の中枢に据えるABEMAおよび制作側の判断には、疑問を抱かざるを得ません。
「コンプライアンスの打破」を掲げることと、事実確認が不十分な情報を拡散することはイコールではありません。
こうした人物を起用し続けるメディア側の姿勢こそが、今回の騒動の根底にある問題なのかもしれません。
蛇足
・長谷川氏が過去に引き起こしたメディア倫理に関わるトラブルのまとめ
・長谷川豊が社長を務める「Media STARTS」はがコロナ下において「補助金申請のコンサルビジネス」で資金を稼いでいたという話
・同氏が標榜する「コンプライアンス打破」のイデオロギーとはどういうものだったのかという話
・そして中小企業のブランディング欲求を収益化する番組のビジネスモデルがいかにして結合し、検証不十分な情報の拡散を助長する土壌を形成したか
などにも触れておきます。 Deepリサーチで調べればわかることなので自分で調べるのが面倒くさい人だけお読みください。