というわけで3月13日に書いた記事を踏まえて、最新の状況を更に見ていきましょう。
以下の内容はこちらの記事に書かれている「ペトロダラー体制」について理解していることを前提にして書いています。
まだ読んでいないという人は、上を読むか、ペトロダラー体制について簡単にChatGPTで予習などしてから読んでください。

肥料の「3要素」と主要な供給国

肥料は主に窒素 (N)、リン酸 (P)、カリウム (K) の3成分で構成されます。
これらは原料の所在が偏っているため、特定の国々が圧倒的なシェアを持っています。
①窒素系 (尿素など)
原料は天然ガス
主な生産地は中国 (約25-30%)、ロシア、カタール、サウジアラビア
天然ガスを主原料とするため、産ガス国が強い。
②リン酸系
原料はリン鉱石
主な生産地は中国 (約30-40%)、モロッコ、米国
中国とモロッコで世界の埋蔵・生産の大半を占めている。
③カリウム系
原料はカリ岩塩
主な生産地はカナダ (約30%)、ロシア、ベラルーシ
カナダと旧ソ連圏の3カ国で世界の8割を握る。
「ホルムズ海峡」が封鎖された上に、中国政府は輸出業者に対し、窒素系およびカリ系肥料ブレンドの海外向け出荷停止を指示した

① 中国:世界最大の「在庫調整役」
中国は世界最大の肥料生産国であり、特に尿素とリン酸肥料において圧倒的な輸出余力を持っている。
しかも中国政府は国内の食糧安保と物価抑制を最優先するため、「法検(輸出検査の厳格化)」という名目で事実上の輸出制限を頻繁に行っている。
普段はホルムズ海峡側での供給があるから、中国も無茶な輸出制限はしないが、今回はホルムズ海峡が出荷停止が指示されている。
中国からの供給が閉じると、まず インドやバングラデシュなどの大消費国がパニックになり、代替を求めて中東や北米産に殺到することになるため、肥料の世界的な価格暴騰を招く。
② ホルムズ海峡:中東産の「出口」
【速報】イランがラスラファンを攻撃した。世界最大の液化天然ガス(LNG)輸出施設であり、カタールの至宝だ。この施設は、カタールの国家主権、ワールドカップスタジアム、航空会社、そして経済モデル全体を支える資金源となっている。… pic.twitter.com/XhICLsEu9R
— トランプ氏 発言速報 (@TrumpPostsJA) 2026年3月18日
世界最大の天然ガス田ってどの程度かと思って見てみたら、2位以下を寄せ付けない圧倒的な埋蔵量で、枯渇率も10%と非常に低い天然ガス田だった。
— J Sato (@j_sato) 2026年3月19日
石油よりLNGの方が代替先を見つけるのが困難のようだが、こういうことか。 https://t.co/ufRC7tZ3FD pic.twitter.com/5oKWu7WGWc
サウジアラビア、カタール、オマーン、イランは、安価な天然ガスを利用した窒素肥料の巨大な生産拠点となっている。
物流のボトルネック: 世界の海上貿易される肥料の約3分の1がここを通っている。
ニュースの状況: 海峡が封鎖されると、中東産の肥料が物理的に市場へ出られなくなる。
通常なら「中東がダメなら中国から買う」というバックアップが働いていたが今回その中国が門を閉ざしたことで、市場から供給が消滅した。
米国農業への影響と「全方面インフレ」の脅威

米国は農業大国であるが、肥料(特に窒素)の約25%を輸入に頼っている。
作付けの転換: トウモロコシは大量の窒素肥料を必要としている。大豆は根粒菌の働きで窒素を自給できるため肥料高騰時には農家はトウモロコシから大豆へ作付けを切り替えることになる
肥料不足 → トウモロコシが育たない。
飼料高騰 → 牛や鶏のエサ代が爆上がりする。
肉・卵の不足 → 私たちが買う肉、卵、乳製品の価格が跳ね上がる。
さらに、米国ではトウモロコシが燃料(エタノール)としても使われるため、エネルギー価格にも火がつく、まさに**「全方位のインフレ」**が襲ってくる
タイムリミットは「4週間」

農業には「適期」があり、春の作付け時期を逃すと、その年の収穫は絶望的となる。
物流の停滞: 肥料は重量物であり、バルク船での輸送が必要。
今から中国が輸出を再開しても、船の手配や保険の承認を経て農地に届く頃には、作付けシーズンが終わっている可能性がある。
もはや商品(コモディティ)ではなく、国家の生存に必要な「戦略資源」として奪い合いが始まることとなる。
トランプはもはや中国にわからされてしまい、最悪「ペトロダラー体制」が崩壊する=すでに崩壊しつつあったドル基軸通貨体制が一気に弱体化する可能性がある

速報:ホルムズ海峡が肥料の海上輸送を遮断する中、中国はその代替供給まで封じた。… https://t.co/bNhc9G7f2h
— ぶらりまち♊️ (@burarimachi) 2026年3月19日
🚨イラン戦争により、半導体業界は厳戒態勢に入っている。
— ぶらりまち♊️ (@burarimachi) 2026年3月18日
世界最大のLNG輸出施設であるカタールのラス・ラファン施設の停止によって、**世界のヘリウム供給の約33%**が失われた。ヘリウムは天然ガス処理の副産物だからだ。… https://t.co/QiEibaKXTP
中国とイランは現在、トランプ大統領の弱点である「米国内のインフレ(特に食料と燃料)」を正確に突いている。
中国の狙い: 肥料の輸出停止により、米国の春の作付けを物理的に妨害している。これは非常にまずい。
これにより秋の収穫減と食料高騰が確定すれば、トランプ支持層である農家や中間層の不満が爆発することは確定。
なんせガソリン価格が一定期間上がっただけで支持率が激減する国である。
大統領の権限は非常に強力だが、それでも国民に対して「勝つまでは我慢しろ」というのは一切通じない。
トランプは僅かな期間でイラン側を完全に掌握して問題を解決できない限り
中国は「関税の撤廃」や「先端技術規制の緩和」を、肥料という「食糧の喉元」を握った状態で要求できることになる。
イランは武器弾薬が限界を向かえつつあるが今はアメリカのほうが時間的に制約がきつい。
とにかくアメリカにとって時期が悪すぎた。ホルムズ海峡の封鎖により、クリティカルな時期に原油だけでなく肥料の物流を止めている状況は強い。
🚨🚨🚨 イランが今日9カ国を攻撃。撃たれたすべての標的はこちら。🚨🚨🚨
— 結城はるみ🇸🇬日本株・米国株・クリプト×AI (@harusmile) 2026年3月18日
戦争19日目。これまでで最大の1日。
🇮🇱 イスラエル — 中央イスラエルにミサイルが命中。Ramat Ganで2人死亡。さらなる攻撃が迫る。
🇶🇦 カタール — 14発の弾道ミサイルが発射。Ras… https://t.co/QxJRgro2PH
米国が軍事力で強引に開けようとすれば、さらなる泥沼の戦争となり、さらなる原油高を招くという「詰み」に近い状態を作っている。
2. トランプ大統領に残された「挽回のシナリオ」は存在するが、かなり厳しい状態となっている。
トランプは米州首脳会談を1ヶ月延期したが、いまトランプ陣営は水面下で必死に交渉をしているだろう。
トランプ大統領がこの状況を打開し、譲歩を最小限に抑えるために打てる手は以下の3点に集約される。
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