とても凄いことです。編集者は読切1作を完成させることがどれほど大変か自分の担当新人さんを通して感じています。また大変ゆえに1作も作品を完成させたことがない漫画家志望がどれぐらい居るかも何となく知っています。確信を持って「完成させただけで他…
— 少年ジャンプ漫画賞 (@jump_mangasho) 2026年4月18日
(残り72文字)https://t.co/y67dqFnJC8
Q:よく「原稿を完成する時点で他の志望者より抜きん出てる」という意見を聞きますが、あまりピンと来ません。
どの雑誌でも月例賞など毎月のように漫画を完成させてデビューする人間がわんさか出ているので「いうほど漫画を完成させるのは志望者として当たり前でそんなに凄いことか?」と思ってます。
間抜けな質問かもしれませんが編集者たちから見て原稿を完成させるのはどのくらい凄いんですか?
A:とても凄いことです
編集者は読切1作を完成させることがどれほど大変か自分の担当新人さんを通して感じています。
また大変ゆえに1作も作品を完成させたことがない漫画家志望がどれぐらい居るかも何となく知っています。
確信を持って「完成させただけで他の志望者より抜きん出ている」と言いきれます。
勿論プロ漫画家は完成させて当たり前の世界なので、完成させることをもってプロレベルとは言いませんが。
質問者のロジックのなにが問題なのか =比較が下手。グラデーションの認識ができない。
「プロ=完成させている人たち」という集団だけをサンプリングして、「完成は当たり前だ」と断じている。
この「感覚のズレ」を正し、凄さを理解させるには比較対象を「プロ」から「もっと広い分母=全志望者」や「人間の本能」にスライドさせる必要があります。
比較ができない人には、まず大きなグラデーションを見せればある程度納得できるかもしれない
普通の人は「完成=スタートライン」と錯覚しがちですが
実際にはそのスタートラインに立てる人自体がごく僅かです。

上のQは、レベル7より上の人が当たり前のようにやってるから、スゴイように見えないと言ってるわけですが
この図を見れば「レベル7の立場からレベル4の人を見て大したことがないということをいってるお前はどの立場からものを言ってるんだ?」ということがすぐわかると思います。
つまり「自分が少なくともレベル7より上の立場にいない限り、どれだけ間抜けな質問を言ってるかわかるよね?」ってことです。
とはいえ、毎回こういうわかりやすいヒエラルキーが示せるわけじゃないので、もう少しちゃんと比較ができるように説明する必要がありそうです。
実際インターネットではこの類の「比較」の概念がぶっ壊れてる人が多いですからね・・・身の程すらわきまえられないアホにSNSをやらせてはいけない最大の理由となっています。
結論として伝えるべきこと
質問者が納得しないのは、「完成」を「ただの作業の終了」だと思っているからです。
しかしクリエイティブにおける「完成」とは、「自分の才能の限界を突きつけられる恐怖」と「膨大な単純作業の苦痛」の両方に勝利したという証拠です。
「プロが完成させているのは、凄いからプロになったのであって、完成が当たり前だからプロなのではない」という因果関係の逆転を指摘してあげるのが一番効くかもしれませんね。
1. 「フルマラソン」との比較(完走率の論理)
「プロは完成させて当たり前」と言うのは、「プロランナーは42.195km走れて当たり前」と言うのと同じです。
しかし、世の中全体で見ればどうでしょうか。
比較対象: 「明日から走ろうと思っている人」vs「実際に完走した人」
ロジック: ジョギングを始める人は1,000人いても、途中で雨が降ったり、膝が痛くなったり、飽きたりして、42kmを走り切る人は1人いるかいないかです。
漫画における「完成」は、単なる作業ではなく、数ヶ月にわたる「精神的・肉体的な自己管理の完遂」です。
「走れる能力」があることと、「最後まで走り切る」ことは全く別次元の才能であることがこれでわかるのではないでしょうか。
2. 「アイデアの市場価値」との比較(0→1の論理)
質問者は「内容の良し悪し」に目を向けがちですが、編集者は「製品化能力」を見ています。
比較対象: 「100点のアイデア(未完成)」vs「30点の完成原稿」
ロジック:ビジネスの世界では、どれほど画期的な企画書も、製品(プロダクト)としてリリースされなければ価値はゼロです。「完成させた原稿」は、市場に出せる最小単位(MVP: Minimum Viable Product)です。
「30点のものを世に出す勇気と責任感」は、頭の中で100点を抱えて何もしない人間よりも、プロに近い位置にいることを説明します。
3. 「脳の報酬系」との比較(飽きとの戦い)
人間にとって「新しいことを考える(ネームを練る)」のは快楽ですが、「同じ作業を繰り返す(ペン入れ・背景描き)」のは苦痛です。
比較対象: 「キャラを描く楽しさ」vs「背景・トーンを貼る苦行」
ロジック:1ページ描くのに必要な熱量を100とすると、32ページの読み切りを完成させるには3,200の熱量が必要です。
大抵の人間は、最初の5ページ(熱量500)あたりで脳が飽き、別の「新しいアイデア」に逃げます。
普通の人が500で「飽き」に屈して挫折してしまうのに対し、脳の生存本能に打ち勝って、3,200の熱量を注ぎ込める異常性こそが、アイデアだけで止まる人との大きな違いであり、編集者が「抜きん出ている」と評価する正体です。
漫画制作の「絶望的なグラデーション」10段階
【レベル1:妄想・消費段階】
状態: 「自分ならもっと面白い話が描ける」と考え、頭の中で設定やキャラを膨らませている。
現実: ペンを握る、またはタブレットを起動することすらしない層。志望者の約半数がここに含まれます。
【レベル2:キャラ・1コマ段階】
状態: キャラクターのデザイン画や、印象的な1コマだけを描く。
現実: 「絵を描く楽しさ」だけで動ける範囲。コマ割りや背景、ストーリー構成という「苦行」をまだ避けている段階。
【レベル3:ネーム(下書き)挫折段階】
状態: 3〜4ページ分くらいのネームを描いてみるが、途中で「なんか違う」「面白くない」と手が止まる。
現実: 自分の実力を直視することに耐えられず、エターナル(未完)の墓場に作品を埋める層。
【レベル4:完成の壁(ジャンプ編集者が言う「凄い」はココ)】
状態: 拙くても、背景が白くても、とにかく最後の1コマまで描き切って「終」の文字を入れる。
現実: ここで全志望者の上位10%以内に入ります。物語の起承転結を整合させ、膨大な作業量(ペン入れ・トーン・写植)を最後まで遂行する「完遂能力」の証明です。
【レベル5:客観性の壁(持ち込み・投稿段階)】
状態: 完成させた原稿を、編集者や見ず知らずの他人に晒し、講評を受ける。
現実: 「自分の好き」と「他人の評価」のギャップに直面する段階。ここで心を折らずに2作目、3作目に取り掛かれる人はさらに絞られます。
【レベル6:担当付き(プロの入口)】
状態: 編集者に「次も見せてください」と言われ、定期的な打ち合わせが始まる。
現実: 自分の才能ではなく「伸び代」を評価された段階。まだお金は発生しませんが、ここから「読者のニーズ」というプロの視点を叩き込まれます。
【レベル7:受賞・デビュー(準プロ)】
状態: 読み切りが雑誌やアプリに掲載される。原稿料が発生する。
現実: 数千〜数万人の志望者の中で勝ち残った状態。しかし、この段階でも「一生漫画で食っていく」保証は1ミリもありません。
【レベル8:連載の壁(プロ)】
状態: 週刊や月刊での連載を勝ち取る。
現実: 「完成させるのが当たり前」という呪いがかかる段階。どんなに体調が悪くても、ネタが枯渇しても、毎週300〜400コマ近くを「完成」させ続けなければならない、生存競争の場です。
【レベル9:単行本重版・メディア化(人気プロ)】
状態: 印税で生活が安定し、アニメ化やグッズ化の話が出る。
現実: 100万人単位の読者を熱狂させる段階。作品が自分だけの手を離れ、「コンテンツ」として社会的な影響力を持ち始めます。
【レベル10:歴史の壁(レジェンド)】
状態: 連載終了後も語り継がれ、教科書に載ったり、世界中で翻訳されたりする。
現実: 漫画史に名を刻むレベル。
結論:なぜ「完成」がそれほどまでに評価されるのか
編集者が「完成させただけで凄い」と言うのは、レベル1〜3に留まっている「描かない志望者」が圧倒的大多数であるからです。
素人: 「100点のアイデアがあったとしても、それを形にできない、描けないので0点」
完成させた人: 「30点の出来だけど、形にしたから30点」
という違いがマジでわかってない人が結構多いと思います。
私自身はどれだけマンガたくさん読んでいようとも、せいぜいレベル2~レベル3です・・・
よって、クリエイターの人にはすべからく敬意を表するべしと思っています。
もちろん作品としてつまらなかったら作品は批判しますが
そこはプロとしてちゃんと仕事をしたという敬意を持ってのことです。
間違っても自分が上の立場であるという勘違いをしないことが大前提となります。
これに対して、自分が発達障害だからといってジョブズもそうだったと言ってみる人とか、自分が子供の頃野球少年だったからといってイチローや大谷の側にいると勘違いする野球オタクと会話するとすごい疲れる・・・
そもそもこの記事なんで書き始めたかというと、
「Q」の人の思考法がMさんと会話してる時に頻発したからです。
頻発するというか、それがおそらく彼の思考のベースなんですよ。
私はこの思考に触れるたびにうんざりしたので、今回のQを見てまたMさんのことを思い出してしまいました。