頭の上にミカンをのせる

もうマンガの感想だけでいい気がしてきた

「ヘイト発言でエンゲージ稼ぎ」時代の終わり。  Twitterのアルゴリズムの変化によって今後そういうヘイト発言だよりの人は除外されていく可能性が高まった 

Xを見ていると、ときどき不快になる投稿がタイムラインに流れてくる。

特定の名前を持つ人をまとめて馬鹿にする。

一面的な切り抜きで誰かを「悪者」に仕立てる。

根拠の薄い極論を断言口調で叩きつける。

そういうカスみたいな投稿に限って、妙にいいねが多かったり、リプライが爆発していたりする。


なぜか。

答えは単純で、「怒り」や「不快感」は人を動かす感情だからだ。

反発のリプライも、賛同のいいねも、アルゴリズムにとっては同じ「エンゲージメント」として計算される。



特に今までのアルゴリズムはメタデータを重視しすぎていたため

「思考を介さない、原初的な感情に訴えるツイート」がバズりやすい仕組みになっており

それをハックする形で、わざとヘイト発言をする人たちが人気になっていた。

そうでもなければ、石丸とかへずまりゅうみたいな「リアルだと生理的嫌悪感を感じる人が多いであろう存在」がこれほどまでに伸びることはなかった。



つまり炎上商法は、合理的な戦略だったといえる。

少なくとも、これまでは。



でも、その構造が、変わりつつあるかもしれない。


2026年5月、Xのアルゴリズムに何が起きたか

2026年5月15日、イーロン・マスクはXのアルゴリズムをGitHubで更新・公開した。

187ファイル、18,000行以上の追加という大規模な変更だ。



SNS上ではすぐに「攻略法」が出回り始めた。


「1日4回以上投稿するとリーチダウン」「投稿後30分以内に返信すると爆発する」「画像は3〜5枚がベスト」……



しかし、実際にコードを読んだ人による検証によれば


そんなことは、コードのどこにも書かれていなかった。



「アルゴリズムが変わった」という事実と、個人の運用経験則を混ぜて発信した結果、まことしやかなデマが生まれ



またその不確かな情報が人の不安を煽って拡散される形になっただけだ。




今回の最大の変化はGroxという投稿を「読む・見る」AIの新設である

コードで実際に確認できた変化は何か。



1月の公開コードには存在しなかった「Grox」というコンテンツ審査サービスが丸ごと追加されたことだ。



Groxの中核はVLM(ビジョン言語モデル)——テキストだけでなく画像や動画フレームまで理解できるAIだ。



これは数ヶ月前からイーロンが予告していた通りの内容だ。



Groxがやっていることは主に3つ。




① バンガースコアリング(投稿の価値判定)=Banger(イケてる)なツイートを高く評価する仕組み

投稿が「読む価値のある内容か」をAIが0〜1でスコアリングする。

コードには「score >= 0.4」という閾値が書かれており、0.4以上でポジティブ判定される。

要するに今までのメタスコアが高くても、内容に価値のないツイートは評価しないということだ。



② スパム検出
低フォロワーアカウントを中心に、VLMがスパムかどうかを判定する。


最近、DMM作品などの広告用ツイートを数千ものBOTが短期的にいいねやリプすることでバズらせて、その下に広告をのせるというハックが行われていた。


それが規制されると、特定のそこそこバズってるツイートに「寄生」する形でさらにバズらせて、同じようにその下のエロ作品の広告を載せるなんてこともやっていた。


そういうスパムを駆使しまくって、エロ同人作品作家を中心にして「お前の作品をバズらせてやるぞ」という広告を1件あたり数十万~100万円程度でやっている業者が実際に存在する。 元手はかかっていないからボロ儲けだろう。


こういうものもどんどん除外されていく。エロ同人広告業者はコストが大幅に高くなって廃業するかもしれない。




③ 安全性・規約違反の検出

以下の7カテゴリをAIが判定する。

  • 暴力的なメディア
  • 成人向けコンテンツ
  • スパム
  • 違法・規制行為
  • ヘイト・ハラスメント
  • 暴力的な発言
  • 自殺・自傷


今までも機械的に「自殺」などのワードなどは拾われていたが今後は内容までみてこれらの要素があるものを検出することになる。


注目すべきは、「ヘイト・ハラスメント」と「暴力的な発言」がコードに明記された検出対象であることだ



1月時点ではこの「眼」が存在しなかった。


これによってヘイト発言でしか注目を集められない中身のない輩はだいぶやりにくくなる・・・といいなあ。




1月から変わっていない仕組み

一方で、「誰の投稿をどの順番で出すか」の根幹であるエンゲージメント予測・負のシグナル・アカウントの多様性確保などは1月から変わっていない。


特に重要なのが負のシグナルへのペナルティの仕組みだ。

  • 「興味なし」
  • ブロック
  • ミュート
  • 通報


これらは投稿のスコアを大幅に引き下げる。


ある試算では報告1件で-369倍の減衰がかかるケースもあるとされる(ただしこの数値は本番値かどうかは非公開)。


また、同じアカウントの投稿が1人のタイムラインに並びすぎないように2件目以降のスコアが指数関数的に下がる処理も1月から存在している。




これを組み合わせると、「ヘイト発言に頼らないとバズれないつまらないゴミカス人間」はちゃんと消えていくような気がする

ここで、ひとつの具体例を見てみたい。

数日前に取り上げた「キジバト」さんのツイートだ。

www.tyoshiki.com


今日のツイートも相変わらずよくわからんことを言っている。

「名前に『龍』が入ってる人は傲慢な人が多かった」「名前負け」という内容の投稿をした。

特定の個人への批判ではなく、「名前」という属性を持つ人々を一括りに貶める表現だ。

私は友達に名前に龍が入っている人がいるから、これが嘘だとわかる。

というかこの人は自分がカスだから周りもだいたいカスだらけだということにいつになったら気づくのか。

この投稿のビュー数は72前後、いいねはゼロで、おそらく伸びることはないだろう。



一方で、同じアカウントが別の日に投稿した

「マックで目撃した50代サラリーマンが投資付き保険を買わされていた」という内容は、約177万ビュー・1,900いいねを記録している。



なぜこれほど差があるのか。


「保険批判」は金融リテラシーという「価値提供」の文脈がある。

怒りを誘うとしても、「自分も気をつけよう」「そうそう、保険って罠だよな」という同意型のエンゲージメントが集まりやすい。

一方「龍という名前の人はだいたい傲慢」は、それ以外の何物でもない。

結果として「龍」さんたちのブロックや「興味なし」が積み重なる。

Groxのヘイト検出カテゴリにも引っかかりやすい。



こういうことが積み重なると、長期的には彼のスコアはどんどん下がっていくことになるだろう。



今後のXでは、ヘイト発言ばかりの人物に対しては、ヘイトに反論せずだまってブロックやdislikeを押していけば勝手に消える・・・なんてこともあり得るのだろうか。



そういう人間って、ファンも多いから困るよね……消えるのはせいぜいキジバト氏のように役に立つ発言が少なく、その上で態度も悪い真のゴミだけかもしれない。




少しだけ安心できるが、手放しでは喜べない。

正直に言えば、この変化はうれしい。

一面的な切り抜き、根拠のない極論、誰かへの集団的な嘲笑などなど、

そういうものが数字を稼ぎ、「バズった=正しい」と勘違いされる構造が、ずっと気持ち悪かった。

アルゴリズムが「読む価値があるか」を判断し始めるなら、それは健全な方向だと思う。


ただ、手放しで喜ぶのも早い。

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