はてブ民のみなさんが相変わらず前提知識を確認せずにモメていらっしゃるのでざっくり大枠を確認しておきましょう。
「補正予算3兆円、全額を赤字国債で」「一方で来年は減税」「でも日銀は利上げに慎重」
——このニュースを並べると、何だかちぐはぐに見えます。
・借金を増やしながら減税するってどういうこと?
・こんなことをしてたら円安→物価高が続いて生活が苦しくなるのでは?
といろいろ不安になるのではないでしょうか。
この記事では、政治的な評価はいったん脇に置いて
「今の日本の財政・金融政策はどういう構造になっているのか」を整理します。
第1章:そもそも日本の予算、どれくらい大きい?
まず前提として、2026年度の当初予算(今年度の基本予算)の全体像を押さえておきましょう。

一般会計の歳出(支出)総額は約122.3兆円。2年連続で過去最大を更新しています。
支出の内訳を見ると、特徴的なことがわかります。
社会保障費(約39兆円)、国債費=借金の利払いと返済(約31兆円)、地方交付税(約21兆円)の3つだけで、全体の4分の3近くを占めます。
つまり、国が自由に使える「政策経費」は実は全体の4分の1程度しかありません。
収入(歳入)のほうは、税収が約83.7兆円と過去最高水準です。
ただし、それでも全体の約24%(約30兆円弱)は国債の発行=借金で賄っています。
※ 上の「図1:予算の内訳グラフ」をご覧ください。
第2章:今回の補正予算3.1兆円、中身は何?
2026年6月に提出・成立した補正予算の内訳はシンプルです。

全体の約8割にあたる2.5兆円が「中東情勢等対応予備費」です。
その名の通り、中東情勢の混乱による原油・ガス価格の高騰に対応するための資金で主にガソリン補助金の継続に使われます。
残りの約0.5兆円は「一般予備費」で、夏の電気・ガス料金補助の穴埋めです。
規模感としては、当初予算122兆円の約2.5%の追加にあたります。
「3兆円」と聞くと大きく感じますが、国の年間予算全体から見れば小さい部類です。
ただし、財源は100%が新規の赤字国債です。
政府は「前年度の税収が好調で、予定より国債を発行せずに済んだ分で調整しているため、国債の市中発行総額としては前年並みを維持できる」と説明しています。
第3章:借金しながら減税? 矛盾しない?
「補正予算は赤字国債なのに、来年は減税する」という組み合わせは一見矛盾して見えます。
政府のロジックを整理すると、こういう構造です。
今年(2026年度)の補正は「緊急の物価高対策」です。
中東情勢という外からのショックに対応するもので、来年度の予算とは切り離された話です。
来年度(2027年度)の減税については、消費税の一部引き下げや所得税控除の拡大などが検討されています。
これは「成長を促すための刺激策」という位置づけです。
減税で家計の手取りを増やし、消費が活発になれば、企業も投資を増やす。
経済全体が大きくなれば、税率を下げても総額の税収は増える——これが「積極財政」と呼ばれる考え方の核心です。
成立する条件は「経済が実際に成長すること」に尽きます。そこが確実ではないため、賛否が分かれています。
閑話休題 高市さんは本当に「責任ある積極財政」を実行しているか?
高市政権の2025年度当初予算は28.6兆円と、2007〜2008年度以来ほぼ17〜18年ぶりに30兆円を割り込んでいます。
2026年度当初も29.6兆円と引き続き30兆円未満です。
今回の補正3.1兆円を加えると32.7兆円ですが、政府は「前年度の税収余剰で調整しているため市中発行額は前年並み」と説明しています。
つまり当初予算ベースでは「増やしていない、むしろ前政権より低い水準」です。
とはいえ、補正を含めた実態は30兆円をやや超える水準です。
積極財政を掲げながら新規国債をできる限り抑えようとする、両立させたい意図が数字に表れています。
