エンジェリック・ハウルにおいてバス転落事故がおこった現場について確認したかったので原作をやりなおしてみました。
確認してみてみればみるほど、落下地点が殺意に満ち溢れていて「絶対殺すマン」状態になってる。
関連描写を拾ってみるので、よかったら絵心ある人は構造を図にしてみて欲しいです。アニメスタッフさん、よかったら、落下地点についてわかりやすく図を書いて教えて欲しいです。設定資料発売情報マダー?
(1)まずオーバーハングの隙間に落ちたぽい
「眼に入るのは、ゴツゴツとした硬い岩場と両側で立ち塞ぐ岩壁。見上げても空しか見えない。どうやら私達は、なにか地割れのような…そんな"隙間"に落ちてしまったらしい。壁の高さは10m程だろうか?登れない高さではないけれど、岸壁の傾斜が、下部より上部がせり出して覆いかぶさっている状態…。いわゆるオーバーハングの状態なので、素手で登るのはまず不可能に思えたし、道具があっても難しいように思えた」
「よくこんな所に落ちて全員即死しなかったね」という話ではあるのだがとりあえず納得。
(2)森林は10分も歩けば迷う仕様
「生い茂る背の高い草や灌木。これらを切り開くように進んだとしても1日に進める距離はたかが知れているし、日も差し込まないほどに密集した喬木を避けて歩けば、すぐに自分の位置を見失うのは明白だ。それでもまだ、覚悟を決めて密林に踏み込んでしまえば、なんとかなりそうな気もしていたが、そんな思いも、風見一姫の次に起こした行動で打ち砕かれる」
というわけで、アニメの雰囲気と違って、森林を抜けての脱出は困難な雰囲気。実際一度天音が一姫を探しに森に入るシーンがあるが、目印をつけながら進んでも数分でまっすぐ歩けなくなり、10分程度で足がすくんで動けなくなってる。
ちなみにアニメ13話でも解説されていましたが、遭難場所から脱出した公道までは、舗装された道がちゃんとあれば3時間程度で程度で脱出できる程度の距離でした。つまり20km程度。これにたいして天音は脱出に最低5日以上かかっていますが、「体力が殆ど無い」「追手を警戒するため昼は移動せず、星によって方角が確認できる夜の間だけ移動」「まっすぐを維持するためかなり慎重に移動」などが原因と書かれていまいた。
(3)かつて隕石が落ちた場所かなにからしく、デビエーションが発生して方位磁石が利かない
http://www.cfijapan.com/study/html/to099/html-to099/091a-Course_Heading.htm
方位磁針は近くに鉄製品や磁石があるとその影響を受けて磁気子午線上の北(磁北)とも若干異なる方向を指すことがある。この差を「自差」と呼ぶ[4]。自差はデビエーションとも呼ばれ、記号では「Dev.」と略記される[4]。船舶の場合、具体的には船搭載のエンジンやモーター類などがその原因となる。具体的な自差の出方は、コンパスの種類により異なり、また、船首方向の転換、船体の傾斜、積荷の移動、落雷などの影響を受け一定しない
というわけでここまでについては一姫さんが中間まとめをしてくれています。
「周囲は草も生えない岩場
周りを囲む壁はオーバーハングで構造的に這い上がるのは不可能。
進める先は人を拒絶するような密林。携帯も通じないし方位磁石すら機能しない。
申し分のない"遭難"ね。面白くなってきたわ」
(4)狼煙やってみても煙が上がりきらないほど木々に囲まれている
狼煙の件について。
・試してみたが、重なった木々の枝で分散されてダメだったと記述有り。要するに、原作では狼煙の煙すらろくに上がらないくらい上が覆われてるわけですね。
・発見されず餓死するくらいならいっそ山にガソリンぶちまけて火をつけてみてはどうか、山火事を起こせば気づいてもらえるはずという案も出ましたが「冬場ならともかく今の季節は森全体の湿度が高くジメジメしているから無理」とのこと。湿潤地帯だったわけですね。
※ちなみに「ガソリン」については楽園で補足有り
アニメではかなりマヌケな感じでヘリを見送ってしまいましたが、捜索ヘリが来ても見つからない感じだったわけですね。
(5)バスのクラクションの音も届かない。元の道路は200m上。
ここで「バスのクラクションを鳴らす」案が出てくる。アニメでは天音がとっさに鳴らしていたけれど、良く考えるとあれ、中学生なのにバスをとっさに鳴らすには、車内の構造を知ってないととっさに出来ないよね。で、天音がそれが出来たのは「子供の頃から車がすきで親について乗っけてもらってたから構造把握してる」ということらしい。
それはともかく、ここで初めて落下ポイントとの距離が判明。
「振り返って見上げれば、私達のいる谷底から上の道路までは200mくらいだろうか?警笛の音が届かない距離ではない。さて、ではどうやって上の道路にいる人間の存在を知ろうというのか?それが今のところ一番の問題だ。さすがに200メートルも離れてしまうと、上の道路を走る車の排気音やロードノイズは聞こえてこない。そうなってしまうと、今のところは時間を決めて定期的に警笛を鳴らすといった消極的かつ偶然に期待するぐらいしか思いつかない。
落ちた場所はオーバーハング状態の「隙間」で。
さらに一面は10mくらいの高さの木々が覆いかぶさるよう茂ってる、と。
んで、落下した元の道路は200m上だった。
なんだこの絶対殺すマン状態。ライターの、意地でも救助にはこさせないという意志力を感じる。
ちなみに、100メートル~200メートルから落下して生存者がいたケースはちゃんとあります。
ネパールの山岳地帯でバスが転落!30人が死亡 - NAVER まとめ
中米グアテマラでバスが崖下に転落、43人死亡 | ワールド | Reuters
岐阜県 : 飛騨川バス転落事故 (1968年 昭和43年)
和歌山県熊野川バス転落事故(1965年) - きうり | ブクログのパブー
(6)以上の条件に、「整備すらされていない旧道」「越智先生の無責任ぶり」を上載せ
「この現場は、越智先生がうまれた地元に近く、先生がいうには、ここは携帯の電波の入りが最悪だということらしい。地図で見れば、すぐ横に立派に舗装された国道が直線的に走っているが、私達が滑落した道は、いわゆる旧道と呼ばれる道である。先生が学生の頃には頻繁に使われていた道らしいが、よほどの理由がない限り利用されなくなっているのだ。帰り道の渋滞を懸念し、迂回路として旧道が選ばれたわけだが、道の入口自体が狭く目立たない上に、強い雨が降れば封鎖されてしまうような道で、通る車の数は極端に少ない。そもそも私達が崖から転落したのも、ガードレールすら満足に貼られていないカーブが存在したのが原因だった。」
このあたりは越智先生の地元付近。なるほど、だから回り道でこんな辺鄙な場所を使った、と。
で、荷物もって救助求めに行くのも、土地勘が少しはあるはずという期待のもと越智先生に任せられた、と。
…いやいやいや、この教師ダメダメすぎるんじゃないでしょうか。
大事な生徒預かってる時に、こんな危険な道を通ろうとしたのかよマジか何考えてんの。
なんとういかですね。もうとりあえず徹底的にこの場所みつからないように一生懸命設定を詰め込んだということなんでしょうが、さすがにやりすぎてギャグかと。なんで私はこんなもんまじめに検証してんだ、って気持ちになりますが、結構面白かったです。
「楽園」の荒唐無稽ぶりにくらべたら全然マシですけど。
こんなんアニメで表現するのめちゃ困難だったろうな、とスタッフさんの苦労が偲ばれます。
おまけ 山岳遭難でも、捜索箇所がわからなければ二週間以内には操作が打ち切られるケースが多い
「編成された救助隊の捜索が打ち切られるのは早くて5日、遅ければ十四日。一週間たっても救助が来なければ、その時に考えましょう。みんなで」
いろんな人がたった2週間で捜索撃ち切るのはリアリティないと言ってたけど、実際の所もっと短いケースが多いっぽいね。
警察の捜索計画はおよそ3日~一週間で打ち切られる。1日限りで打ち切られるケースも多々ある。御嶽山噴火ですら全体としては1ヶ月もたたず打ち切られてる。二週間での打ち切りはそれほど不自然ではない。 阪神大震災とか東日本大震災の時のように救助対象が生存可能性のある対象が存在していることが明確ならその限りではないが、そうでないなら操作はそれほど長続きしないっぽいですね。
それ以上継続するなら民間に頼むしか無い。そして民間に頼むなら1日200万とかになるっぽい。
http://www2.pref.iwate.jp/~hp0802/oshirase/jyohou/kunrei/02/pdf/02-02-010.pdf
山岳保険(1)捜索費用
とりあえずこんなところで。間違ってるところあったら、直接コメントください(非表示希望なら非表示希望と書いてくれれば公開せず、私だけが参考にさせていただきます)