「小説家・ライターになれる人、なれない人」という本が図書館で目についたんでさくっと読んでみました。
書くことの苦痛を乗り越えて楽しくなるまでの過程について
内容は「小説家になるためにどうすればいいか」というテクニック論ではなく「ライターズ・ブロック(書き始められない、書き始めたものの続かないなどの悩み)」というメンタルの問題についてプロの視点からアドバイスをするというものです。
「書きたい人が書きだすまで」
「書くことの苦痛について」
「書き手の幸福」
と3つの章に分かれていますが
圧倒的に最初の「書きたい人が書きだすまで」の比重が大きいです。3分の2がこれに費やされています。
アドバイスが具体的に刺さるかどうかはともかく、目次を見れば書けない人は自分がどの段階で詰まっているのかよくわかるでしょう。
ちょっとアレンジしてみます。
1 自信がなくて書けない
2 いくらでも書く機会はあると思っているが書き始められない
3 机に向かって書き始める前に頭で満足してしまう
4 書くことに関する様々なことを恐れてしまう
5 ひらめいたものの書き留めたり形にすることなく忘れてしまう
6 気分が乗った時に一気にかけば良いと思っている
7 魅力あるテーマに巡り会えない、何を書いたら良いのかわからない
8 面白く書く方法がわからない
9 アイデアの浮かぶ方法がわからない
10 書き始めはするものの完成にまで至らない
11 その他、原因がわからないがいつも挫折してしまう
12 書いてみたはいいが期待した結果がでなかったり失敗したりして怖くなってしまう
13 最初は自由に書いていたが他人の目が気になったり自信を喪失して書けなくなってしまう
14 他人を傷つけてしまったり気分を害したりしてしまうのが怖い
15 自分がなぜわざわざ文章を書くのか、という根本的なところを見失ってしまう
16 書いているうちに「自分が書きたかったものはこんなものではないのに」とズレが生じてしまう
こういった、書きたいという自分と現実とのズレは小説家やライターを目指していないブロガーでも感じるときはあると思います。
特にはてなブログは他人の視線を自覚しやすいサービスのため、それがプラスに働けばよいですが逆に意識しすぎて自分のコントロールが上手くいかなくてズレたことを書いてしまっている、なんてことも有るのではないでしょうか。
そういう時に、この本にかぎらず、何かしら自分の立ち返る場所をちゃんとどこかにメモのような形で残しておくと良いかもしれませんね。
いろいろ悩んだり時々トラブルになったりすることはあると思いますが、それでも書くのはなぜなのか、と考えてみる。
心理学的に言えば、最もおそろしい破壊力は、使われざる創造力がもたらします。
つまり、もしも創造的な才能のある人が、ただの怠慢で、あるいは何らかの理由でそれを使わないままにしておくと
その心理的なエネルギーはただの毒に変わってしまうのです。
だから、私たちはよく、神経質と精神病を「可能性を十分活かしていない病気」だと診断するのです
そうすると、可能性を活かすというほど大げさではないにしても
自分の中に自然と溜まっているものを吐き出したいという、デトックス的なものとして必要としてるのかなと思います。
最初はなんでもかんでも吐き出すでもいいですが、
いざ吐き出す場所を得たならば、安心して自分の中である程度抱えて、ちゃんと整理してから伝える、みたいな形で
少しずつ創造性が発揮されるようになっていくのが良いんじゃないかなと。
毎日ブログ更新してるのにいつまで経ってもルサンチマンやらミソジニーなどの毒を吐いてるような人は、
私と違って抱え込んでるものが大きすぎるのか、いつまでたっても創造性を発揮するに至らず
ただただ怠慢で毒を垂れ流し続けてるだけなのか、とか考えても面白いかもしれませんね。(そうか?)
余談。
書くこと自体の価値は変わらないけれど、書いたり吐き出したりする「場所」選びはどんどん複雑になってきてますね、というお話。
もっとも、最近はブログは一部のバカが何でもかんでも書くようにまでなったり、
アフィリや売名を目的とする人が増え
その影響で読者もアレな人が多くなり、結局少しずつ窮屈な場所になり始めていると感じています。
「ブロゴスフィア」みたいなものはもうピーク過ぎて下り気味かな、いうのが正直なところです。
特にはてなはmixi化が激しくなり、もう個人が自ら発信し、それをクロスさせる場というよりは
さっさとコミュニティ作って繋がりたい、みたいな場みたいになっていくんかな、と思ってます。
それは悪いことではなく、自分好みの、自分のための場所ではなくなったと思うだけです。
自分に取って、今後も書くという行為自体の価値は変わらないものの、
それでも書く場所はどんどん分散していくんだろうな、と。
めんどくさがり屋の自分としてはまことにダルい展開ですがボチボチやっていこうと思います。