「月に寄り添う乙女の作法2」の1シーンより。
私は素顔のラフォーレさんを見たいと思った。しかしこの人は分厚い仮面をかぶっていて簡単には素顔をみせたりはしない。
ではその仮面を剥がすにはどうすればいいか。この手の上をきれいにコーティングしてるタイプの人間は、正面から挑発してもおそらく意味がない。キレイな怒り方をして見せるだけだ。僕自身がそのタイプだからよくわかる。
となれば話は簡単だ。自分が何をされれば1番怒るかを考えればいい……
僕の場合は両親を侮辱されることだ。だけれども面と向かって罵倒だなんて品のないまではできない。表面を取り繕いつつ、僕自身は品のない侮辱することもなく、その気持ちを抱くこともなく、目の前の彼だけが侮辱だと捉える発言は何かを考えればいい。
この手の識者が最も嫌うことそれは何かと言うと。
素人の知ったかぶりだ。
僕も幼少時にお母様のコレクションで経験をした。憧れの人の一生に対してパンフレットも開かずに、延々と自己流の解釈をしているだけの見識の奥様に対しては、自分の未熟さもあって辟易とさせられたものだ
だから僕は今同じことをする。
もちろん僕自身は彼が崇拝するスタンレーの衣装の真剣な感想を述べる。自分にできる範囲で感動を訴える。だけれどもファッション業界の最前線を走り、世界の流行の一角を担う彼と比べれば、僕の実力などまだ幼いレベルであることは明白だろう。そんな彼の崇拝する人物の作品を、未熟な僕が真剣に語る。これは悔しいだろう。
と言うわけで、知ったかぶって専門用語を交えたつつどんどん説明的に語っちゃおう。僕は恥も知らずに、ベラベラとスタンレーについて自分の思いを語った。思った通り狂信者とあだ名をつけられるほどスタンレーの崇拝者である彼はすでに目が笑っていなかった。
(中略)
散々、適当な自己解釈を述べた後。僕は最後にデザイナーの作品ではなくて容姿を褒めた。さらに勘違いもはなはだしい、身の程知らずの上から目線で彼の評価を〆た。
その結果彼はついに(以下略
この後のシーンでは「冷静な仮面をかぶった大人」であるはずのラフォーレという人物がマジ切れしててめっちゃ面白いですが、それはゲームをプレイして楽しんでいただくとして。
そんなわけで人を怒らせるための最も効果的な方法、それは
「その人にとって大事に思っていること」を「素人が知ったかぶりで語ること(肯定否定を問わない)」「その際に本題と関係のない容姿の話に触れるとなお効果的」
かもしれません。
悪気はなくても、意識できないところに地雷ってたくさん転がってる気がしますね。なので、こういう地雷を避けるためにも、周りにいる人の価値観とかはある程度拾っておく必要があるかもしれませんね。*1
会社40社落ちたからフリーランス目指しますっていう人が批判されてますね。
赤の他人なんだし進路選択自体は好きにすればいいと思います。私もフリーランス経験ありますし、正直おすすめはしないけど本人がやりたいなら止める筋合いはないよね。
ですが、上で引用した話をもとに考えると、「フリーランス目指します」だけならいいけど、そこの理由づけや自己認識の語りについて「本人に一切悪気がないけれど一部の人には侮辱に受け取れる語り」のようにも思えます。本人に全く悪気がないからなおさら火に油を注いでるのもしれません。
人の文章を評価しているのに、「港区のOLがー」とか「容姿がいいから」とか「パンツ見せたんでしょ」と言った感じで文章と関係ない属性批判入れる魔理沙アイコンの人はよく炎上しますよね。アレ天然でやってるならすごいよなと思います。完全にセクハラっすね。そういう記事に賛同してる人も駄目だと思います。
今回は他人の話ですけど、こういうふるまいで恐ろしいのは「自分では気づけないこと」なんですよね。
自分も時々しょっちゅうこういう形で自分に悪気があるわけじゃないんですけど、「知ったかぶりしやがって」と人をイラつかせまくってるんだろうなと思います。
例えば昨日政治についての記事を書きましたが、さっそくきつい口調でツッコミを入れられてしまいました。政治の話なんかはとくにイデオロギーが強い人いますから、何を書いても地雷になりがちですね。(ぶっちゃけ、政治について自分が無知で知ったかぶりでしか語れないということは認める。だから二重の意味で地雷)
まぁ、どれだけ気を付けて書いても、見る人が見れば「素人の知ったかぶり」になることは避けがたいでしょう。だからあんまり気にしすぎてもしょうがないかもしれません。とりあえず自分ができる範囲で気を付けながら書いてみるけれど、人から突っ込まれたらごめんなさいしながら少しずつ学んでいきたいなと思います。
今後ともよろしくお願いします。
*1:「自分が知ってることは相手も知ってたり関心払うのが当たり前」って思ってる人だとちょっとしたズレでも怒るだろうけど。ここまでくるとめんどくさい人だ