「Switch」にサプライズなし? 任天堂の株価、急落 (ITmedia ビジネスオンライン) - Yahoo!ニュース
株価はイベントに合わせて推移した。午後1時、発表イベントのライブ中継が始まると同時に下落が始まった。だが「スプラトゥーン2」の発表で上昇に転じ、続く「スーパーマリオ オデッセイ」の登場でさらに上昇した。
だがその後の「ゼノブレイド2」発表から再び下降に転じ、メインのプレゼンが終了すると急下降。その後「ゼルダの伝説」新作「ブレス オブ ザ ワイルド」が3月3日同時発売だと発表されても下落に歯止めはかからなかった
任天堂の株価が下落してますね。
ニュースを見ればわかるように、「NintendoSwitchの価格が高すぎたから下がった」という話ではなく、期待されたソフトがリリース日に発売されないこと、の影響のほうが大きいと思います。
そうでなくとも、日本の株式市場では、ゲームやハードの発売日にあわせて株価が上げていき、発表されると「よほどのサプライズがない限り下げる。期待以下だと大きく下げる」という現象はよく起きます。投資クラスタにはちゃんと「リリース天井」という言葉があるくらい本当によくあることです。
今回の下落もそれと同じことが起きただけ、という形で納得してもよいのですが、せっかくなのでもう少しだけ情報を付け加えておきます。
任天堂は現在、ビジネスとしても株の需給としても両方の面で悩ましい状況だよね、というお話です。
ポケモンGO以降の任天堂の株価の動きを振り返り
1年間の任天堂の株価の動きです。
①大きく上げたところはポケモンGO特需ですね。当時はポケモンGOの初動がいつまでも継続するかのような試算を出し、株価は5万程度まで上がる、というようなインチキ臭い煽りが横行していましたが、任天堂本体から「そんなに売上つかねえよバーカ」というリリースが出て株価は下落、実際に決算は為替差益のせいで相当悪かった
ちなみにその後ポケモンGOの売上は国内ランキング15位~30位で落ち着いてきています。
②決算での悪材料出尽くしでしばらくリバウンドするもNintendoSwitchの発表とともに下落。
③さらにマリオラン期待で大きく株価が上昇しましたが、こちらは売上が想定より伸びず再び株価失速につながっています。
この状態ですでに「トリプルトップ」が形成されており、需給としては極めて悪い状態です。なので、大きな動きがない限りは下落を続ける状況になっていました。むしろ、こういう下落圧力が非常に強い状況であるにも関わらずNintendoSwitch期待で暫くの間株価が持ち直していたというところに、任天堂に対する株主たちの熱い期待の思いを感じます。
しかし、今回このような結果なったので上昇よりも下落のちからが上回ることになるのではないでしょうか。
マイナス要素はもうひとつあります。「信用期日」です。
ポケモンGO特需があったのは7月です。現在はそれからちょうど半年。これは信用期日といって、この期日が過ぎたら強制的にポジションを決済されるのです。出来高を見れば、7月から8月の間に信用買いで買った人が非常に多い。しかも任天堂のような値嵩株を信用取引で買った人は「現引き」が出来ないでしょうからこの人達がちゃんと持ち株を処分するまでは売り圧力が強く働くということになるでしょう。
上の図に価格帯別出来高をつけてみました。
25000より上で買っている人が非常に多いことがわかりますね。現在の株価はこの価格を割り込んでしまいました。期日を迎えた人たちや含み損になった人たちが売りに回ると非常に厳しい状況になりますね。
<ちょっと脱線>
ちなみに、ポケモンGO後の急激な値上がりについても、需給が絡んでいます。
先程ゲームリリース後は「よほどのサプライズがない限り下げる。期待以下だと大きく下げる」と書きましたよね。この際、このアノマリーを信じていた人たちが多く空売りをしていました。なにせ、リリース前はプレテストに参加した旧Ingressユーザーなどから、面白くないだの売れないだの言われてて前評判はあまり良くなかったからです。実際、任天堂も課金をしなくてもプレイできることを強調していましたしそれは嘘ではなかった。
にも関わらず、蓋を開けてみると凄まじい勢いで社会に認知され、売上もトップを独走するという結果になったため一気に需給が買いに傾き、売っていた人たちは「踏み上げ」を受けるという向きになりました。
PokemonGOと全然関係ない「サノヤス」という会社の株がこのときの思惑だけで「踏み上げ」相場を作り、一気に株価が5倍近くなったりしました。
こういう感じで株価の話をするときは「目先の需給」がとても大事になります。ただ、エコノミストはこういう話を言えないので、ニュースの際に株価が下落したときの解説なんかは読むだけ無駄ですし、いちいちはてなブックマーカーはそこに噛みつかないようにするといいんじゃないでしょうか。
任天堂の今後はどうなるか
正直いって、私は「現時点では」見通しは結構厳しいのかなと思います。
ただ、今年は為替の影響で決算はかなり良くなると思いますので、会社の数字は上がっているが、先行きとしては安心出来ない、という微妙な状態を続けることになりそうだと思っています。なので、今の下げが一段落した後、株価は持ち直すでしょう。
でもその後が問題かなと思ってます。
NintendoSwitchの論点は3つあると考えています。
まず一点目。ソフトウェアの供給ですが、少なくとも任天堂は自社IPを中心にして
ゼルダBOW
ファイアーエムブレム無双
スプラトゥーンカウンターアタック
マリオカート8スイッチ
スーパーマリオRPG
スカイリム
などが発表されており、既存の任天堂ファンはガッチリ掴む強さがあると思います。
ただし、相変わらずのサポート面については不透明なので「任天堂のゲームを出すためのハード」から脱却できるかはわかりません。
でも真偽はともかく、サードパーティーへのサポート強化が見えない限り、近年の任天堂コンソールの弱さは払拭出来ないだろうけど。
— メシテロー@JC (@toshilow01) 2017年1月8日
2点めは「スマホ」「携帯機」との関係ですね。
今まで任天堂にスマホシフトを求める人たちが多くいましたし、宮本さんもこういう発言をされていましたが、「マリオラン」を見ても「これではいかん」という動きになってきていると思います。
「スーパーマリオ ラン」スマホ対応すべき時代 宮本茂が明かした正直な思い - シネマトゥデイ
任天堂ゲームの面白さはやはりスマホでプレイするには限界があるように思うのです。
なにより、現状据え置きハード、携帯ハードともに大きな売上を持っているわけで、それらを捨ててスマホシフトしたところで、会社としての売上は長期的にみて激減するでしょう。任天堂の強さはソフトだけではなくハードウェアメーカーでもあるところなのだから。自社のソフトの強さを活かす意味でも、ハードウェアメーカーとしても生き残れるかどうかが非常に重要なポイントだと思う。
しかし、今回のNintendoSwitchはこの面で見ると、どっちつかずになっているように感じます。
Switchの論点は、これは据え置き機後継なのか、携帯機も兼ねるのか、だと思う。
— メシテロー@JC (@toshilow01) 2017年1月13日
兼用なら、今の3DSマーケット分も売れなきゃならないから。
携帯機領域はスマホへ移管とかいろんなオプションは考えられるけど。
いまのところ携帯ゲームとしては使いにくいため、これは据え置き機ということになるのでしょうが、据え置き機として買う場合はコントローラーを別途購入する必要が有るため、実質のハード価格は36000円になります。高い!さて、これで果たしてNintendoSwitchを見て今後5年間の展望が明るいと言えるかどうかですね。
3点目はこのハードならではの面白さは何か、という部分です。
私は任天堂信者ではないし、実機をまだ見ていないのでなんとも言えません。このあたりについて詳しい人から説明してほしいなと思います。
別にVRやれとかそういう話ではなく、少なくとも任天堂から何かしらのメッセージがほしいなと思います。
既存IPの製品は、今までの延長線でしょう。ここからどういう面白いものが出てくるのかは楽しみですね。
すでにこういう記事が話題になっています
おもしろい布石を打ったNintendo Switch、現実主義者と戦う(平林久和) - 個人 - Yahoo!ニュース
NintendoSwitchだから「できること」のヒントは示されています。
①単なるコントローラではなかった。ボタンの入力信号を本体に伝達するだけではない、多機能なセンシングデバイス(センサー装置)の性格を帯びていた。なかでも、特に注目に値するのはモーションIRカメラだ。
(中略)
つまり、コントローラを使わず、手のひらや指の動きでゲームの操作ができるのだ。指先でアクションゲームのキャラクターを直接操作する。カードをめくる。楽器を弾く。絵を描く。指で何かをつかむ、つまむ、握る、つぶす、はじくなど。ゲームへの応用の幅は広い。気が早いが、将来的にはアナログな遊びやモノと結びつく可能性も考えられる。
②HD振動と呼ばれる機能だ。Joy-Conは振動する。だがその振動は、携帯電話のバイブレーションとはまったく異なる。振動というよりは触感に近い。Wii リモコンと同じで、傾きや動きを感知する加速度センサーとジャイロセンサーを搭載している。ただし、精度はWii リモコンよりも大幅に向上している。腕を振って遊ぶのがWiiリモコンだとすると、Joy-Conは手首や手のひらの繊細な動きで遊ぶイメージだ。
あとはここからどんな大ヒット作が出てくるのかとても楽しみですね。
私はWiiUは結局買いませんでしたが、このハードは買ってみるつもりです。
みなさんもせっかくあれこれ言うのであれば、実際に買ってみてプレイの感想を共有し合おうぜー。