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「命令されなきゃ、憎むこともできないの?」(ブルーアーカイブ#3 エデン条約編3.私たちの物語)

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「金田一少年の事件簿」全話まとめて振り返り シーズン5(EP38~EP42)

とにかく年内に読み終わるのじゃー。

エピソード名 犯人 動機 生死 高遠の関与
EP38 雪鬼伝説殺人事件 月見里光(20) 恋人の復讐 生存
EP39 亡霊校舎の殺人 遠間もえぎ(19) 先生の復讐 生存
EP40 狐火流し殺人事件 神小路陸 家族の復讐 生存
学生明智健悟の事件簿 美国礼奈(22)&名鳥めぐみ クズ男の抹殺 生存
EP41 蟻地獄壕殺人事件 舞谷かえで(20) 恋人の復讐 生存
EP42 吸血桜殺人事件 葉崎栞(22)&冬部蒼介 過去の償い 生存&死亡

EP38 雪鬼伝説殺人事件 評価★★★

「悲恋湖殺人事件」をベースとして、「殺人者が消える」のではなく「殺害された被害者が消える」という応用がされている。前準備がとてもしっかりしており、発想が大胆なものになっている。

①トリック要素はとても好き
何度も書いてるけど「金田一少年の事件簿」の殺人事件は本格的なのはよいが、本格的すぎるために「舞台を用意した人間以外不可能」なものが多い。それか「途中で離脱する」など明らかに大げさな行動を取る人がいる。これについては「連載中に読者が探偵役として参加できる」というコンセプトがあるためか作者も自覚的にやっているようで、同作者の「探偵学園Q」でははっきりとそのことを講師が生徒たちにその話をしている。

そして、このエピソードでは、不自然感を軽減するように、舞台の設定をできる人間が複数用意されており、人選もランダムであるように見せかけ、殺人トリックも思いつきさえすればその人間でなくてもできるように工夫されている。そういう「メタ的な」部分で作者が自らの作品を観察して改良を加えているのが伺える。トリック的な部分はとても気に入ってます。


②逆に、人間的な描写はちょっとうーん、って感じ。
これも繰り返し書いているけれどこの作者さんの偏見なのか、編集部が「読者はどうせこんなイメージなんだろ」なのかわからないけれど東大や京大に対する変な誇張とか、IT企業社長やネットユーザーに対するネガティブなイメージとか、キャラ造形がコテコテ過ぎて、ちょっと食傷気味になる。一方でこのエピソード、犯人が殺そうとした人間は3人いて、一人は生き残るのだけれど、その人間はエグイいじめをやっていて、それが原因で殺されかけたのに、いざそれが明らかになっても全く反省する素振りがない。とにかく、犯人は殺されても同情すらできない、というイメージを演出したかったのかな。

また、とにかく金田一ワールドにおける殺人犯は、早とちりが多い。入念に殺人計画を立てるのに、そもそも殺人の動機が勘違い、ということがよくある。今回もそのケースだ。第一、お前もデブだからといじめられてた子に、親しみを込めているのはわかるが「ブー子」ってあだ名を使い続けてるし、何考えてんだよっていいたくなる。オチを前向きにしたかったからというのはワカルけど、いろいろひねりすぎたかなと。


③余談
シーズン3から美雪に違和感を感じていたのだけれど、シーズン5になってから「年が2歳くらい幼く見えるようになったけれどこれはこれで可愛い」というところに落ち着いてきたと思う。


EP39 亡霊校舎の殺人★★★

今回は高遠登場回。薔薇十字館の時から高遠の目的は以前とは変わっており、今回も殺人計画やその設備を犯人に授けるものの、殺人計画そのものにはあまり固執しなくなっています。金田一に見破られてもたいして気にしてない。

一方、金田一に先んじて200kgの金塊を発掘して手に入れるなど、着々と自分の目的は進行させています。 参考までに見てほしいのは「金のチャート」。作品中では200kgの金は9億円相当と言われていますが、金の価格って結構変わるんやで。これは円チャートですが、ドルだともっと面白いので是非チェックしてみてね。
https://www.rakuten-sec.co.jp/web/commodity/lineup/gold/long_chart.html

①トリックは2つめまでかなり好き。3つめはいまいち
EP38で述べた「誰がこの舞台を設定したんだ?」について、高遠が出てくることでそちらはあっさりクリア。それでいて、薔薇十字の時同様、大掛かりなしかけてアリバイトリックを成立させています。もう毎回高遠に関与させればいいんじゃないかな……。
二つ目までの殺人はシンプルながら、この舞台でなければ出来ない良いしかけだったと思います。 逆に言うと、2つ目までのできの良さと比べて3つ目の殺人は私でも犯人がわかってしまうくらいで、これは高遠さんマジで反省した方がいいと思う(笑)

②動機面はいまいち
マジで、この犯人心の闇抱えすぎ。明智さんが言ってる通り、この案件は普通に警察マターに出きた話だろう。復讐と言うにもちょっと行き過ぎている気がする。高遠が声をかける前から殺すつもりだったという発想になるのは、この犯人がちょっと精神的にイッちゃってるという個人の問題だと思う。教頭先生の意思を台無しにしているしあまり納得できない。
ラストシーンを見てもこの犯人救われてる感じしないしいろいろと説得力が弱い。


EP40 狐火流し殺人事件 評価★

前にも書いたけど、こういう殺人事件は読んでて萎えるからあんまり好きじゃないです。友達相手なのに殺意高すぎだし、そのことにあまり納得できないぞ……。ただ前回よりは、コミュニケーションの齟齬が起きてしまったことに対する説明や、恨みが募る期間が長くなってしまったことなど、説得力のある形にはなっているかなと。


学生明智健悟の事件簿 評価★★★

テーマは「女性をレ◯プする野郎は死ね」

若き日の明智健悟と、警部補時代の剣持さんの出会いとなるエピソード。

僕は、なれなかったんですよ。「ただ一人のためのヒーロー」にはね

短い話だけれど、トリックもしっかりしてるし、動機も納得が行く。
自殺を考えるところまで追い詰められるけど、殺されるくらいなら殺す。クズ野郎の犠牲者がこれ以上増えないようにするためにも殺す、という展開はかなり納得できる。いじめられたりレ◯プの被害にあった人は、もっと犯人を社会的に頃しやすい社会になって欲しいですよね。

この事件のアリバイトリックは、応用度高そうだから覚えておきたい。


EP41 蟻地獄壕殺人事件★

高遠登場回のせいか、殺人事件そのもののテーマ性は弱い。

犯人。舞谷かえで。久々のいつきさん登場。いったい何話ぶりだろう。

ところでEP39で、もう全部高遠に関与させればいいんじゃないかな、とか適当に書いてたら今回も高遠登場してた。いつきさんと高遠が一緒になった回はないから、わざわざ金田一関係を調べてセッティングしたのかな。高遠さん、金田一のこと好きすぎるよぉ……。そして、またアリバイトリックに利用される七瀬美雪。この子本当にメンタル鋼すぎるんではないか。

殺人の舞台はかなり大掛かりで、金もかかっているのだけれど、そのわりにやってることはしょぼかった、という印象。特に「主催者」をせっかくぼかすことはできているのに、犯人が部屋割りの際に、積極的に自分が仕切ろうとしていたり、相手の防御次第でいくらでも計画が狂いうる仕様になっており、完全犯罪とか芸術犯罪にこだわっていた頃の高遠と比べると、かなり投げやりな感じする。終わり方を見ても、明らかに話数が足りなかったのか、あっさり目だし、今回は高遠が何をしたかたのかもさっぱりわからぬで不完全燃焼巻強い。

今回面白かったのは、強制ではなく自発的にみんなをバラバラにする仕掛け。もうちょっと綺麗に使いこなせてたらすごいなぁってなってたと思う。


EP42 吸血桜殺人事件★★

テーマは「桜の木の下には屍体が埋まっている」と「加害者の償い」。ついでにいうと、この作品は被害者家族がその後全滅しており、「被害者家族の悲劇」も含まれそう。

櫻の樹の下には、屍体が埋まっている。
これは信じていいことなんだよ。
何故って。桜の花があんなにも見事に咲くなんて信じられないことじゃないか。
俺はあの美しさが信じられないので、この二三日不安だった。
しかし今、やっと分かるときが来た。
桜の木の下には屍体が埋まっている。これは信じていいことだ。

「血のように美しい桜によって人が狂う」というテーマは本当に良かった。
殺人事件が三層に重なっており、すべてが美しい桜でつながっている。
その構造はとても好き。

ただ、そのテーマの描き方としてはやや不満も残る。
ただ、その桜に狂った人たちを描くことを重視しすぎていちばん大事だと思われる冬部さんの描写が今ひとつだったかなぁと思う。
冬部さんの行動が納得できるかどうかで評価がわかれそう。私はここをもっと丁寧に描いてほしかった。殺人事件において、ホワイダニットはとても重要だとおもうし、冬部さんの行動は今までのエピソードの中でもとくに詳しく説明される必要があったと思うんだよね……。

なんだか、「異人館ホテル殺人事件」の時の文月花蓮の時なみにやりきれない気持ちになる……。