どんなに困難な状況にあっても、周りの人間が全て諦めて絶望していたとしても、貴方だけは『それでも』と立ち上がれる男でいなさい
アニメが意外に人気出そうなので「楽園」まで行くといいなぁ。
とはいえ、かなりたくさん売れたらしい「はたらく魔王さま」も
そこそこ反響があった「ホワイトアルバム2」もまだ二期の噂を聞かないし、やっぱり厳しいな…。
以下原作プレイ済人間の感想。
日常描写はバッサリ切り捨てて、ヒロインの問題にフォーカスする方向っぽい
アニメ1話、キャラ紹介、作品の雰囲気、後々の伏線含めて非常に多くの情報量が盛り込まれていました。原作のダラダラ感がウソのようです。アニメスタッフさんGJです!
この作品、原作ではまじめに全部読んでると40時間くらいかかります。学園内での日常会話を通じて、主人公とヒロインが関係を深めていくのみならずヒロイン同士が相互に関係して日常を営むところまでわりとちゃんと描写します。よく言えばすごく丁寧なんですが、悪く言えばすごいダラダラしてます。下ネタやよくわからないアニメネタなどが多く、そのあたり合わない人には苦痛でしょう。私は興味ないところは飛ばし読みしまくったのですが、それでも話が動き出すまでに3~4時間くらいかかり、この時間は個人的につらかった。
そういったダラダラした部分もひとつの魅力だとは思うのですが、アニメではここをバッサリ切り捨ててくる感じですね。
2話以降の展開についてはキャラごとの「テーマ」を意識しながら見てみるといいかも
この後の展開ですが、この作品では日常において関係性を積み重ねきて、ある閾値を超えるとヒロインが抱えている問題が明らかになってきて、それに主人公とヒロインが共に協力して立ち向かうという展開になります。(ヒロインによっては主人公がほとんど一人で頑張るルートもあります)
それぞれのキャラクターにテーマがあり
http://getnews.jp/archives/97102
・天音であれば「生き残った罰」がテーマになります。
・由美子のテーマは「生まれてきたことが既に間違いだった」です
・みちるのテーマは「生きながらの死」です
・蒔菜のテーマは「誰も守ってくれない」です
・幸のテーマは「逆らった罰」です
個人的には「周防天音」ルートが明らかにめちゃくちゃ力が入っている上に実際にダントツで面白かったと思います。ですが、「小嶺幸」や「榊 由美子」ルートはテーマの深さの割にはシナリオが正直いって微妙でした。また「松嶋 みちる」については「果実」の段階でもそこそこ愉快なキャラですが、このキャラが本当に輝き出すのは続編の「楽園」になってからなのが残念…。
(※松嶋 みちるは「楽園」でキャラが輝きまくったおかげで後に単体でスピンオフ作品の主人公になってます)
なので、希望としては「周防天音」ルート中心に進めて欲しい。ついでに、松嶋 みちるの魅力をなんとかできるだけ引き出して欲しいと期待しております。ただ、この作品、ルートによって全く展開が違うので、薄く広くカバーすることになったら辛いなー。(もちろんそうなる物語上の必然性があるのですが)
キャラのテーマに合わせて、タイトルの意味もちょっと考えてみると面白いですよ
ネットで話題になった『グリザイアの果実』が2月25日発売! フロントウイング代表に製作の経緯を聞いてみた | ガジェット通信
「グリザイア」は美術用語(フランス語)の「グリザイユ」を変化させたもので、「灰色」という意味が込められている。企画当初はタイトルを、「グレースケール」「ワールドエンド」「創世のタナトス」などにする案もあった[2]。フランス語によるタイトルは、 "LE FRUIT DE LA GRISAIA" である。
絵画の画法でモノトーンで書く手法を「グリザイユ」というのですが、これを少し、いじって『グリザイアの果実』つまり「灰色の果実」という意味が込められています。これは、ヒロインたちの状況や心境を表しています。
1話ではアニメの色合いもやや陰がかかっていたり、意識的に灰色で描写されてるところもありましたね。
この色が作品が展開していくにつれ、黒い方向に行くのか、それともカラフルな色彩あふれた描写になっていくのか。
そのあたりも注目していくと面白いです。
主人公の「さすおに」感について注目しながら見てみましょう
俺はもう後悔したくない。いつまでも、何も出来ないままの俺でいるのは嫌なんだ。なにも、世界中の困っている人間を救いたいってわけじゃない、、、目の前で苦しんでいる奴がいて、それが俺の大切な人間だったら、俺はそいつのことを全力で守りたい
この主人公は、魔法科高校の劣等生の司波達也ほどではないですが、「果実」においてはかなり無双キャラとして描写されます。
イケメンかつ運動能力万能かつ知能も高いです。さらに、それだけ高い能力を持ちながら、普通の学生として生きることを望み、また、各ヒロインのために己の身を投げ打つように問題解決に尽力します。
で、これについて「俺TUEEEEE」がやりたいだけかよ!という批判する人も多分出てくると思います。
またニコニコ動画でのブロック作業が捗りそうな感じです。
これについては
・この「俺TUEEEEEE」状態に至るまでの過程や代償
・なぜ各ヒロインを救うことにそこまで尽くそうとするのか
といった部分を想像しながら作品を見るといいと思います。
「果実」の間では一切描写されませんが、続編である「迷宮」「楽園」ではしっかり説明されますのんで。
余談「果実」はグリザイアシリーズ3部作の1作品目ですぞ~
この作品は「果実」「迷宮」「楽園」の三部作構成になっています。
「果実」では学園編が描かれ、 (総プレイ時間10~40時間)
「迷宮」では主人公の過去編が描かれ (総プレイ時間6時間)
「楽園」が本編になっています。(総プレイ時間14時間)
んでぶっちゃけ「楽園」までいかないともったいない感じでは有ります。
んで、「果実」だけだと「イケメン主人公がトラウマを抱えたヒロインを助けて終わる」というギャルゲにありがちな展開までしか進みません。「学園→異世界→本編」という三部作方式の先駆者「マヴラヴ」ほどではないにせよ、学園編だけだとそんなに盛り上がらないのです…。
(※もちろんこのフォーマットの中だけでも「周防天音」シナリオの「エンジェリック・ハウル」編は観る価値あり)
ただ、この作品の価値は、あくまで三部構成によって最終的にはこの「ギャルゲにありがちな展開」をひっくり返す所にあると思ってます(ひっくり返すといっても「イリヤの空、UFOの夏」みたいにヒロインが犠牲になって終わりとかそういう話じゃないのでそこはご安心を。
「果実」だけで終わると、むしろ作品全体のテーマを真逆に理解している状態で止まってしまうのでそこが心配。
ま、あらゆるラノベ原作読者や、あらゆるマンガ原作読者は、同じことを思っていると思うので、なんでこの作品についてだけあえて言うのか、という話ですがそれは簡単です。
私は「グリザイアの楽園」にしか出てこない、とあるキャラが持つ強烈な執念がこの作品で圧倒的に一番好きだからです。このシリーズについては正直個人的には不満なことがいっぱいあるんですが、このキャラの素晴らしさだけで他の全てが肯定できるくらい好きです。「EXTRAVAGANZA」の夢美くらいすきです。せっかくグリザイアシリーズに触れた皆さんが、そのキャラのこと知らずに終わるのは残念すぎる。なんとかならんか…。
この作品は、本当は風間雄二という男の主人公の物語ではなく、「グリザイアの楽園」にしか登場しないとあるキャラこそが主人公の物語なのです。
「所詮この世には楽園なんてない……なければ作ってしまえばいいのよ、簡単なことだわ」
VS
「生きてて良かったって、そう思えれば、それだけで楽園なのです。そうだよ、人生って、こんなにも楽しいんだから」