頭の上にミカンをのせる

「命令されなきゃ、憎むこともできないの?」(ブルーアーカイブ#3 エデン条約編3.私たちの物語)

最近のこのブログのお気に入りは「アークナイツ」です
アークナイツ
kindleセールの紹介
新NISA解説ブログ
発達障害

「逃げるは恥だが役に立つ」  小賢しさだって立派な個性!

メイド諸君!」に足りなかったものをこの作品で補うことができたような気がします。


この作品の主人公である「みくり」っていう女性が私はかなり好きです。

臨床心理士の資格を持っていて何かと分析的にアプローチしてしまう。
実際に相手のいろんなことに気がつくのだけれど、
そこからついつい「よかれ」と思ってあれこれ行動してしまう。

いわゆるおせっかい焼きですね。

ただ、今までそれが拒否され続けたり、就職がうまく行かなかったりが重なって
自分が誰かに必要とされているかどうかに自信が持てなくなってる。

もともと「誰かから必要とされたい」と言う気持ちの強さが
そのおせっかいな行動として現れているところもあり、
その気持がうまく満たされないことにとても苦しんでいる。


そのこともあって、自分を鼓舞するために妄想でいろんなストーリーをこしらえたりする癖があったり。
(このあたり私が好きな洲崎綾さんの初期みたいでそれもまた好き)

ああ、だめだなあ。
私って相手のことを考えない無神経なところがある。
だから彼氏にも「小賢しい」って振られるし、就職も決まらないんだ。

平匡さんは何もほしがってはいないのに。
私は自分の願望を押し付けてるだけなんじゃないの?

もうこれから押すのはやめよう。ハグもやめよう。
私はそりゃあ図々しい性格だけれど、
でも拒まれたらやっぱり傷つくし、
自分ばっかり押すのはやっぱり疲れる。
っていうか、悲しい。悲しいよ……


というわけで一時期凹んだりしてたんだけれど、
だからといって自分をかえることもできないですよね、と。


そこで、とある男性との関係を詰めるために、良い意味で開き直る。
ただ開き直るだけじゃなくて「どうせならうまくやる」って方向に進んでいくのが
たまらなく良いです。

小賢しくなきゃ世の中渡って行けないっての!
小賢しさはいわば私の個性!
むしろ小賢しさに磨きをかけてやる!…人に嫌われない方向で。

なぜ「小賢しさ」が嫌われるか

今までは相手のことを理解して、その後
「わかってる」自分が、相手をリードしてやる感覚であれこれやってた。
これが相手からすると小賢しい「から嫌だ」になっていたのだけれど、

「わかってる」自分、というかわかってしまう自分をなかったことには出来ないから、
分かった上で、相手のペースに合わせてうまく入り込んでいく。

これは相当ストレスがたまる。

実際、この作品に登場する男性陣はどいつもこいつもそういうのを嫌っていて、
自分のペースを乱されたくないと考えている。プライドみたいなものもあるのかもしれない。
乱されるくらいだったら結婚なんてしたくないとか、女なんて要らない、ってなってる。
きっと大学時代にみくりを振った男も、そういうタイプだったのだろう。


ほかならぬ主人公である「みくり」自身もも最初はそういう主義だった。


そんなわけで、お互い牽制しあって動けなくなってた。



ずっと相手に合わせる必要はなくて、その時々で「わかってる側」が相手に合わせると関係はまた変わる…かも

でもそこで、外的環境の圧力に対応するという必要に迫られてか、
それとも意地なのか、あるいは少しずつ気持に変化があったのか
とりあえず「みくり」の側が動いて、相手に合わせるという方向に切り替えたところ物事が動き始める。


ここまで読むと「ママと息子か!」って感じなのだけれど、
そうやって今まで引いてきた一線を越えて距離が近づき始めると、
女性であるみくり側が一方的に「わかってる」みたいな状況ではなくなってくる。


相手の男だっていつまでも待ち・受けに徹しているわけじゃなくて、
あるラインを越えたら逆に「みくり」のためを思って自分から積極的に動き始める。

女の人は、ハードルが低いところから順番にという感じなのかもしれませんが
男にしたら、最初に大きなハードルがあって、そこを越えたら後はそんなに変わりませんよ。
すくなくとも僕は

よーするに何が言いたいかというと、
対人関係において「現状」だけで考えると、なんか譲ったら損かもって思うことが結構あったりするのです。

でも、均衡状態というか見えない線みたいなものが出来てしまっている時にその時だけ自分側からエイヤで行動して関係を変えることができれば、そうなる前では想像できなかったような変化が相手に起きたりするかもしれないと。
そういうところがあるから、とりあえず今の状況窮屈だと思ったらちょっと自分の「やりかた」くらいは変えてみてもいいんじゃなか、と。いつもと違った行動してみてもいいんじゃないか、と。


本当に当たり前のことなんだけれど、こういう「もどかしいライン」の変え方って、高校生がメインの恋愛漫画とかではよくあるけど、いい年した大人どうしだと結構頭使うところなので、そういうところがちゃんと描写されてて好みでした。
若い時なら若さに任せて、とか失敗しても次がある、みたいな勢いが重要って感じになってたりすることが多い気がするけれど、大人になってきたらこういう「小賢しさ」みたいなところも大事になってくるよね、などと思いました。


この作品では女性側が先に行動してますが、男側から動くのも当然有りというかできればそうしたい。