このブログでも何回か作品を取り上げてるけれど、私は戸田誠二さんの作品がめちゃくちゃ好きだ。戸田誠二が一般的に見てすごい漫画家かどうかはわからないけれど、とにかく私はめちゃくちゃ好きだ。作家買いする漫画家さんリストにはあえて入れなかったけれど、私にとって、この人のマンガは自分にとっては好きとかお気に入りとか尊敬以上の存在だ。好きというか、もう感謝している。 同じ時代に生きててくれてありがとうございます、という気分になる。
作品は長編は描かず、短編だけ。扱うテーマの範囲は非常に狭い、と思う。科学・SFの設定を用いて(「化けの皮」など一部例外もある)「人間ってなんだろう。自分ってなんだろう。人の幸せってなんだろう」ってそればっかりをずっとずっと問い続けてる。それだけの作家さん。
結論も毎回同じだ。「どれだけ科学が進歩しても人のつらさや苦しみはやはり自分自身や他の人間との関係の中にある。同時に、喜びや楽しさや幸せも、やっぱり自分自身や人間との関係のなかにある」「人間なんて一人ではちっぽけで何も出来ないから助けあって生きていかなければいけないし、そうしたい」それしか言わない。
人によってはすぐ飽きるかもしれない。でも私はこの狭い範囲で結論も同じことを、手を変え品を変えずっと繰り返し続ける信念というか執念に心動かされてしまう。そうやって、同じような話ばかり繰り返し描いているように見えるのに、でも毎回ちょっとずつ視点や切り口が違った話になっている。描こうとしているものは最初からわかってるのに、それでも読むたびに毎回ぐっときてしまう。
自分にそういう悩みがない話でも引きこまれてしまう。共感するというよりは、なんでこの人は自分のことをわかっているのだろうとかどうしてこの人は自分に必要なことを言ってくれるんだろうって気分になる。多分、それぞれの人がそれぞれに抱えている、他の人からみたらちっぽけな、それでいて自分一人ではどうしようもない悩みや苦しみ、しんどさなんかをバカにせず、ないがしろにせず丁寧に描いてくれているからだと思う。そして、必ずしも華々しいハッピーエンドばかりではないけれど、みんながそれぞれ人との出会いを通して、それぞれの落とし所を見つけてなんとか生きていくのも優しい。
http://tyoshiki.hatenadiary.com/entry/2015/04/04/110612
「いろんな不幸事が続き、自分の感情も生きる意味も見いだせずにいた僕が」
「日本語がわからないから絵を読んでるだけなのに」
「この人は僕のことをわかってくれている」
「悲しかった。僕にも悲しいという感情があったのだということを久々に思い出させてくれた」
いいとしこいて、何言ってんだって話だけど、とにかく読んでて励まされます。
この作品には5本の短編がある。「説得ゲーム」はその中の一つ。作品の説明は特に必要ないと思う。どの作品読んでも同じことを言ってる。でも、一つ一つ違う。生きてる登場人物が違うから当たり前。
結婚してる人は「クパード・シンドローム」って短編とか読んで欲しい。
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