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「のび太とジャイアンはADHD」という話はいつから広まり始めたのか

コンビニでこういう本を見かけたのでサラッと立ち読みしてみた。


Amazonで検索してみると自己啓発書には結構この手の「ドラえもん便乗商法」が流行っているらしいです。ワンピースや進撃の巨人にもそういう本がいくつか出ていました。

マンガのキャラをこんなふうに分析して、それに合わせて対策を語る、というものというのは最近結構人気がある手法のようです。ライトな自己啓発との親和性一番高いのって、本来のターゲットであるビジネスマン以外だったらモテ系の人たちでその次くらいにマンガとかアニメとか好きそうな人たちだから商売としては正しそう。

最近はてな公式でも「ブチャラティに学ぶ理想の上司」みたいなコーナーやってます。ちなみにブチャラティをテーマにリーダー学について語るのは今に始まったことではなく三軒茶屋別館さんが4つも記事を使ってガチで分析したりしてて面白いです。わたしラブライブでもしドラパロディの記事めっちゃ好きなのでこの機会にオススメしますよ。

やはり具体的なキャラをベースに語っている分、良いことは書いてるけど抽象的でつかみにくかったり、著者の自分語りに陥りがちで読んだけどよくわからんかったー、みたいな作品よりはよりイメージしやすく伝わりやすいというメリットが有るかもしれませんね。(本当は抽象的なものと格闘して少しずつ自分のものにしていくプロセスが大事だと思いますが) 


というわけで、この作品はそんなドラえもんのキャラごとに「問題点」をえぐっていき、その解決策を語っていくという形で読みやすかったです。

たとえばのび太ドラえもんならこんな感じ。

のび太タイプ
1  ギリギリにならないとやらない
2  ぐうたらしてやる気をださない
3  飽きっぽく集中力が続かない
4  褒めるところがみつからない
5  何度も同じミスを繰り返す
6  努力を継続できない
7  人の言うことに耳を貸さない
8  口ばかり達者で行動に移さない
9  ぐずついてこちらを苛つかせる
10 考え方がネガティブ 



ドラえもんタイプ
1  自分の価値観を押し付けてくる
2  本人はよかれた思った行為で迷惑をかける
3  デリカシーのない発言をする
4  トラブルになった時に人に頼れない
5  余計なことに口出ししてしまう
6  プレイヤーとしては優秀でも指導することが苦手
7  共依存してしまう

正直言って半分以上はかなりこじつけ臭い。特にしずかちゃんはもう無理やりすぎる。

でも、各エピソードについて「のびた」以外に焦点を当てて解釈しているところなどは、普段持ってない視点でドラえもんを眺めるきっかけとなってちょっとおもしろかったです。のび太ジャイアン、スネオについて考えることはあっても、ドラえもんのキャラクターを真面目に考えたことってそういえばあんまりなかったな、と。

ドラえもんの3とか4あたり、交流分析の話が出てくるのだけれど結構ぐっときた。

私たちは年がすぎるごとにだんだん視点がドラえもんよりになっていくのだと思うけれど、そうやっておとなになったつもりで一歩引いた視点から見ているつもりでも、「見守り役、指導役」としてのドラえもんを評価してみるといろいろ悩みどころは有る。そういったところを逆にのび太や他のメンバーがどうフォローしているか、という視点で見るというのはちょっと新鮮。




そんなわけで、紹介されていたエピソードを中心に原作コミックを読み返したくなった。特に18巻は名エピソードが多いらしく実家に帰った時にまた読んでみようと思う。


ところで「のび太ADHD」という話はいつから広まり始めたのか

さて、ここからがタイトルの話なのだけれど、作品でちょっとおや?と思ったのは、「のび太ジャイアンADHDの特徴があると決め打ちして語っているということです。

こうしたのび太の行動は、いわゆるADHDの特徴に似ているといえるかも知れません。ADHDの方は、物事を計画建てて行うことが苦手な傾向があるため、「計画性がない」というタイプにアプローチするときは「ADHDの人やその周囲の人たちが行っている工夫」を取り言えると効果を発揮することが有ります。その工夫の具体的な例をいくつか挙げると……

あんまりそういう観点でこの漫画読んだことなかったのでこういう考えってポピュラーなのかな、と思ってぐぐってみると「のび太 ADHD」で検索すると結構な件数が出てきた。どうやら1997年に司馬理英子そういう取り上げ方をした本がヒットしてそれ以来この考え方が広まったらしい。

のび太・ジャイアン症候群 - Wikipedia

(DSM-IV)では、のび太ジャイアン症候群、すなわちADHDを、行動障害に分類しているが、その診断基準を分かりやすいように言い換えも行っている

ADHDの認知度向上のために著名キャラであるドラえもんを活用した、という感じかな。まあ、二次元キャラくらいならいいと思うけど、あんまり実在の人物に対してこういうことやるのは控えたいところ。



余談。これちょっと興味ある

自閉症について改めるべき4つの誤解 - GIGAZINE

「社会コミュニケーション(自発的なコミュニケーションと人間関係の形成)」
「情動調整(学習や行動のための情動の調整)」
「交流型支援(自閉症スペクトラム障害児にかかわる家族・専門家等へのアプローチ)」
の3つの領域で発達的向上を支援する、SCERTS(サーツ)モデル。