頭の上にミカンをのせる

「命令されなきゃ、憎むこともできないの?」(ブルーアーカイブ#3 エデン条約編3.私たちの物語)

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「サクラの詩」感想1  川内野 優美というキャラにものすごく感情移入

休みの日を除いては1日1時間ずつ進めるのが精一杯。あらためて私はもうergプレイするのは無理な人間になってしまったのだな、と悲しい気持ちになりつつプレイしてます。


・鳥谷 真琴シナリオ
・御桜 稟 シナリオ
・氷川 里奈シナリオ
・氷川 里奈&川内野 優美シナリオまで終了


「鳥谷 真琴シナリオ」「御桜 稟シナリオ」はやりたいことはわかるんだけどほんともうどうしようもないくらいにめちゃくちゃありきたりで時代錯誤でつまらなくて、なんでわざわざ時間かけてこんなゲームやってるんだろう……って泣きそうになったのだけれど「氷川 里奈」シナリオは好みドストライクだった。というか「川内野 優美」にめちゃくちゃ感情移入してしまった。
分岐前の日常パート部分においては、やたら同性愛者アピールが鬱陶しく、それ以外にもいろいろと行動がぶっ飛んでてなんだこのあたまおかしな子は、……くらいにしか思ってなかったんだけれど、このキャラ面白い。



説明だけだと伝わりにくいと思うんで先に他のキャラでいうと「クズの本懐」の絵鳩早苗さんとか「ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ」のチエミに通じるところがある感じです。

クズの本懐 - この夜が明けるまであと百万の祈り
回りくどい自己承認が生み出す自意識の縛り - Why do you need ...?


優美は、形式的には氷川里奈という女性に恋をしているレズビアン。なのだけれどそれほど百合百合しい話にはならない。

どちらかというと己がその女性に何も与えられず、ただ好きでいることしか出来ないことに悶々としてるやつで、この関係性はたとえ彼女が男でもなりたつ話だと思う。

優美が好きな里奈には、里奈にとってふさわしい男性がいて、里奈もその男性のことが好き(男性が里奈を愛するかどうかはルート次第)。優美だってその男性のことは認めてる。一方優美は自分のことを卑下しつつ、それでも「里奈を好きだ」という気持だけは絶対に曲げることは出来ない。

自分自身も客観的に見れば容姿もよくカラッとした性格だから他の男から恋慕されたりするが、自分はレズビアンだからその男の愛情を受け入れられない。自分には里奈しかいないと思い詰めている。

里奈は優美のことを友達として好きではいてくれるけど決して優美が里奈にそうするようには愛してはくれない。優美が里奈への愛を伝えても、里奈に申し訳ない気持にさせるだけだということは、自分自身が男の恋慕を受け入れられない時の気持でわかっている。素直に諦めるべきだとわかっている。それでも諦めきれない。

また、優美は自分が里奈を好きになったきっかけが決して綺麗なものでなかったことを自覚している。むしろ優美は自分のことを蝿やウジ虫のごとく捉えており、今の自分は里奈のことを好きだなどと言える立場ではないと思っている。それでも諦められない。

自意識が強すぎて、自分の気持にがんじがらめになり、里奈のことを好きである自分を常に否定しつつ、里奈に救いを求めずにはいられない、救いの無い生き物。 

(優美視点から一方的に見るとこうなるけど、里奈は里奈で毒キノコ少女だからそんなに単純な話じゃないけどね)

みんな、歪んだ状態ながら、好きな人のそばに居て、自分の居場所を感じてつかの間の幸せを感じている。一方で、それが長続きしないことも十分理解している。破滅の予感を背中に感じつつも、それを必死に振り払いながら、ハイテンションに今を生きようとする。こういう必死さとかが自分的にグッとくるんですよね。 
私が日常モノの作品のなかでも「ゆゆ式」がダントツで好きな理由もこのあたりにあると思ってます。


もちろん最後までこの状態だったらアレなのだけれど、この作品では彼女たちが最終的に一悶着を乗り越えて今いる幸せのその先に足を踏み出していく展開が結構好きですね。


2004年頃にプレイしたかったなぁ……(涙)

この作品のテーマは「幸せの先への物語」です。
今いる幸福(つかの間の安定した日常)状態を一度ぶっ壊して、そこからまた積み上げていく、というプロセスを
「死と再生」の象徴である「桜」や「糸杉」などのモチーフを使いながら描いています。

今の日常は楽しいけれど、ずっと続いていくものではない。
特に学生にとっての日常は終わり(大きな変化)が約束されている。

そういう終わりに対してどう立ち向かうのか。その先にどんな未来を描いていけるのか……
まだ後半が残っているけれどそういうお話に成るのかなーなどと思ってます。

すでに20時間くらいかかってると思うんだけど…ここまでで全体のようやく半分らしいです。やってもやっても終わらない……。以前はこういうのを飯も食わずにプレイして土日の二日間だけで終わらせたりしてたんだよな―。私年取ったな。悲しい。作品の内容と全然関係ないところで涙が止まらない。

本来はこの作品2004年頃発売予定だったものが諸々の事情で延期されて10年以上たってようやく発売されたもの。2004年といえばちょうど私が大学生だった時で、こういう悩みは強く抱えていたと思う。その頃にプレイしたら作品を通じて自分の悩みと格闘しながら読むみたいな体験担ってたかもしれない。

今はプレイしながら、そういう悩みもあったなぁと、ノスタルジーみたいになってしまっている。2004年頃にプレイしたかったなぁ……。でも、ちゃんと発売して嬉しい。ありがとう御座います。

2006年ころに発売されていたコミカライズ版……。まさか2015年発売に成るとはこの時誰一人思ってなかっただろうね。