FXの記事書こうと思って「インベスターZ」の10巻から読みましたが正直言ってFXの部分の話はアカンと思いました。*1
「競争や成長をしないことでこそ成り立つ個人商店戦略」の話はブロガー論としてとても面白い
その代わりといってはなんですが「個人商店」の話は面白かったです。
これ、ブロガーにとって一つの教科書として読んでも良いと思う。ただでさえ、炎上したり互助会したりと騒がしい人が目立つ中この本で語られてる内容は一つのモデルとして是非考慮する価値があると思います。
具体的な内容はこの記事が素晴らしいので是非読んでみてください。
オーナー「たとえばラーメン屋を始めたとする。競争を勝ち抜くために他店との差別化を図り、材料にこだわり、人件費などのコストもかけて行列のできる地域一番点を目指す。しかしその経営方針では激しいシェアの奪い合いに自分からとびこむことになる。一時はトップに立つことができたとしても消耗戦を繰り返すうちにどんどん経営は苦しくなっていく」
「特にお母さんのような中年女性は飲食店を始めるとき、料理がメインの商売はしてはいけない」
女子高生「なぜですか?」
オーナー「体力が続かないからだよ。調理をして提供する過程には相当な体力がいる。重い鍋を握ったり厨房の熱でスタミナを奪われたりするからだ。でもそれでは長く商売は続けられない。だから弁当屋や品数の多い飲食店は絶対に避けるべきだ」
これブロガーやってる人は頷く人多いんじゃないでしょうか。
一生懸命特色のあるブログを作ろうとして、尖ったり、過激なことをやろうとする。しかしその方針でやると無理をしているから「体力が続かない」。 差別化しようとすればするほど「似たような人との競争やケンカになる」。
じゃあどうするべきかということで6つの戦略が示されるわけです。
・シンプルなメニュー
・お客さんの数はそれほどでなくても収益が出る
・コストはかけすぎない
・ひとりでも余裕を持ってまわせる効率性
・体力を考える。休みはちゃんととる
・光る存在感がある
この1つ1つにしっかり解説がついています。
さらに「スマホ」を使うユーザーの行動をよく考えてそれに合わせた戦略を取っていく(SNS戦略)
あまり成長はしていかないけれど、無理をせず、それでいて安定したユーザーに支持されながら安定して続けられる。
そんなやり方が納得行く形で描かれています。
実はここで語られている話は「喫茶店論」としては間違い。ブロガー論として考えたほうが役に立つ
なぜなら喫茶店は土地代が非常に多いからです。
この作品の場合は「居抜き」というか「実質譲渡」だからこそ成り立つわけですが、殆どの喫茶店は土地代の元を取るために常に満員くらいでないと成り立たない。 つまり普通は店主が目指した「SLIM」は実現できない。
だから、むしろここの話は元手が要らないブロガーの話として考えたほうが役に立ちます。
そういう意味でも、「喫茶店みたいなブログ運営」を目指す人こそぜひ読んでみて欲しいです。
殆どの人って「PVや収益が右肩上がりにならないと駄目」なんて思ってないですよね。
はてなでは、なんだか「PVや収益が右肩上がりにならないと駄目」みたいに煽る痛い人がいるせいで
ついついいろいろ頑張っちゃって逆に続かない人がいるような気がします。
逆に考えるんだ。差別化なんかのために自分の書き方を工夫するのはやめちゃってもいいやと考えるんだ。
無理に目立つようなことをしようとしない。ファイトクラブとかやって人に迷惑をかけない。
商売というのはね。マーケット管理なんだよ。
どういう読者の人にどういう情報を提供するのか。
どうやって適切な記事作成やコミュニケーションのサイクルを作り、それを円滑に回していくのか。
このマーケット管理さえしっかり行っていれば、ブログを満員にする必要はない!
常に自分が対応できる数だけ目に見える読者さんがいる状態を作ればいいんだよ
もちろんこれを拙速にやろうとして互助会になっても駄目ですよ?
人為的にやるのではなく、「マーケット管理」を意識するというのを考えてみたら良いのでは。
この考え方の元ネタはこちらの方だと思います。
個人店舗、フリーランス基本の3Sともうひとつの3S: 喫茶柊/柊PROJECT
これを本当によく作品に落とし込んでいると感じます。
とてもおもしろかったです。
ただし、個人商店の衰退の話をしているのに「大店法」の話が全く無いのはアカン
「ドラゴン桜」の時から思ってましたが、この作者さんの書いてる内容って都合の良い所だけ抽出しすぎですよね。
「個人商店は成長を追い求めてはいけない」という話をしたいがために、シャッター街については自分の話に都合の良いように都合の悪い部分を完全にカットしている。まるで商店街の人間に莫大な補助金をばらまいた国の政策が失敗したかのように語ってる。
当然ですけど「大店法」の話があるべきなんですが、全く入ってないため、現実と全く別の話になってしまっている。
1992年大店法が改正され、日本中の商店街がシャッター通りと化した。 - 株式日記と経済展望
大型店の規制強化で利益を得るのは誰か | 池田信夫 | コラム | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
「ウォルマート地獄」の巧妙な仕組みを考えてみる - 新・リストラなう日記 たぬきちの首
こういう話が全く書いてない。
どこかの青二才の楽天記事か!金もらってこれはアカンやろ!といいたくなります。これ何も知らない人絶対信じるでしょ。百田尚樹といい三田先生といい岩崎夏海さんといい、面白さのためだったら現実捻じ曲げてもいいのかと。島耕作の作者の弘兼憲史さんが誠実に見えるレベルでひどい。
四季報についてもやたら美化しようとするあまり、あたかも「四季報・投資家・上場企業のバランスが良かった」かのように書いていますが日本におけるコーポレート・ガバナンスの評価が異常に低かったことも全然触れられてない。
せっかくいい話もしてるのに、基本的にはこの人はホラ吹きであるなと感じます。作者の力量が足りないとか、あんまり興味が無いとかでマクロの話できないんなら無理にしなくてもいいので、事実でない話をもっともらしく語るというのは、やめて欲しい。
しかし、三田先生自身が自分で考えて作ってるところは浅いし間違いも多いけれど、実在の人物に話を聞いて作ってるところは本当にレベル高い。麻生巌さんの話とか、私は正しいかどうかの判断ができないですが素直にスゴイと思います。こういうのがあるかぎりはこの先も読み続けていきたいなと思います。
*1:FXの話をするまで、株式取引において為替のことを考えたことがないとか、重要イベントについて考えたことがないとかもありえない。 後になって無理やりいろんなものを継ぎ接ぎしてる感じがして、実際にやってるものとしてはなんじゃこれ……となりました。今頃になって移動平均線の話するくらいなら、最初にもうちょっとしっかり学ぶイベントあっても良かったのでは。ところで「面白ハンター」さんのFXの手法の記事について、なんでこんなにバランスが悪いのかと思ったら「インベスターZ」からまるまるパクっているからなんですね。たまたま儲かった時にそれを自分の手法として公開したのでしょうね。かなりタチが悪いなと思います。インベスターZではなくちゃんと本を読んで勉強して欲しいです