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今更だけど「秒速5センチメートル」のコミック版がとても素晴らしかった

今更ではあるのですが、「君の名は。」が大ヒットしてくれたおかげで、このコミック版を読む機会を得られて感謝してます。





このコミック版を読み終えたあと思うのは、私は今まで全然「秒速5センチメートル」のことわかってなかったな、ということです。

映画版の「秒速5センチメートル」は、種子島から戻ってからの東京生活の描写が薄くその分、たくさん想像の余地があるというか、自分で一生懸命考えないとなにがなにやらわからない話だったんですね。私はそもそも映画版の主人公の声が生理的に苦手という問題があり、主人公のことをあんまり考えてなかった。





マンガで読むと、主人公の印象がだいぶ印象変わります。同一性を残しながらも、まるで別人のように思えるほど変わります。






映画の方で見ていると、東京についてからの主人公は「本人の中では」もちろん彼女がいて大恋愛していて、主人公のモノローグ中心にしてるから格好ついてますが、これカメラを引いて、第三者からの客観的な視点を導入してしまうと絶対に結ばれない二次元キャラに恋してるオタクが、格好いいからモテてる、みたいな設定に見えてしまったりもするんですよね。今期でいえば「この美術部には問題がある!」の内巻 すばるをひたすらネガティブな性格にしたようなものでしょうか。

なんというか、こちら側としては、見ていてひたすらむなしい気持ちになる。




しかし、コミック版の主人公は、ただ遠く離れたかつての恋人である明里のことを考えて欝々してるだけの男ではない。

欝々してるところは共通していても「あがいてる」「生きている」感じがあるんですね。何度も何度も挫折しながらも、可能な範囲で「良き人間であろう」「しっかりした人間であろう」と努力をし続けいるのを感じる。もちろん、それでも過去が邪魔をして前に進めないので結果は変わらないのですが、印象が大きく違う。村上春樹の小説に出てくる男より、ダメ男度は増しますが、その分好感を持つというか、親近感は感じます。




説明をされるだけで受け止め方が変わってしまう自分の読みの浅さにはトホホとなってしまうのですが、少なくとも私はコミック版を読むことで、この作品の納得度は大きく上がりました。作品そのものは変わらないわけですが、このコミック版を読んで補完することによって、受け手であるこちら側にとっては「秒速5センチメートル」の完成度が数倍上がったように感じるから不思議です。このコミック版を見た後で、もういちど映画版を見返すと、いろんな発見があり、また風景の美しさも相まってグッときます




また、コミック版では、東京生活における主人公の生き方、最後に分かれた恋人である水野さんの話も描かれています。なによりも、エピローグとして、種子島編で出てきた「香苗」のその後が描かれていて、この内容が本当に素晴らしい。詳細は読んでみてほしいのですが、このエピローグの部分において「空を見上げる」という描写が効果的に活用されてます。そして香苗が最後にたどり着く着地点は「言の葉の庭」「君の名は。」につながるようなさわやかさを持っています。「出会えるか出会えないか」が問題なのではないのだとわかります。




Amazonのレビューの数などを見るに、すでに多くの人がこのコミック版をご覧になられていることとおもいますが、もし映画を見られたうえで、このコミック版をまだ読んでない、という方がいらっしゃったらぜひぜひ読んでみてほしいです。




時系列とか把握してないので勘違いかもしれませんが、新海誠さんが実際にこのコミック版にも大きな刺激を受けたのではないかと私は勝手に推測したくなりますねw
コミカライズが素晴らしかったので、この人のほかの作品も読んでみたくなりました





余談。今見たら新海誠の作品って軒並みコミカライズされてますね。「星を追うこども」も映画版が個人的にいまいちだったので、コミック版読んでみようかな。







言の葉の庭」のコミック版はすでに読みましたが、これについては映画を見たほうが良いと思います。なんかちょっと違う……。
君の名は。」は未完結なので何とも言えませんが、小説版と1巻を読んだ感想では、やはり劇場で映画を見ることをお勧めします。