頭の上にミカンをのせる

「命令されなきゃ、憎むこともできないの?」(ブルーアーカイブ#3 エデン条約編3.私たちの物語)

最近のこのブログのお気に入りは「アークナイツ」です
アークナイツ
kindleセールの紹介
新NISA解説ブログ
発達障害

「あさひなぐ」 

薙刀をやっている以上、私達の元からアザが消えることは無いのかもしれません。それは女子高生としては間違っているのかもしれませんが、そっちの道でしかもらえない何かも、どうやらあるようなのです。

個人的評価★★★★

この漫画前々からずっと読みたいなと思ってたのになぜか今までずっと手が出せず、ようやくまとめて読みました。巷の評判通り、非常に面白かったです。

「普通の高校生が部活に入り、努力して少しずつうまくなっていく」系のマンガです。こういう系統には名作が多いですよね。自分がやってるときはしんどいだけなのに、やはりこの期間に人生の一番キラキラしてる時間があるように思えてくるから不思議。

関連作品

Baby Step ★★★★★
帯をギュッとね! ★★★★★
ちはやふる ★★★★
青空エール ★★★★
背筋をピンと ★★★
響け!ユーフォニアム ★★★

「女子高生として間違っている」かもしれなくても、やっぱり女の子は女の子

そんな中でもこの作品がいいなと思うのは「女の子のエネルギッシュさ」です。今作品の舞台は「なぎなた部」なのですが、作中に登場するなぎなた部エースの先輩の弟くんからみると、なぎなた部の女性たちはこんな風に見えている様子。だいぶ苦労させられてるようです(笑)

女なんか、大嫌いだ。
負けず嫌いで、ヒステリックだし、後先考えないし、すぐ人を利用しようとするし、
論理的な思考がまるで望めない。
あんな生物とは、生涯分かり合える気がしない!!

実際に、なぎなた部の女性たちは読者である私から見てもみんなハチャメチャなのですが、つまり、それだけみんな必死にやってるんですね。 必死でやってるから泣いたり叫んだりすごい形相になるし、逆に、喜ぶ時も全身でそれを表現してる。喜怒哀楽がすごいダイナミック。

それでいて、部活一辺倒なわけではなく、合宿の際にいろいろ遊ぼうと思ってマンガやゲーム機を持ち込んで没収される、みたいなワンシーンもあって、とにかくいろんな面が見れて楽しいです。冒頭で引用したように、主人公はじぶんが周りと比べて女子高生らしくないな、と思ったりしているようですが、やはり女子は女子で、男子とは違うなあと思います。




他にも、この作品は「女性ならでは」という部分について、良い点も悪い点も含めてできるだけ描いてやろうという作者の意思を感じますね。

女が強くなるにはね。男と同じやり方じゃダメなんだよ。徹底的に、壊さないといけないんだよ。

私達女というものはね。ずる賢い生き物なんだよ。自己防衛本能が強くて、本当の限界が来る前に自分でブレーキをかけてしまう。2時間やれば10分気を抜く。それも無意識にだ。そういう生き物なんだよ。そこに、女が肉体的に強くなることの難しさがある。

でも、普通はそれでいい。そういったものは女が普通に生きる分には求められることはないからね。ただ、今よりもっと上を目指すなら、恐れずに限界を越えていかなければいけない。

私は別の記事で、女性脳は男性脳よりも「自己中心的」であるが、それは必要なことであり、それによって子供や男も助けられているのだということを理解して付き合っていく必要があるのだ、という話を紹介したことがありますが、そういう点もこの話の中に取り込んでる。


f:id:tyoshiki:20171001113350j:plain


「女性ならではの武道」であるなぎなた、というものを通して、「女性」が強くなっていく様子を描いているというのがすごい特徴あるなあと私は思います。

女は家を守らねばならなかったし、男たちとちがって卑怯だとかそういうのはどうでもいいことだ。そうやって薙刀は、獣の道具から、弱いものが自分や家を守る術になっていったんだよ。そういう意味では、もっともお前さん向きの武道とも言えるだろうよ。

とまぁ、向き不向きなんぞ、見方一つでどうとでも言えることだし、お前の身体はお前のまま。確かなことだけをきちんと味わっときなさいよ。

よき主人公にはよき先輩がいるよね

そして、そういうテーマに最も適した形として主人公の「あさひ」がいる。

私が他のものより身体が小さく、力がないことは、何も今に始まったことではないのです。
そんなこと、最初からW買った上で、今日ここまでやってきたのです。
強くなれるかどうかは、いまはまだわかりません。
でも、たったひとつ確かなことは、今この瞬間私が踏み出す一歩は、私だけのもの。

作者が描こうとしているものがはっきりしているので、見ている方もすんなり入り込めて楽しい。
身体が小さいとか、力がないことにコンプレックスを感じなんでも一歩ひいいて受け身スタイルだったあさひがそのことを悔しいと思い、「円陣稽古」を通して輪の中に積極的に入っていく光景とかは見ててグッときますね。

円陣稽古は、とにかく前に出ないと何も始まりません。
ポジションを取るのが上手い人は、自然と対戦回数が多くなり、逆に少しでも遠慮する気持ちがあれば、人の稽古をただ指をくわえてみているしか無いのです。

まぁでも、あさひがこれほどまでに頑張れるのは、やはり主人公自身が変わりたいという気持ちを強く持っていて、また、「真春先輩」という憧れの存在がいるからだと思います。(「はじめの一歩」の幕の内一歩とか「グレンラガン」のシモンを思いだします)

こういう先輩を持てること、その先輩に付いていこうと辛い時でもくらいついていく後輩、なぜ私は自分の人生においてこういう関係ももっと真剣に求めようとしなかったのか……。 悲しい。




あさひなぐ(5) (ビッグコミックス)[Kindle版]

こざき亜衣 小学館 2013-12-02
売り上げランキング : 409
by ヨメレバ