頭の上にミカンをのせる

「命令されなきゃ、憎むこともできないの?」(ブルーアーカイブ#3 エデン条約編3.私たちの物語)

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「金田一少年の事件簿」全話まとめて振り返り シーズン3(EP27~EP29)

EP名 犯人 動機 生死 予定外の殺人
EP27 吸血鬼伝説 湊青子(22) 姉の復讐 生存
EP28 オペラ座館第三の殺人 湖月レオナ(20) 恋人の復讐 生存
EP29 獄門塾 氏家貴之(48)&濱秋子(17) 息子の復讐&片思い相手の復讐 氏家は死亡。濱は生存

EP3に入ってからは初見なのですが、そのこともあってか、非常に満足度が高いです。
特に「オペラ座館第三の殺人」は本当にお見事!って思いました。


「吸血鬼伝説」 ★★✩

金田一復帰そうそうに美雪さんがひどい目にあってしまうお話。美雪さん本人はいいとして、美雪のご両親は、自分の娘が金田一絡みで3回も殺されかけているので、そろそろ娘を遠ざけたほうがいいと思いますよ……。なぜか美雪のご両親は一切出てこないんだよね。

事件の方ですが、医療関係は命がかかっているだけにこういう動機を作りやすいのでしょうね。とはいえ、この事件、誰も悪くなかったと言えなくも無いけれど、そもそもユリアさんが希望したからと言って致死量の血を抜くのは論外だし、それに対して警察がまともに捜索しないというのもええ……ってなる。事件を積極的に隠蔽しようとしたこともあって、これはさすがに犯人が誤解して殺してしまっても文句は言えないかなと思います。

トリックについても1巻ものにしてはしっかりしており「探偵役」として金田一の思考を誘導しようとしたあたりの攻めの姿勢はすごく好き。このシナリオでやりたかったのは、一番最後の「輸血」なのだとは思いますが、まともな医療設備がない廃墟ホテルで腹をぶっさり刺されて助かるのはちょっとなぁ……。


オペラ座館第三の殺人」 ★★★★✩

物語の彼女は、光を求めてラウルを選んだ。
でもあたしは、あたしの中のクリスティーヌは、どんどん闇に惹かれていった

「今だからこそ僕にはわかるんだ。この地下の世界を作った仮面の男の、そしてオペラ座のファントムの気持ちが。華やかなオペラの賑わいの真っ只中に身を置きながら、誰にも知られずにたった一人でいようとした、彼らの孤独な気持ちが、ね」
「1人だなんて言わないで。あたしはファントムを置き去りにするクリスティーヌじゃない!」

これまでのところ最も評価が高いエピソードです。今までで一番高い点数を付けた「露西亜館」や「異人館」よりも、自分の中ではさらにもう1つ上

オペラ座の怪人」の見立ては三度目ですが、メタ的に見て「ヒロインがファントムを選んだルート」というストーリーになっているのがまず意外性があって良いです。やろうとしていることがしっかりしており、しかもそれは達成されていると感じます。

事件についても完成度が高くて満足です。殺人のためのアリバイトリックも見事ながら、それ以外に「見立て演出」のトリックもしっかりしている(蜘蛛のところなど混じり物が入っていて完成度は下がっていますが)。また、剣持のおっさんによる不測の事態にも完全対応するなど、状況変化にあわせて何パターンものトリックを準備してきたというのだから並々ならぬ執念です。物的証拠もすべて消えるように動いており、本当に非のつけようがない。目的を達成し終えた後、自分も死ぬつもりでその準備までしっかり。動機の面でも、犯人と恋人の関係の深さ、そして、被害者たちのゲスぶりがあいまって、心置きなく感情移入できるようになっている。
さらに、シーズン2までのシナリオで何度も不満を述べていましたが、殺人が終わった後犯人があっさり自殺しちゃう問題も解決している。自殺することを決めていた犯人を見事に助けるだけでなく、金田一の説教だけでなく、きっちりと生きる納得のいく理由まで用意している。アフターケアが万全です。「蝋人形館殺人事件」や「怪盗紳士の殺人」の頃とくらべてこの作品は色んな意味でしっかりした仕上がりだと私は感じました。

このオペラ座館を設計した「仮面の男」の正体は結局明らかにされないまま館が永遠に焼失してしまうというオチになってしまいましたが、それを含めて完成度が非常に高かったとお思います。
余談としてこの作品に出てきた美土里さんは思わせぶりなわりに単なる登場人物でしかなかったけど、すごい好きなのでまた出てきて欲しいなぁ。



「獄門塾」 ★★★✩  「金田一&明智 VS 高遠」再び。

「首吊り学園」のグレードアップバージョン。シーズン3に入ってから見どころが少なかった美雪にシーズン2までの調子が少し戻ってきて私は嬉しい。

「舞台を作り出した人間が犯人」や「殺害のタイミングを調整できるやつが犯人」という金田一少年の約束も踏襲しており、そういう意味では既視感が強いです。そういう意味で一人目の犯人はたとえ隠されていてもすぐわかったでしょう。

ただ、そういう既視感を上手く利用し、既視感を与える行為をとっている人間が犯人で有ることはあえて読者に隠さず、その上で共犯を見つけてみろ、というバージョンアップした謎掛けになっているのでむしろサービス満点だなぁと感じます。

事件の手口も見事で、アリバイトリックと死体移動トリックが分割されており、さらに後付で「見立て殺人」を取り入れるなど組み合わせがかなり面白かったです。ただ、見事ではあるのだけれど、高遠が絡む事件はハードウェア側に金かけすぎなんじゃないですかねw 大掛かりすぎると全く頭が働かない……。


余談ですが、金田一少年シリーズではもはや定番になってきたこれは一体……。
「芸能事務所はブラック(速水玲香さんはEP27では幸せそうだったけど)」
「医者に手術されると死ぬ(そのくせ金田一の身内は必ず助かる)」
「進学塾ではいじめで人が死ぬ(そして死んだ生徒は先生の恋人か身内)」
物語が作りやすい、のレベルを越えて偏りすぎている気がするので、なんか作者には変な思い込みでも有るんだろうかと心配になりますw