評価★★★(良作品)
絶望の森を、慟哭の荒野を、悲痛の海を、幽冥の時間の中を狼は歩く。かつての戦友を殺すために‥‥。異形の者たちを狩り続ける、終わりのない暴力の旅路。
今までも面白いとは思いつつも思わせぶりの描写が多く未開示の情報が多かったので今ひとつ入り込めなかったのだけれど、8巻で過去編が描かれ、グッと作品と読者の距離感が縮まってきて、今が一番読みどころだと思うのでおすすめさせてもらいます。
このタイミングから読み始めるとすごく楽しいと思う。
かつて神だった獣たちへ(8) (講談社コミックス) | ||||
|
作者さんにはすごい失礼な作品の紹介になるし、読者さんにも、こういうおすすめかたされたら逆に読みたくなるなるような話ではあるのですが。キャラクターもストーリーも、「今までみたことあるな」って思う要素がおおいので、私は新鮮な驚きは感じませんでした。
でも、思い出す作品はどれも私が好きな作品の好きな要素を集めたものであり、キャラクターの描き方、絵の美しさなど含めて非常に質が高い良作だと思います。とにかくすごい好き。この作者さんは「黄昏乙女アムネジア」も「結婚指輪物語」もそうだけど、本当に安定して質の高い作品を作られているのですごいなぁと思う。
連想した作品について(こういう作品が好きな人にはおすすめ)
下で上げている作品が好きな人にはもちろんおすすめだし、逆にこのあたりの作品をまったくしらないということであれば、これらの良作のエッセンスを、全く知らない状態で一から楽しめるのだからとてもおすすめです。どちらにしてもおすすめってことだな、うん。
・戦争で国のために身を売って怪物となった者たちが、戦争が終わった後の生き方で苦しむという物語としては「パンプキン・シザーズ」が最も近い。他に「棺姫のチャイカ」を思い出す。「テラフォーマーズ」や「進撃の巨人」もちょっと違うけど通じるものはある。
Pumpkin Scissors(21) (KCデラックス 月刊少年マガジン) | ||||
|
棺姫のチャイカ(5) (角川コミックス・エース)[Kindle版] | ||||
|
・ただしその上で「道を外れた仲間を殺していく」という話なので、「クレイモア」とか「東京グール」などの要素が結構強い。
CLAYMORE 27 (ジャンプコミックス) | ||||
|
・怪物たちの国を作ろうとしている敵方の描写とかは、「ベルセルク」の33巻以降を思い出す人も多いと思う。実際怪物たちの姿はかなり意識してるんじゃないかなあ。
・個人的には8巻の過去編で描かれる、「天才で美人の姉」を巡る主人公とケインの三角関係の部分が好き。志は高いがまだ若くてひよっこのクロードを指導していく展開も含めて「軍靴のヴァルツァー」みたいな楽しみ方ができる。
軍靴のバルツァー 11 (BUNCH COMICS) | ||||
|
主人公と、彼女につきしたがう少女シャールの関係には「クロノクルセイド」的な要素も感じつつ、シャールのキャラクターが非常に好ましいため新しい可能性を感じる。だけどまだまだ本領発揮とまではいってないので、真の評価は10巻以降になるのかな。
クロノクルセイド(新装版)(8) (ヤングキングコミックス)[Kindle版] | ||||
|
同作者の「異世界もの」もすごく面白いのでおすすめ
ちなみに同作者(二人組ユニットです)が別誌で連載している「結婚指輪物語」は異世界ものだけど、面白い作家さんが描く異世界ものは本当に面白いんだなぁって感じます。「小説家になろう」作品が好きな人は是非読んでみて欲しい。
女子高生、異世界で新妻はじめます。
幼馴染みのヒメから別れを告げられた男子高校生・サトウ。ヒメを追いかけてたどり着いたのは、なんとファンタジー世界!! そこでサトウはヒメと結婚し伝説の勇者・指輪王になることに――!!
結婚指輪物語(6) (ビッグガンガンコミックス) | ||||
|