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個性を出すことができても、それを保ち続けることは難しい

来月に行く予定なので「伊賀の里モクモク手作りファーム」という農業テーマパークの本に関する本を読んでます。

本によると、このテーマパークは

・年間50万人の来場客で、年会員が4万人。

・客単価が同業(農業公園)の3~4倍の4000円程度。

・通信販事業の売上の9割は会員から上がっている。

・若者が就職したがらないと言われる農業でどんどん若者の志願者がやってくる

などの成功をおさめているそうです。

いろいろ読んでいくと「お客様は仲間」という意識が強かったり、運営についてもコミケ…というよりは優れたソシャゲー会社のような理念を感じます。他にもいろいろとユニークなサービスが多そうなので今から楽しみです。

私は普段はほとんど金使わないのですが、こういう時くらいは面白そうなものがあればじゃんじゃん体験してみたいと思ってます。





さて、本の中では、次々とユニークなサービスを提供していく上での哲学のようなものが語られています。

特に「ブランドづくり=個性」に関する考え方の部分が面白い。

個性には、個性を出す → 個性を客に近づける → 客と一定の距離を保つ の三段階がある

そこでは第一の秘訣として「お客の心を読んで、垣根を低くする」が挙げられていますが、

2つ目の秘訣は、「お客のニーズを掴んだ上で、そこからどう距離を置くかを考える」となっています。


どういうことか。これについて地ビールを例にして説明されています。

一時は全国に350社あった地ビール工場が今では100社ほどに減った。
撤退した理由は簡単。

地ビールが生まれた当時はどこも個性的なビールを作っていた。
しかしもっと消費者がよろこぶ、もっとうまい地ビールをつくろうとした結果、アサヒスーパードライに近づく
消費者ニーズに近づくから一時期は確かに売れる。

しかし、お客様はふと考える。
『なぜ(アサヒスーパードライと)同じなのに、値段が二倍もするのか』と。

それから売れなくなる。

これほんと難しいなーと思います。


ネットとかブログでいうと


①個性を出すだけならある程度できるかもしれない。
 特に、あんまり注目されてないうちは自分が思ってること書いてるだけで個性出てるかも。


②でも、それをただの一人よがりで終わらせず
 ある程度多くの人に受け入れられるようにするためには、
 ターゲットを決めて、その客のニーズをしっかり掴んでそれに近づいて行かないといけない。
 ちゃんとそのお客に届くように丁寧に形を整えて伝えていかないといけない。


③そうやって、ある程度客のニーズがつかめてきて、それに合わせられるようになってきたとしても
 いくらウケるからといって、単に人気の話題を提供することに特化しすぎてしまうと
 個性がどんどん薄くなる。
 それなら、2ちゃんまとめやGIGAZINEツイッターのトップなんかを見ればいい、ということになってしまう。



こうならないために、

・自分はこういうところを重視してます、
・絶対にここは譲らない

というポイントが明確になっていることがとても重要になってくる、という話が書かれています。



例として、モクモクファームでは施設内に一つも飲料水の自動販売機がないだとか、
製造しているパンや地ビールについても、一般的なユーザーのニーズとは少しずらしたものを貫いているそうです。
一般的に求められているものは知っているが、ここでしか提供できないものを楽しんで欲しい、というところでブレない。
そのかわり、一般的なものではないかもしれないけれど、ちゃんと満足させる。そこに絶対の自信を持っている。



ということで、個性を出すと一言で言っても、段階によって考え方が変わってくるのだなーという話でした。
萌えによる村おこしとかにも関係してくる話だと思うので、そういう観点で読んでみてもとてもおもしろい本だと思います。*1


なにはともあれ、いまからモクモクファームいくの楽しみです。

*1:ttp://tm2501.hatenablog.com/entry/2014/11/04/073000