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「命令されなきゃ、憎むこともできないの?」(ブルーアーカイブ#3 エデン条約編3.私たちの物語)

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「3×3eyes 幻獣の森の遭難者」   自分は世界と何を「交換」するのかを考える

人間の幸せってのは基本的に「交換」なんだよ。物理的にしろ精神的にしろ、交換による化学反応で幸福感が生まれるんだ。宇宙飛行士の資質もそれさ。どんな状況でも「交換」できるやつさ。つまり、もらうだけじゃつまらないのさ。我々は与えることにも喜びを感じるんだ。

完結してたのでまとめて読みました。
短編ゆえに非常に完成度が高いです。旧作のファンには文句なしにおすすめ。

この作品は「交換」というキーワードが軸になっています。

非常時になればなるほど、人は焦り、恐れ、怒り。思いやりの交換が困難になる。だからこそ俺は言います。
ベナレスに勝てる気がしなくとも。「大丈夫だ、三只眼!」

パパ、ママ……幼い私にとってはあなたたちが世界のすべてでした。だから世界は苦痛でしかなかったわ。浄化されればいいと思っていました。私は呪っていたの。世界の苦痛に対して、私は呪いを「交換」して生きていたの

でも、祝福をくれる人もいた。パパ、ママ……私はあなたたちを呪っている暇なんかない。だって、世界は広かったから。
祝福には祝福を「交換」したいから。 だから……この世界に祝福を!!

世界は誰にとっても思い通りにはならない。ただその世界に、何を見つけて、それに何を返すか、が大事。

ひとつ前の記事で書いたけれど「日本死ね」「○○は殺せ」のような形はやめるべきです。「呪い」を返すなら、世界はそれ以上の力をもって自分に呪いを返してくるだろうから。まなめはうすで有名なまなめさんは、繰り返し「良いサイクル」の重要性を語られていました。だからこそ「どうすればうまい交換が循環するか」を考えたいですね。最初は人に力を借りるとしても、その助けを十分に活かせたり、それに報いることができればいい方向になるかもしれない。逆にいろいろアドバイスや情報をもらっても、それを全く活かせなかったら、みんな呆れて相手にしてくれなくなってしまう。今自分がやっている行為が、どちらの循環をまわしているのかを考えたいですね。

「運命の輪は二重だ/左へ回れば悲しみを運んでくる。右に回れば喜びを運んでくる。右回りの運命を呼び込むことが、あたしの人生との付き合い方なんだ」

「運を右回りにする努力を怠ってはいけないよ/なに、難しいことじゃない。女らしさを磨くのと一緒さ/いるべき場所、いるべき時間に、そこにいるようにしな。着るべき服、言うべき言葉、整えるべき髪型、身につけるべき指輪と一緒に。女らしさは運と同じさ。運の使い方を知ってる女が、一番の女らしい女なんだ。そういう女に限って運は右に回るのさ」 (マルドゥック・スクランブル





「交換」をするためには、「真実」を見なければいけない

もう一つ「生きる」とは何かについてもこの作品は語っていました。

良い意気込みだな小娘。だが、幻で作られた森の中にいては勝てぬ。真実をしれミチル!闘いはそこから・・・・・

眼に見える世界は虚構であることが多い。似非は白日のもと、真実は闇の中を好むでな。だが気を落とすでない。虚構が不誠実であるとは限らん

やつのしでかした罪と、その代償が均質では、俺に感動がない。俺は裁判官ではない。心根を重んじている。妥当な量刑よりも、さらに大きな試練と困難を自力で乗り越えてこそ俺の赦免の気もわこうというものだ。

「生」とは現実にあらがうことなのだ。実在せぬ森で安らかに眠る姫にはわかるまい!わかるというなら、現実にあらがって生きるが良い!

上の交換の話ともつながっています。交換について考える際、「何を見るか」によってその取引の内容は大きく変わるでしょう。よく言う話ですが、一時的に幻想に逃げ込むことは必要なことだってあります。現実が厳しければ厳しいほど、常に直視していたら、疲れ切って動けなくなることだってある。だけれども「交換」を行う際に、現実から目をそらしてはいけない。それは、嘘つきになります。嘘つきは「交換」に参加できません。なぜ現実を見なければならないかというと、まさにこの「交換」をするためだと思います。


自分が何を受け取っているのかを見つめ、自分が何を与えたいのかを考える(そのための努力もする)。これが本当に徹底してできるなら、人生でそこまで困ることはないはずなのです。でも、単純だからこそ、一番難しいことだと思う。


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