まわりみちをしても、まっすぐあるいても。
どんな道の傍にも、花は咲いている。
あなたが気づくのなら……
中世的な世界観の中に若い女王「タニア」が統治するカルバニア王国という国がある。この国の公爵の一人娘「エキュー」を中心に展開される物語。トップのマンガ紹介で★5をつけている作品の一つです。本当に大好きでずっと続いて欲しい。
一番好きなコマはここ。タニアほんとかわいい。
この作品の雰囲気がほんとに好き
この作品の良さってうまく言葉に出来ないんだけれど、本当に読んでいて気持ちが良い雰囲気なんですよね。
決して優しいの世界じゃないです。むしろ最初はみんなすれ違ったり偏見でいがみあっている。今まで女性公爵の前例などはなく、女性主人公に対する身分社会や男社会の壁もある。
みんな思い通りにならないことばかりで、ひねくれたり、諦めたり、それを取り返そうと子や他人にその苦しみを押し付けようとしてしまう。そういう積み重ねのせいで、難しい事だらけで糸がこんがらがりまくってる状態からスタートしてる。
母様は、跡継ぎを跡継ぎをと言われ続けたのに、命をかけて産んだのは女の子だった。
そのまま死んでしまった。なんてつまらない人生……
泣いている……ふたりとも同じように。
忘れてた…この二人は、兄弟だったんだ
私は誇りを持ってやっているし、この仕事が大好きなんだけど。
「男のくせに女のドレスやアクセサリーなんて作って」ってよく言われるんだ。
男のくせに、とか。女のくせに、とか。
良くないよな。日常の中でつい使ってしまうけど。人を縛る言葉だ…
エキュー……お前は……お前には男らしくとか女らしくとか言う前になによりも自分らしく生きることが大切なんだな……
でも、それがいろんな回り道を経てひとつずつ、すこしずつ、解きほぐされていくという展開なのですよ。世界は優しくないし人も簡単に分かり合えたりしないけれど、そこから逃げずに向き合っていたら、何かしら希望が残されているという「おとぎばなし」を信じたくなるところがいいよね。
主人公が公爵家でタニアも王女だから、上流階級の話じゃんっていうひねった見方もできるんだけれど、良くよく見るとそうじゃない人たちも混じってて、そういう人たちもしっかり立ち位置を見つけてむしろ王や貴族をきっちり動かしてるのとか見てると、自分のいる場所で頑張ろうって気持ちにもなれます。
その軸となるのは「自分らしく生きる(ために妥協しない)」ことなんだな、と。
ありのままにとか自分らしくとか、言葉だけでいくら言っても無駄で、それだけなら「今の社会のあり方に合わせる」人たちだって努力してるんだから納得するわけない。(これがわかってない人最近むっちゃ多いよね)
大変なのはわかってて、それでもなお「私はこうするんだ」と決めて、その自分らしさを通すために、意地を張って頑張ってる人たちがこの作品では描かれていて、そういう人たちに対しては作者の優しい目線を感じるのです。 そういうところにほっとするのかな…と思ったりしてます。
16巻まで進んで、ようやくエキューの家督相続、タニアがついに母親と再会を果たすシーンが描かれました。10年位待ったかな……。 今から読む人はやきもきせずに切れの良いところまで進んだのでぜひこの機会に手にとって見てください。
カルバニア物語(16) (Charaコミックス)[Kindle版] | ||||
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なかなかこのクラスに好きになれる作品ってのはそうそうないので、まだ読んでない人が逆に羨ましいくらいです。
Under the Rose 9巻 - この夜が明けるまであと百万の祈り
Under the Rose 8巻 - この夜が明けるまであと百万の祈り
カルバニア物語が陽の物語なら、Under the Roseは陰の物語という感じですね。