とある魔術の禁書目録は現在新約の13巻を読み終わったところです。
禁書目録を読めば読むほど、どうしても比較してしまい「fate」って作品はすごいなぁと感じます。逆に禁書目録には構造的にこれ以上物語を広げることに限界が来ていてかなり苦しいなぁと思うわけですがなんとか頑張って欲しいです。禁書目録はfateの看板である「アーサー王物語」についてはかなり意識的に避けていると思われ、ブリテン・ザ・ハロウィンのときも新約12巻の時も、迂回的に触れているのが面白いですね。
それはそれとして。この記事ではクロックワーク・プラネットの話。「マリー・ブレゲ」の扱いが、禁書目録における御坂美琴に似ているなあという与太話をちょこっと。
「あんたは子供だ。
ガキはガキらしく泣きわめいても誰も文句は言わねえぜ」「いうわよ。
誰が言わなくても私が言う。
絶対に、許さない。
ここで折れて泣きわめきなんかしたら
私は、私が台無しになる。」
禁書目録における御坂美琴と同じく、この作品に登場するマリー・ブレゲは主人公属性の持ち主。
己の正義を信じ、苦難にあっても決してくじけること無く人を助けようとする。
まさしく「ヒーロー」ってやつですね。
実際にこの物語でも「禁書目録」のシスターズ編の御坂美琴のように、人々を助けるために全力を尽くす。
でも、この物語は、そのマリー・ブレゲを徹底的に追い詰め、心を折りにかかる。
彼女の限界を突きつけ、彼女が行動すればするほど状況が悪化する構図を作る。
自分が正しいと信じたことをやった結果が、このザマなんて……
どうする?……どうって……もう、私には何も出来ない。
くだらないメンツのために2000万人の命が捨てられようとして、
死ぬ思いで救ってみれば、今度はそのためにもっと大勢の人が殺されようとしている。
何なのよこれ……
正義なんて無い。信義も誠心も、ちっぽけな悪意で歪められる。
こんな世界何の価値があるの…?自分の行いに誇りを持ち、正しいと信じてきたことをしてきて。
それでも届かないものがあると理解した。それでも、ナオトと一緒なら、何かを越えられると感じた。
その彼も、私が死なせてしまった。
こんなちっぽけな自分にできることなんて、もう、何も……
こんな感じで一回完全に心が折れてしまったところで、
主人公が、彼女のそういう心の弱さや嘆きも全部ひっくるめて抱えこんで
彼女が守ろうとした物ごと救ってしまうってな展開に成ります。
主人公が普段は無能者だけれどウルトラチート能力の持ち主というのも禁書目録ぽいですね。
これはマリー・ブレゲにとっては良いことでも有り悪いことでもある。
異教の神を妖精や悪魔にしてしまうのと同じように
「主人公」を「ヒロイン」に堕とすというのはなんか一つのパターンとして形成されているのかな。
SAOもアクセル・ワールドも、ここまで露骨ではないにせよアスナさんの扱いとかこんな感じだし
こういうのがロマンに感じられる人は多いのかもしれない。
まぁ流れとしては、ツンデレだのなんだのと言ってた頃から比べて
ヒロインをしっかり強度を持って描くに至った結果こうなったという考え方もありますし、
「イリア」や「最終兵器彼女」、「ハルヒ」のように
逆にヒロインが男を振り回したり男を救ってしまう作品が人気だった時期もあるし
色々ある中の一つのパティーンくらいに理解しておけばよいのかな。よくわかりません。
とりあえず、大事なのはこの後に「ヒロイン」に降格してしまったマリー・ブレゲがどうするか、ですよね。
禁書目録においては、
あのあとしばらくずっと御坂美琴は自分の身の回りレベルでは主人公モードをこなしつつ
どうしても上条当麻との展開では後ろから追いかける、悪く言えば従属する立場にいたのだけれど
それでもヒロインの座に安住することは拒否して、
新約10巻や13巻のように、上条当麻に並び立つ存在となろうともがいてますね。
マリー・ブレゲの場合はもうちょっと違った形を見せてくれるのかなと思うと、ちょっと楽しみです。説明はしませんがハルタっていう存在もいるしね。