BBCでイギリスの労働生産性がヤバいというニュースをやっているが、左端の国がもっとヤバい。 pic.twitter.com/2GqAcpIZaH
— 橋本一径 (@KazumichiH) 2017年10月7日
まーだこういう話してんのか……。
こういうので日本だめだーって言ってるやつはね、立憲民主党のtwitterのRTの12000中11900が非表示だーって騒いでるのと同じだと思います。
少なくとも、上のグラフだけ見て日本人「労働者の」生産性が低いと思ってる人はなんというか「チョロ」すぎるかなあと。
私もよく分かってるわけじゃないですが、おかしいなと思う点を思う点を4つ紹介しておきます。
補助線1 物価・賃金との関連性(高インフレ国とデフレの国の労働生産性を同条件で比較してどうすんの?)
いきなり説明してもアレなのでまずこれ。労働生産性は購買力平価によって調整されますが、それでも「名目賃金」も「消費者物価指数」も下がっているのにGDPが上がってる国の労働者が、他の国と比べて「サボっている」と思いますか?
(出典 http://www5.cao.go.jp/keizai2/keizai-syakai/k-s-kouzou/shiryou/1th/shiryo4-2.pdf)
労働生産性と賃金の関係はにわたまになりますが、さらに「民間消費デフレーター」まで含まてみれば、相関関係は明確です。
米国ですら、賃金や民間消費、物価の上昇と比べたら労働生産性の上昇は小さいです。
さて、こんだけ賃金も物価も抑えられて、それでも「国全体で」労働生産性をプラスに持ってきている日本の労働者が他の国よりサボってると思う?
よく日本で実質賃金ガーって喚いている人いますよね。
アメリカの実質賃金は最近こそすごい上がってますが、その前にどういう地獄があったのかご存知ですか?
(出典 http://investmentandbeyond.blogspot.jp/2015/01/blog-post_9.html)
アメリカはここ10年前まで、物価はどんどん上がるけど、賃金の上昇が全く追いついてなかったわけです。
確かに、労働生産性のグラフだけ見たらアメリカは日本よりずっと上ですよ。
でも、それによって、日本とアメリカどっちのほうが住みやすい国になったと思う?
階層によりますが、上のtwitterのグラフだけ見て、アメリカのほうが日本よりいいと思ってる人は
相当アッパークラスの人なんでしょうね。羨ましいですね。
正直「投資」をしなければ、一般市民は賃金だけでは生きていけない国だと思うんだよなぁ……。
補助線2 業種別の生産性比較(今どの業種の生産性の話してるか意識できてます?)
(出典 http://www.keieibunseki.com/seisan/index29.html)
http://www.jpc-net.jp/annual_trend/annual_trend2016_full.pdf
みんなだって言わなくてもわかってるでしょ。
「サービス業の」労働生産性が異常に低いし、その割合が高いんですよこの国は。
労働生産性が低いことだけが問題なら小池さんみたいに労働生産性の低い業種を
スギ花粉みたいに「ゼロにする」とか「排除」でもしたら解決するんじゃないですかね。
ついでにいうと、サービス業の生産性が異常に低いのは
顧客が値上げを一切許容しないことがまず最初にあります。
だからこそコスト削減のために「派遣」が問題になってるわけです。
ついでに言えば「IT化」が全く進んでないのもかなり大きい。
後で説明しますが、労働生産性は今の計算式だと人を機械に置き換えたり、人を減らすだけで生産性上がリます。
だからオートメーション化が進んでる製造業が労働生産性が高く、労働集約的な仕事は非常に労働生産性が低くなります。
その調整について「労働生産性」という指標は何も考慮していません。
補助線3 大企業VS中小企業
ついでに言うと、この国は「労働生産性が高い」ということがどういうことかもよくわかってるはずです。
(出典 http://www5.cao.go.jp/keizai2/keizai-syakai/k-s-kouzou/shiryou/1th/shiryo4-2.pdf)
はい見ての通り。
大企業が、子会社や系列の会社に負担を押し付ける形を取ってるわけですよね。
今はこれの是非は問うてません。 仕組みとしてはこういうことです。
よく「大企業の人間は無能なのに有能な自分たちに仕事を割り振ってふんぞり返ってるだけ」って批判している人いますよね。
でも、「労働生産性」が高いのはどちらか。 大企業の社員です。
最終製品を顧客に高く売り、調達面において優位性を確保できていれば労働生産性は高くなります。
補助線4 交易条件
当たり前だけれど、資源価格が上がったり、為替が大きく変動したり、TPPなどの条約や貿易協定を結んだりして条件が変わるのも大きいです。
というか、日本の特に大企業は、営業利益率が低いため、この為替変動や資源高の影響をめちゃくちゃ大きく受けます。
んで、日本の場合この通り。こんだけ条件悪いにもかかわらず労働生産性下がってないわけですよ。
日銀、交易条件指数の公表取りやめ 「実態反映せず」 :日本経済新聞
これについては詳しくはこの本読んで下さい。
超マクロ展望 世界経済の真実 (集英社新書) | ||||
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こういう補助線を理解せずに「労働生産性」を語ることの無意味さがわかります?
このくらい補助線引いてみれば
少なくともOECDの「労働生産性国際比較なんかしたところで、意味がないことくらいわかりますよね?
普段何事においても「主語がデカい」って言ってるはてなーのみなさんが、まさかこんな主語デカすぎ案件にツッコミを入れないとかありえないよね。
専門知識のない素人の私が統計を扱う際に気をつけてること①その数値がどうやって算出されているのか(計算式)
簡単な計算式でないと無理です。統計はなにかと難しい計算式使ってるものが多いので、こういうものはもう基本的に言及しない。
その代わり、計算式の仕組みがわかるものについては、ちゃんと自分で確かめる。
「労働生産性」ガー計算式は
OECDの各国比較の場合
労働生産性=GDP/就業者数または(就業者数×労働時間) (購買力平価(PPP)により換算) です。
企業の労働生産性は、分解するとこうなります。
つまり、マージンをあげるか、従業員を減らせばいい。儲からない事業や部署はすべて仕分けすれば労働生産性は上がるよ。下請けをいじめたり、値上げをすればいいのです。そうすれば労働生産性上がるよ、やったね。んで、それが出来ないのはなんでかって言うと、あまりに長い間デフレが続いたから値上げというものがもはやほとんど不可能になっているからですよね。
なんでずっと安倍首相や日銀が一生懸命デフレ退治、インフレ推進をやろうとしてたか分かってたら、
今現在の日本の「労働生産性がー」みたいな話って絶対しないと思うんだよね……。
専門知識のない素人の私が統計を扱う際に気をつけてること②計算のもととなるデータはどういう数値なのか
これについても、正直チェックは難しいです。
基本的に政府機関が出しているデータはそこそこ信用してますが
専門知識のない素人の私が統計を扱う際に気をつけてること③まったく知らない世界の話は統計だけで判断すると間違いやすい
たとえば、東大についてまったく知らない青二才さんが東大について
①や②のルールを守らずになんちゃってで統計だけを見て東大について語っても全く見当ハズレの記事を書くことになります。
こういうことにならないように気をつけましょう。