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「1518!」 退屈な日常を楽しくするための「企画」という考え方

個人的評価★★★★★

類似作品
サクラクエスト(アニメ) ★★


高校生の生徒会活動を通して「企画」というものの難しさや楽しさを教えてくれる作品。

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「夢を奪われた」「人生のままならなさにぶち当たった」人たちが集まって、些細な事だけれども自分の身の回りの小さな世界を変えていくことを楽しんでる「1518(イチゴーイチハチ)」の世界は、すごくキラキラしていて良いなと思う。

高校生といえば部活ものが目立ちがちで、文系科目だと部室に閉じこもって仲間内に閉じた世界を描いてしまいがちだけれどこの作品の生徒会役員どもは「企画」というちからを持って、多くの人を巻き込む。自分たちだけが楽しむのではなく、周りを楽しませる。
そんな「企画」を実行していくために何が必要かとか、それって本当に楽しいことなのか?とかそういう話を描いてる。

昔より自由ではなくなったかもしれないけれど、ちゃんと手順さえ踏めば今だって楽しみ方はある。そのことを教えてくれる人が身近にいないだけ

この作品は「生徒会」という、経験がない人からしたらイマイチ実態がわからない活動をしてる人たちの物語。登場人物たちは夢半ばで破れたり挫折したり諦めたり、そもそも夢を持てなかったりした人たち。そういう人たちが、「生徒会」を通じて目立たないけれど人たちの役に立ったり自分たちであれこみ「企み」をしてみんなでバカやって楽しむって光景を描いてます。


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(©イチゴーイチハチ!1巻)


「究極超人あ~る」って学園コメディ作品が昔ありました。ハチャメチャですごい楽しい作品ではあるのですが今みたいに子どもたちがガチガチに縛られてる世の中であをやっても、「そんなのフィクションじゃん」っていって共感出来ないでしょう。

でも、今の空気の中でも、それよりもっと普通の小さなことでも、十分に楽しめるしやり方次第では昔よりもっといろいろできるんだよってことをきっちり描いてくれてる。こういうのって今の自分にとって一番グッとくる描き方だなぁって思います。「昔は良かった」じゃなくて、「今だったらこういう楽しみ方があるよ!」ということを示してくれる人は、すごい魅力的じゃないでしょうか。

昔より自由ではなくなったかもしれないけれど、ちゃんと手順さえ踏めば今だって楽しみ方はある。そのことを教えてくれる人が身近にいないだけです。そういう人を見て、自分も同じように何かやってみようって思えたら、人生少しは前向きになれそうじゃないですか。


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好きな作品を語る時に、他の作品をsageるようなことを言うのは良くないのですがあえて書くと、私はWeBマンガで一番人気と言われる「RELIFE」という作品はあんまり好きじゃないんです。面白いしとは思うし、読んでて楽しいけど大嫌い。内輪感があまりに強すぎる。内輪感という言葉では物足りない。箱庭感が強すぎる。主人公たちだけが露骨に贔屓されててその空間だけが幸せに描かれてるから。そのせいでものすごい壁を感じるんですよね。

もちろん、そうせざるを得なかった事情というのはわかるから、それがダメだというつもりはないんだけれど、こちらとしては「遠い立場からの観客」としてしか楽しめない。非現実的な設定、ファンタジーとしてしか楽しめない。ちょっと違うけどきらら系作品を見てるのと同じ。あれは「勝手に改蔵」のオチと同じ「セラピー系マンガ」なんですよね*1


そんな完全におっさんになってしまってる私でも「イチゴーイチハチ!」なら壁を感じずに楽しめるのは、やはりこどもにもおっさん的にも通じる「普遍的なものを扱っている作品」だと思う。「学生だから」「この物語の設定だから」って壁はその物語を楽しむために必要なものだからってのはすごくよく分かる。それでも、その壁が露骨に自分を拒否するように描かれるとたまに辛くなる。この作品は、そういうところは感じないです。おっさんの私でも素直に楽しめる。これって簡単なようで結構難しいことだと思うんですよ。そういうところがホント好き。

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しかしこの作品「ガンスリンガー・ガール」の作者が描いているってのが面白い。「オールラウンダー廻」とか「電波教師」みたいに、大きな世界やハードな世界観を扱ってた人が学園モノ描くとハズレないこと多いですよね。

*1:ちなみに「RELIFE」はそれを意識的にやってます。このメタ的な要素があるからこそ楽しめる。「モラトリアムのやり直し」→「どこかでそこからの脱出」が描かれることが約束されている。外の世界は残酷であるということを描きつつ、どこかでそこに戻らなければいけないわけでその先の部分が私は早く見たい。「結城友奈は勇者である」の続きと同じくらい楽しみ