評価★★(個人的評価★★★)
薔薇戦争が題材のマンガ「薔薇王の葬列」について紹介したので
ついでに、主人公が薔薇戦争時代にタイムスリップするSF作品「マリーブランシュにつたえて」をご紹介します。
こちらでも紹介されてますね。
この作品ではヨーク家の血を引く女主人公シェアラと、ランカスター家の血を引く青年リーが、ヨーク公の娘「マリー・ブランシュ」という人の遺言によって許嫁の関係にされてしまいます。シェアラがそれに反発し(別にリーのことが嫌いなわけではない)、マリーブランシュに文句を言うためにタイムスリップをするところから話が始まります。
第一章
実際にタイムスリップして「マリー・ブランシュ」に会ってみると、彼女はヨーク公の娘なのに敵方であるランカスター家を支持するサマセット家のギルバートと隠れて恋仲になっており「ロミオとジュリエット」みたいな状態になっています。さらに、マリーは何者かから命を狙われており、危険な状態。
なのに、マリーはギルバートのために城を抜け出そうとしたり一生懸命。シェアラはそんなマリーの姿に憧れを懐きます。
マリーのあのパワーはどこから来るのかな。自分のことなんかちっとも気にしてない。ギルバートのことで心を一杯にして、、、すごく、キレイだったな
と、この時代に染まりかけていた頃に、リーがシェアラを連れ戻しにやってきます。
リーは無愛想だけどシェアラのことが大事だったんですね。
でも、シェアラがこの時代にとどまろうとするので、心配といらだちからちょっと怒ってしまう。
いい加減にしろ!
マリーブランシュの遺言にしても書くのはマリーの勝手だ。
それをとやかく言う権利はお前にはない。
お前がそれに従いたくないなら、自分の場所で逆らえばいい。
人の生き方にちょっかい出してないで、自分の事くらい自分でどうにかしろ!
リーの叱責にショックを受けつつも、シェアラはこの時代にとどまり、マリーとギルバードの関係がもとで戦争になろうとしているのを止めようと奮闘します。
それでも戦争が始まろうとするところで時間切れになり、リーとシェアラはマリーとギルバートの関係を見ること無く現代に戻ることになります。
別れ際にマリーはシェアラに感謝の言葉を述べます。
わたしね、シェアラのおかげで沢山勉強してしまったわ。
自分の未来は自分で作るもの。誰にも強制できないものなんだってわかったの。
本当は自分のしていることに自信はないし、間違ってると思ったことも有るわ。でも自分の心には嘘はつけなかった。
私の一生が私のものなら、私は私に悔いがないように生きなきゃいけないのよね
ただ残ったのは、マリーの遺言状だけ。
彼女は、シェアラとリーの関係が今後良くなることを祈って遺言を残していたのでした。
タイムスリップしてご先祖様の恋仲を取り持とうとしたシェアラ。
未来の子孫の恋が成就することを祈って手紙を書くマリー・ブランシュ。
時代は違っても恋する女の子は通じ合う。そんなお話。
マリ-・ブランシュに伝えて (花とゆめCOMICS) | ||||
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第二章
ここで終わってても余韻があっていい話だと思うのですが、続きが描かれます。
現代のシェアラとリーは、マリーの遺言の効果もあってか結婚して子供も生まれます。
一方、マリーとギルバートの仲は当然時代背景からも厳しい。マリーは国王の妹として、当時最有力の貴族ネヴィル家の男と結婚することを強制されます。(「薔薇王の葬列」でいえば、キングメイカーであるウォリック伯もこのネヴィル家。)
ギルバートとマリーはこれを拒否し、家を捨て、駆け落ちすることを選びます。
この後の展開は、実際に読んでみてほしいなと思います
その瞬間で私の時が留まるのだとしても、私は後悔なんてしないわ。
だって、後悔しないように生きたんですもの。
もし、人の目にそれが無惨に映ったとしても
希みは叶わなかったわけじゃないの私はいつだって幸せだったもの。
自分の思う通りに生きて素敵なことがいっぱいあったことを貴方に伝えたい。
どこかで諦めていたら知ることが出来なかったたくさんの宝物を、私持っているの。あなたのくれた勇気のぶん、私のありったけの気持ちを込めていつもあなたに呼びかけるわ。
ここから未来のその向こうまで。
愛してる、幸せになって。親愛なるシェアラ。
それにしても、1話を読んだ時に、歴史ではヨーク公リチャード・プランタジネットの娘に「マリー・ブランシュ」という名前はないよなー。っておもってたらそれが伏線になっているとは思わなかったぜ。
ちなみに、この作品はやまざき貴子さんの「アカデメイア」シリーズのうちの一つ。
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このGONDWANAもめっちゃおすすめです。古い作品ですが、三冊まとめて読むとすごく面白いので是非。
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こちらはヴェネツィア時代のお話。 この作者さんは「ッポイ!」と「ZERO」しか知らないという人も多いと思いますが、私は歴史系のマンガも面白いと思ってます。
読んだこと有る人いたら是非はてなスターとかブコメでお知らせください。私が喜びます
余談
ちなみに、この作品にはあまり関係がありませんが、薔薇戦争では結局「ランカスター家」側のリッチモンド伯ヘンリー7世が勝利しています。もっというとサマセット公の従妹であるマーガレット・ボーフォートがヘンリー7世の母親です。とはいえ「ヨーク家」のエドワード4世の娘がヘンリー7世と結婚して子供を作り、今もその血脈がイギリス王家だったりします。どちらの血も現代に生きてるというのがすごい。