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が面白かったので、同じ羽崎さんがコミカライズを担当されている「まんがで読む古典 更級日記」も読んでみました。
そして、合わせて「平成時代の元祖文系オタク女子の日記」もセットで読みました。
「更級日記」は受験でも頻出のためストーリー自体はよくご存じだと思います。
togetter.com
このまとめて一番面白かったのがこのツイートなのですが
『更級日記』、特にそのオタ少女パート読んでて思うのは、「いみじ」って形容詞は、現代の「ヤバイ」だってこと。「はなはだしい/素晴らしい/おそろしい」の意味のある「いみじ」は、「ヤバイ」と同じようにプラスにもマイナスにも働く形容詞。
— 頼れるアンクルうさぎ小天狗 (@USAGI_koTENGU) 2013年9月12日
実際マンガでもテンションが上がって「ヤバイヤバイ」って連呼してる様子が描写されていてとても微笑ましい。
これとか完全にオタクの聖地巡礼の感覚ですよね。
ところで、「まんがで読む古典 更級日記」については結婚後のエピソードはバッサリカットされており、オタク女であった若いころを全力で描いており、後者はきちんと最後まで描き切っています。また、作中に出てくる同じ歌でも、マンガによって解釈が異なっており、そのあたりも読み比べがとても面白かったです。(例えば、家を出た後戻ってこない義母に向けて送った歌に対する義母からの返歌など)
どちらか片方という意味でいえば「平成時代の元祖文系オタク女子の日記」をお勧めしますが私は両方読んでよかったと思います。「見せ方」によって作品の印象が変わるのがとても面白い。
※ものすごいプレミア価格になってるので注意。みんなは図書館で読みましょう
「オタクの引きこもり」が32歳の時に就職してコミュ障で苦労する、みたいな展開も現代っぽい( ;∀;)
上のtogetterで触れられてない部分をちょっと補足
・菅原孝標娘はあまり美人ではなかったらしい。そのため感情移入していたキャラは身分も近く印象も地味目なヒロイン「夕顔」や「浮舟」だった。
・姉は子供を出産したのち死ぬが、その前に自分の死を暗示するようなことを言っていた。生前に彼女が探し求めていた本が死んだ後に届くなどオカルトめいた展開も。
・togetterまとめに出てくる「大納言の娘の生まれ変わりの猫」は火事が起きた際に死んでしまう。
・仏法の勉強をさぼっていたせいで、夢の中で坊主に怒られることがしばしば。
・<子しのびの森>のエピソードすき。
・29歳の時点でまだ結婚せず。父は仕事を引退、母も出家。一家の代表に。
・今まで両親の反対で仕事もしたことがなかったが、32歳の時に家事から逃げるために宮仕え。後朱雀天皇の第三女 祐子内親王家のもとにパートタイムで就職。32歳まで引きこもりだったのでコミュ障。知り合いもおらず。初顔みせの日はのため緊張疲れしてしまい、いきなり夕方に退出して自己嫌悪で嘆く。
気を取り直して本出勤をはじめるものの、集団生活に疲れて10日で一旦家に戻るなど、最初はかなり苦戦した模様。
33歳の時に結婚
・仕事は細々と続けていたが、33歳の時に親の意向で39歳の「橘俊通」と強制的に結婚させられる。そのあとしばらくの間、家事など忙しく物語から遠ざかってしまう。そうこうしているうちに、源氏とのロマンスなどの妄想もあまりしなくなる。
・しばらくしてふたたびパートタイマーとして宮仕えを再開。セレブの「源資通」と出会って話をしたりというイベントも発生。この時に春と夏と冬、どれが一番好き?と聞かれて詠んだ詩が彼女の代表作
あさみどり 花もひとつに 霞つつ おぼろに見ゆる 春の夜の月
(あさみどり色の空も、桜の花もみんな一つに溶け合って、かすみながら見える春の夜の月ってサイコー!)
何度かロマンスのチャンスはあったけれど、あまり関係が深まらずフェイドアウト。オタクに恋は難しい。
・幼いころの反動か、やたらと寺参りに熱心になる。
・50過ぎてから、宮仕えをやめる。夫は仕事で信濃に行くこととなり、孝標娘は京都で子育て。しかし、夫は1年後に病死してしまう。
「更級(姥捨て山があるところ)の月」という章で終わるから「更級日記」
月も出でて 闇にくれたる姥捨に 何とて今宵 たづね来つらむ
夫が任官していた信濃の更級という地に姥捨て山があった。彼女は「私も世間から捨てられたような身の上だから、暗闇なのは山も私の心も同じ」という感じでこの歌を詠んだ。
すでに世をはかなむような気持ではあったけれど、
幼いころから自分をいやしてくれた創作物を自らも書くことによって悲しみと向き合うことに決める。
その後「更級日記」を書き、さらにそのあと「浜松中納言物語」などの作品を執筆したとされる。
というわけで、オタクの少女は母になって、晩年に創作者として生きた証を残す、という物語でした。
私も50過ぎてまだ生きていて生活に余裕があったらつまらなくてもいいから小説でも書こうかな(笑)
というわけで、マンガで読む古典シリーズ、かなり出来が良いので、ほかのシリーズも読んでみるつもりです。あわせてこのあたりも読んでみるかもしれません。