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中堅向けの進学塾を舞台にした「二月の勝者」という作品があるが、ちょうどこれと同じような家庭が登場する。
この作品では2巻で、塾だからこそ生き生きできる子供たちがいるのだというエピソードを紹介し、3巻では子供たちの勉強へのモチベーションとは何かを描いているのだが、
教育虐待が話題だけど実際はこんな感じで
— あさひんご@hulu民 (@asahineru) June 26, 2019
学校だと勉強できても少数派だから楽しく勉強できない子が、塾だとイキイキしてるみたいなケース
が結構あると思う pic.twitter.com/n3K0NdkrnZ
4巻では一転して「教育虐待」についてのエピソードを登場させている。
高校受験や大学受験しか経験がない親が、偏差値58以上の中学校を子供に受験させようとする時に問題が起きやすい
ひとつ前の記事で、トップ校受験(偏差値65以上)では中堅校受験とアプローチが大きく変わってくる、という話を書きました。
この漫画ではさらに偏差値55以下とそこから上のレベルは完全に別だと語っています。
ルールを理解せずにただコツコツまじめにやっているだけだと偏差値55~58でいったん停滞期が来ることがあります。そこから上は個別の単元だけではなく広い単元の基礎がすべて身についていることが必要になるからです。
これは高校受験や大学受験しかやったことがない親の人が結構見落としがちです。下手に大学受験でいい大学に受かっている親の場合、ここで自分の子供が思ったよりいい偏差値を取れないとルールの違いも判らずに怒ったりします。
まして、自分がまともに受験で成功しておらず「子供だけはいい学校に通わせたい」と思っているケースはさらに危険でしょう。勉強してない親ほど、自分は勉強してないのに勉強量と偏差値を一直線のものだと勘違いしがちなので。(実際は階段状というか、マラソンの第一集団、第二集団みたいな感じになります)
準備もせず、塾の計画も無視して受験問題をやらせ、思った通りの点数が出ないとキレる親
この4巻の親は、さらに「まだ準備ができてないのに」塾の計画を無視して自分の子供にだけ先に受験問題を解かせます。しかも時間まで本番形式で。
何にもわかってない親がやりがちなやつ(゚∀゚)キタコレ!! 特にマンガ内で説明はされていませんが(したほうがいいと思うんですが)、この親は中学受験どころか大学受験の経験もないのかな?
そして、「子供が塾のテストでは偏差値60以上取っているからこのくらい大丈夫だろう」と勝手に考えて偏差値50代の本番試験を受けさせ、初めての挑戦なのに思った通りの点数が出ないことでキレて子供に当たり散らす。
ちなみに、この子供はそれまで親のいうことに忠実で「偏差値60以下はクズ」みたいな教えまで素直に受け入れてほかの子供を馬鹿にするような言動をしていた。そのためよりどころである「偏差値60以上であるという自信」や「親の承認」を失ったことで孤立し、精神崩壊寸前まで追いやられます。
マンガではここから先はあまり掘り下げずにいったん保留になっていますが、これはかなり根深い問題なので、ぜひ実際にマンガを読んでみて、自分が親だったらどうするか、とか考えてみほしいです。
二月の勝者 ー絶対合格の教室ー (4) (ビッグコミックス)
- 作者: 高瀬志帆
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2019/02/12
- メディア: コミック
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(最新話では父親の暴走再び状態になっています)
教育熱心だけど受験のこと知らないで思い込みだけで子供に厳しくする親はかなりダメ
先の記事でも述べた通り、いきなり本番形式に挑戦したら、実力がある子でもかなりの確率で悪い点になります。時間をかければ一つ一つの問題を解ける、ということと本番で何点とれるかは別の話だからです。
最初に失敗し、本番の難しさを知ったうえで、計画的に点数を上げていく。こういうメンタル面でのフォローや計画を立てさせるために塾講師とかチューターがいるのであり、この親はそこで完全にやってはいけないことをやってしまっている。
教育熱心だけど受験のことよくわかってなくて、とりあえず子供を勉強机に向かわせたり点数が悪かったら叱ればいいと思ってる親はマジで「銃殺すべき無能な味方」です。ハガレンで部下に殺されてたあの人。しかもその無能な味方が司令官だったら部下である子供は死ぬしかない。
良かれと思って自分の子供を苦しめる親になってしまうって悲劇すぎるやん……。
今後、ネットとかで、受験経験がなかったり、昔の経験だけをもとに語るアフィリエイターが誤った情報を流せば流すほどこういう悲劇が増えるような気がしてちょっと怖い。医療問題だけじゃなく教育に関しても情報の質はかなり重要だと思う。
学校不信論とか塾不要論とかはすごい良くわかるけど、本当に慎重になってほしい
親は親で学校や塾で嫌な思いをしたり自分なりの成功体験を持ってると思います。でもよかれ悪かれそれはバイアスだし子供に直接適用するのは危険です。私のこの記事だってバイアスとか私情がかなり入っているはずです。
私自身は、塾は必ずしも必要ではないと思ってます。でも「経験のない親がなんとなく思い込みでやる」よりはましだと思っています。塾はどういうところが得意で、親はどういうことができるか。オンライン映像授業や通信添削はどうなのか……。
今はいろんな選択肢があるので、0か1かで考えないでほしい。「何が必要か」を理解したうえで、それぞれの特性をよく知って子供のために最適なポートフォリオを組んであげてほしいなと思います。