という記事を書きました。
これについて興味深い質問をいただきました。
そもそも、何が難しいんですかね?中学受験って。
例えば、大学受験の経験だと…露骨に問題が日東駒専とマーチの間、地方国公立と、旧帝ぐらいで違いが出てくる。日東駒専まではそんな難しい問題出ない代わりにちょっと多くて面倒だったり、記述問題自体がすご~く少ない感じで…みたいなのがあると思うんですよ。それに対して、中学生ってそんなに問題に露骨に難易度差があるように見えなかったです。
「瞬発力」とか「小4から準備」とか「レベル高いところだと適正が」とか出てきてるけど、なんかイメージがし辛い。だから、何がどう難しいかがわからん。そんなに勉強しないといけない理由がよく見えない。
これについて、少し長いんですが真剣に回答してみます。
- 親が中学受験の難しさをよく理解せずに、勝手なイメージをもって子供に中学受験をさせるのはかなり危険
- 「なぜ中学受験が難しいか」=ゲームに例えると「クリアできるのは当たり前でそれだけでは物足りずにRTAやってるようなガチ勢」と勝負しなければいけないから
- 「できるだけ高得点でなければ」「100点満点から難点間違えたか」という考えの親はだいたい子供をつぶす
- 子供が中学受験に強いマインドセットを作れるかどうかは、親の考え方が非常に重要になる
- 教育虐待は「親の受験に対する無理解」が大きな要因を占めている(正しく理解してれば少なくとも「虐待」にはならないはずです)
- 追記 ほかの人からの意見について
親が中学受験の難しさをよく理解せずに、勝手なイメージをもって子供に中学受験をさせるのはかなり危険
この質問をしてくれた人は独身なのですが、もし同じような考えでお子さんを受験させようと思ってるならかなり危険だと思います。
「敵を知らず己を知らずに戦いに挑む」という状態に見えるからです。
以下の説明は、認識不足を理解してもらうためにわかりやすさ重視で少し誇張していますが、でも大枠は本当にこんな感じです。
もちろん私の理解が偏っている可能性もあるので、うのみにしないで、ほかの人の意見なども探してみてください。
「なぜ中学受験が難しいか」=ゲームに例えると「クリアできるのは当たり前でそれだけでは物足りずにRTAやってるようなガチ勢」と勝負しなければいけないから
そうですね。問題の難易度が異常に高いというわけではないです。
まじめな話、〇〇さんが例えば今灘中とか洛南中の算数の問題解こうと思ったら、もちろん全然簡単ではないけど意外にできる問題があったりすると思います。(すごい発想力が必要な問題もありますが、それらは捨てることも可能です) 少なくとも答えを見ればあ、なるほどって納得できるレベルの問題は結構あるはずです。
ただ、実際に試験時間内に解けって言われたら、練習してない人は2割か3割しかできないんじゃないかなと思いますね。
例えば灘中の場合、合格最低点が6割くらいなんですが、時間内に6割取ろうと思ったら相当厳しいですよ。序盤の問題あたりは何度も類似の問題パターンの練習こなして「思考せずに解き方が思いつく」くらいになってないとまず無理です。
①灘の算数の問題見て難しいなーとか言ってたり一問当たりに10分とかかかっちゃうレベルの人はそもそもお呼びではない。半分くらいの問題は考えずに道筋のイメージが浮かんでこないと厳しい。そのレベルまで徹底的に反復して定着してないと門前払いです。なので「教育」とは別の、格ゲーのコマンド練習みたいなものが必要になってきます。それが苦痛だと思うようなら向いてないです。
②そこまでやっても時間内に全部とくのは無理です。本当に難しい問題もあるし。なので、後は自分が解ける問題と解けない問題を瞬時に見極めて無理な問題は捨てるのも大事。この2つを組み合わせて、制限時間内で何点取れるかっていう最適化を繰り返していきます。これによって、最初は3割くらいしか取れなかったのが65%から70%までできるようになります。RTAみたいなもんですね。
このようにトップ校ほど「加算法」「ちりも積もれば」の世界なんです。世間の人が「優等生」とかに抱いてるスマートのイメージの逆です。すごい泥臭い世界です。自分が確実に得点できる塵を集めて6割、7割にしていくんです。この過程を心を折らずに、むしろ楽しんで続けていける人が一番受験に向いています。
〇〇さんが言う通り、中学の問題は大学ほど問題そのもので異常に差別化されてるわけじゃない。だからこそ、単に難しい問題ができればいい、みたいな話じゃなくていかに制限時間内で高得点をとれるかという高度なゲームみたいになってるんですよね。
あと単純に合格者数少ないから入り口が狭いです。バイオハザード7とかで、普通にプレイしている人なんていなくて、みんなRTAにチャレンジようなガチ勢が500人いる中で、さらにそのうち上位165名しか合格できないって考えてください。どんだけ厳しいかわかると思います。
こう聞いたら子供や親によって向き不向きがどれほどはっきり表れるか分かると思います。普通に楽しんでプレイしたいだけの人には少なくともトップ校狙うのは向いてません。
「マインドセット」っていうと自己啓発っぽいですがこの本はそういう本ではないです。「自己肯定感や自己重要巻を高める」ために教師としてどういう取り組みを行ったかという実践の本であり、コールバーグの道徳段階説なども紹介されているので子育てを考えている方にめちゃくちゃ役に立つと思っています。「できるだけ高得点でなければ」「100点満点から難点間違えたか」という考えの親はだいたい子供をつぶす
ここすごい大事なところなんですが。子供がそういう「最初は低い点だったとしてもめげずにコツコツ積み上げる才能がある」とします。 しかし親がその重要性を理解できてなかったり反対の考え方だったりすると、親が原因で子供が才能ごとつぶされてしまいます。
保護者の方々で受験勉強やったことないと、学校の定期テストのイメージしかないせいか、勉強というものを「100点をとる勉強」のイメージで考えてたりします。なんか勉強できる人間はスマートなもんだと勝手なイメージを持っています。これほんとに受験ということを考えると害でしかないです。
もちろん、一つ一つのことをきちっと理解して積み重ねていくのは必須です。復習テストでは100点を取れるようにしよう、ってのはわかる。でも、模試とかでテストの点が低いのは当たり前ですし、そこで子供に対してキレる親はただの邪魔です。間違いなくこういう親だと子供は地獄を味わいますね。(浜学園の場合、オープン模試だと高得点取りやすいですが、志望校別模試は本当に難しかったです)
子供が中学受験に強いマインドセットを作れるかどうかは、親の考え方が非常に重要になる
復習になりますが、一番いい子供のマインドセットは
①どんどん問題に取り組んでは間違えて
②わからんかったらすぐ答えを見たりどんどん質問して「理解して」
③間違えたりわからなかったところはその場で何度も繰り返して説きなおして定着させる
です。