先日書いた記事の続き。
エロ同人メインのDLSiteをやってるエイシスが上場企業のゲオ傘下であるのを知らなかった、という人が結構多かったみたいですがこれに対して記事への反応を見ると
①上場企業がエロやっていいの!?って反応がちらほら。
②また、紹介したのが男性向けエロ同人だったせいか「女性向けエロやBLの需要はどうなっているの?」というコメントもありました。
この2点について簡単に説明しようと思います。
先に結論から
古来より新しいメディアや規格争いにおいて、エロが需要をリードしていたことは皆さんご存知だと思います。きれいごと抜きで、エロを制する者が最先端技術を制す。DMMが自社戦略を「ピンクオーシャン」と称していた話はとても有名だと思います。(現在は巨大金融企業ですが)
電子書籍でも同じです。
①については「上場企業がやってる電子書籍サイトは全てエロやってます。というか、電子書籍市場ではエロ需要がとても重要です」。そもそもAmazonKindleがエロ普通に売ってるのになぜ日本企業がダメと言ってるのかよくわからない。
②については「そもそも電子書籍市場の急激な発展は、女性向けエロがけん引してるといっても過言ではない。女性の性欲は偉大」という感想です
前置き DLSiteを越える驚異の成長率を誇る女性向け電子書籍プラットフォームたち
https://www.stockclip.net/notes/2165
https://www.entertainment-future-lab.net/2018/05/25/6600/
このように市場は2009年あたりから比べて全体として7倍くらいに膨らんでいます。そのほとんどがスマホやタブレットで読まれていることもわかりますね。
サービス見たらわかりますが、別にスマホシフト成功っていうほどスマホアプリの出来はよくないです。それでもこれだけの成長が実現してる。紙の置き換えだけでは説明が付きません。
というわけで、電子書籍ではどういうサービスが女性のエロ需要に応えているのか確認してみましょう。
勝ち組上場企業が運営している電子書籍サイトについて
とりあえず上場企業をメインにしてチェックします。以下「サービス概要」と「女性向けエロ・BLについて」簡単にまとめます。
ただ、多すぎるのでできる範囲内で。足りないところがあったらコメント等で教えて下さい とにかくサービスの数多すぎぃ!
RENTA!:運営はパピレス。もとは富士通の社内ベンチャー事業から
初めての人でも簡単に読めちゃう。コミック1冊100円レンタル、Renta!
(業績)
DLSite以上の成長率。なんと10年間で6倍。「五月」さんこと片山晃さんが大株主であったことでも有名です。
(サービス概要)
なぜ成功したのかというとサイトを見ればすぐわかります。女性向けコンテンツがめちゃくちゃ充実してるからです。とくにエロ。
①男性向けはキャンペーンが乏しいが、女性向けはテーマ特集がものすごく充実しておりコンシェルジュサービスとしてものすごく優秀。ほかのサービスが「女性向け」と雑にくくっているのに「女性向け漫画、ティーンズラブ、BL、女性向け小説」とそれぞれが独立したタブを用意しそれぞれに多数のキャンペーンやテーマ特集が組まれているのがわかります。どうみてもガチ腐女子が作ってます本当にありがとうございました
②さらに差別化要素として48時間100円で読める貸本サービスがあります。これによって、作品のプロモーションがやりやすいんですね。例えば今だとtwitterで人気の「先輩がうざい後輩の話」が100円で読めるようになっています。
←100円だったら読もうって気になる作品多いよね
③個人的に面白いなと思っているのがRentaにしかない「コミックシアター」。コマが動画のように動くので楽しい。今はエロ作品メインなのだが今後もっと増えてほしい。現時点では速度が遅すぎるので4倍速とか選べるようになってほしいです。
(女性向けエロ・BLについて)
上でもすでに述べたように、ここの会社の編集部はたぶんガチの腐女子がスタッフとして活躍しているような気がします。すごいうらやましいな。
投票ありがとうございます!/ 投票総数は76976票でした(≧▽≦)上位108作品をランダムで発表します! みんなの推しBL108作品!
投票総数をみればわかる通り圧倒的なユーザー人気があります。ジャンプの人気投票でも最近はなかなかここまで投票数が得られないと思います。
めちゃコミック:運営はインフォコム子会社のアムタス
【無料試し読みあり】夫の扶養からぬけだしたい | 漫画なら、めちゃコミック
たぶん今一番広告がうざいのはこの会社だと思います。私この漫画とトイプードルの広告が山ほど表示された時期があり割とガチで嫌い。ところで男性読者からは侮られがちなこのサイトですが、実は電子コミック市場において売り上げが非常に大きいです。
すごいどうでもいい話なんですが、インフォコムは帝人グループで、医療系事業に強いシステム会社です。医療系についてはPACSという情報システムが必要で、このためインフォコムにも画像処理技術に強みがあります。そんなシステム会社のネットビジネス部門が独立して発展したのがアムタスです。なおインフォコムはRenta!運営のパピレスの大株主でもあります。
(業績)


(サービス概要)
こちらも女性向け作品が非常に多いのが特徴。というかほとんどが女性ユーザーで、会社の資料によると女性比率76% 広告を見た印象の通り「女性の不満を代弁したり解消したりする作品」が非常に多いのが特徴。夫婦問題、婚活、不倫、SNSなどとにかく女性の欲望に応えてくれるマンガが大量にあります。特定のコーナーでは男性ヘイトが強すぎてうげーってなるかもしれません。 男性がほとんど知らないこのサービスが電子コミックサイトでトップクラスの売り上げを誇っているというところから見ても、女性ユーザーの消費力がいかに恐ろしいかわかると思います。
(女性向けエロ・BLについて)
このサイトは特にBL特集のようなものはありません。セックスのにおいがあんまりしないサイトであり、それ以外の需要を集約しているような印象がありますね。女性がどんなマンガを読んでいるのか知りたいなら、このサイトにある人気ランキングあたりをチェックしておいたほうが良い気がします。
ComicFesta &彗星社: 運営は株式会社ウェイブ
comic.iowl.jp
「僧侶枠」で有名な会社。アニメも配信してます。ここもインフォコム社員が起業して立ち上げた会社です。グループ会社一覧にないので資本関係はそれほどないようです。
(業績)
売り上げ30億。
マイナビ - 学生向け就職情報サイト
(女性向けエロ・BLについて)
ド直球女子生向けエロに特化してます。
ebookjapan(旧Yahooブックストア):運営はYahoo系列のイーブックイニシアティブジャパン
(業績)
(サービス概要)
私のイチオシサービスです。サイト・アプリともにものすごく完成度が高い。
さすがYahooというだけあって、AmazonやDMMを除いては最強クラスの品ぞろえを誇ります。電子書籍サイトにしてはアプリ版の出来が良く「マンガONE」のように毎日無料でマンガが読める仕組みになっているのもポイントが高い。(ほかの電子コミックサイトは総じてサービスが悪いです) 「全巻まとめ買い」だとさらに5%分がポイントになるため、Yahooプレミアム会員の場合「全巻読破.com」よりお得になるケースもあります。Tポイントやペイペイが使えるので還元率が高いほか、Yahooプレミアム会員だと常時15%還元くらいになるのでKindleで割引になってない新刊を買うなら絶対にお得です。新刊たくさん買う人は絶対に登録しておくべき。
(女性向けエロ・BLについて)
専用ページの充実ぶりを見ればどれほどエロに力を入れているのかわかります。男性向けよりはるかにキャンペーンの数が多く、オリジナルBLレーベルまであります。特集ページ見る限り、編集部の気合の入れようが頭おかしいレベルであり、中の人のガチオタぶりがうかがえます。
ebookjapanオリジナルBLレーベル『BLfranc(ビーエルフラン)』
オリジナルBLレーベル「BLfranc」はまさに「BL解放区」!アホもエロも真面目に作ってます!快感に喘ぐとろ顔男子を集めた『とろ顔本。』では5作品を無料で読める!!
電子書籍サイトは「多様なエロ需要に応えやすい」「本屋には置けない類の本も置ける」という強みがあります。売り場が隠れていてもレジに持っていくのがためらわれる類の本が、電子書籍の特設サイトでは強烈にプッシュされているのは非常に特徴的ですね
BookWalker:運営はカドカワドワンゴ
ライトノベルシェアNo1電子書籍ストアBOOK☆WALKER
(業績)
(サービス概要)
「ComicWalker」や「ニコニコ静画」で作品を読んで、そこから作品を買う人はとりあえず登録しておいたほうがいい。ラノベやなろう系に特化しての割引は常時行っている。80%還元の時なども結構ある。とにかくポイント還元があるときに買う。ただし「ポイント還元」なのでたくさん読む人じゃなければおすすめしない。しかしそれ以外にも割引があって、ここでしかない割引もある。例えば2019年6月15日から幻冬舎の小説やビジネス書全額50%還元セールをやっていた。
通常時はポイント還元も低く魅力がないが、新刊があった時にその過去作が割引になったり、映画化・アニメ化などがあった時に原作が割引になったりと話題作にかこつけたセールが多いため、アニメや映画・ドラマなんかを見る人で、原作も読んでみたいとなったことがある人などにおススメ。
電子書籍サイトとしての使い勝手はいまいち。いろんなサービスがバラバラにあって統合しきれてない感じがある、ニコニコと同じようにまたどこかで大きくUIが変わるような気がする。
(女性向けエロ・BLについて)
BL(ボーイズラブ)【月間ランキング】 1~100位
他サービスでは各メディアの編集者が思い思いのテーマや特集など組んでいるなか、ランキングメインというストロングスタイル。ただし実際にノベルに関しては利用者数が多いのでとても参考になる。ここでチェックしたうえでほかのサービスもチェックするといいと思う。
まんが王国:運営はビーグリー&アンドファクトリー
【JKハルは異世界で娼婦になったが1冊無料】まんが王国|無料で漫画(コミック)を試し読み[巻](作者:平鳥コウ,山田J太)
(業績)
(サービス概要)
上場するまでエログロ広告をばらまいてネットサーフィンの不快指数を上げつつ利益を稼ぎ、上場してからはお行儀よくしだしたのはいまだに許してないよ。その時のせいで印象は最悪なのだけれど、他のサービスと違って単体ばら売りではなく月額会員をできるだけ増やして会員制を柱にしようとしており取り組みは面白い。
「有料会員になっても読み放題ではない」のも面白い。オリジナル作品を作ろるのに積極的で「君に愛されて痛かった」や「男性恐怖症だった私がAV女優になるまで」などの作品が連載されている「ウツツ」レーベルはまんが王国内のサービス。そういう意味で作家を育てるために投資しているという点では応援したくもある。
https://www.excite.co.jp/news/article/Itmedia_nl_20190705016/
①無料会員登録したらかなりの巻を無料で読めるので、無料マンガで読みたいものがある人は登録してもいいとは思う。
②ポイントを購入してでも読みたいものがあるなら月額会員になるとかなりお得。3000円で3780ポイントをもらえる。ポイントはできるだけその場で使い切ってすぐやめるようにする。そしてまた必要になったらポイントを購入する。必ず退会手続きをチェックしてからポイントを購入するのがおすすめ。
③現時点でのスマホアプリの質の悪さは最悪といってもよく、是非その使い勝手の悪さを体験してもらいたいレベルであるが、比較的出来が良い「マンガPark」アプリの開発を行った「&ファクトリー」社によって作り直しているので改善されることを期待。
(女性向けエロ・BLについて)
まんが王国は通算ランキングを見ればわかる通り明らかに女性ユーザーが多い。実はどのサービスでもこのような傾向があり、女性は携帯でコミックをめちゃくちゃ読んでいる。
おすすめ漫画・コミック月間ランキング - まんが王国
余談:アンドファクトリーはめちゃくちゃ面白い会社だから見とけよー
IRニュース|and factory(アンドファクトリー)
少年ジャンプの漫画を拾って“回し読み”できるアプリ「マワシヨミジャンプ」 - CNET Japan
アンドファクトリーが7月12日に
・スクエア&エニックスと資本業務提携(もともとコミックアップで業務提携してた)
・小学館と「サンデーうぇぶり」の開発で業務提携。
他にもまんが王国・ジャンプ、白泉社のマンガアプリを担当しています。
電子マンガが自ら「伸び率」を鈍化させる理由 and factory 青木倫治氏インタビュー|ビジネス+IT
コミックシーモア:運営はNTTソルマーレ
実は電子書籍では国内で最古参です。ただ、いまいちパッとしない感じ。
(業績)
非上場企業なのでどの程度かわかりませんが、会員数が2000万人もいます。
ただ、その割に利益はそれほど大きくない感じ。
NTTソルマーレ、2016年3月期の最終利益は2億3700万円…『コミックシーモア』や女性向け恋愛ゲームシリーズを展開 | Social Game Info
(サービス概要)
①基本的にはRenta!と似ているがこちらの最大の特徴は月額読み放題。はっきりいって男性の場合ライトコースは意味がない。少年漫画の品ぞろえが古すぎる。エロが読みたい人がフルを申し込むことに意味がある。女性はライトコースでもそこそこちゃんと読めるものがあるのでこれは差別だと思うんですが……。
(女性向けエロ・BLについて)
こちらも女性向け漫画が強い。
特にBLは、BLの中だけでジャンル分けがされているくらい充実している。
https://www.cmoa.jp/boyslove/
なおマンガだけでなく女性向けゲームも制作しているのが特徴です。
LINEコミック・楽天マンガ・こみナビ:運営はメディアドゥ
mechacomi.jp
こみナビはランキングを見る限りあんまり特徴がなさそうに見えるけど、ユーザー数はそこそこ多い。
(業績)
(サービス概要)
LINEマンガがなぜこんなに強いのかはよくわからない。
ただ、実際に読めるマンガの数はものすごく多く、かつ無料で読める範囲が多い。
作品によっては10巻くらいまで無料で読めるものも。とりあえず入れておけば困らないという感じ。
まさに圧倒的強者にふさわしい立ち回りをしているなとは思います。
(女性向けエロ・BLについて)
LINEマンガのBLは、ほかの電子コミックサイトと全然品ぞろえが違う。
ランキングなどもなく、作品を探すのはあまり向いてない印象があるが、ここでしか読めない作品もあるということは、ユーザー数は多そう。
DLSite :運営は「ゲオ」の子会社のエイシス
(業績)
https://www.eisys.co.jp/performance.html
(サービス概要)
エロ同人に特化しているが、実は一般コミックも結構読める。特にコミックRYUの作品はよく割引をしている。例えばこの作品は現在83%オフ。
他にもヨーロッパのマンガが買いやすかったり、最近電子を発表して話題になった宝島社の出版物などがさっそく登録されている。また、特徴として海外比率が非常に高い。日本のHENTAIの力は言語の壁を越える。あと、男性向け同人だけと思われがちですが、実は女性向けコンテンツもかなり充実しています。
(女性向けエロ・BLについて)
男性向け同人だけと思われがちですが、実は女性向けコンテンツもかなり充実しています。
特に重要なのが「ゲーム・ボイスCD」は圧倒的にDLSiteが強いということです。
たとえばこんな感じ。
なんせ女性のエロシチュ妄想の需要にプロの声優が応えてくれているのだから何気に結構な本数が売れています。
あと、ここではリンク張れないんだけど<男騎士が「くっ、殺せ!」って言うからメス調教してみた>っていう作品が人気になってたりして、
およそ異性に対する性欲とか支配欲って女性も貪欲なんだなーって思いますよマジで。
DMM.com (非上場企業)
品ぞろえは最強。コミックだけならAmazonよりも充実してる。
(業績)
電子書籍部門単体での売り上げは公表されていないが体感的にDLSiteの3倍~4倍はありそうだと思う。
(サービス概要)
①還元キャンペーンが豊富。こちらはほかの企業と違って1巻~3巻まで割引、とかじゃなくて最新刊まで全部3割還元とかが多い。
②たまに配られるクーポンと組み合わせるとすごいお得。この前に書いた記事だと700円の作品を200円で買えた上に90ポイントの還元がありました。
(女性向けエロ・BLについて)
無料で試し読み!BL・ボーイズラブ - DMMブックス(旧電子書籍)
一通りキャンペーンはそろってるんだけれど作品ごと・作者ごとなので「何が推しなのか」のコンセプトが良くわからない。
その他まだ紹介できてないもの
BookLive:運営は凸版印刷の子会社BookLive
booklive.jp
割とオーソドックスなサービス。品ぞろえもよい。ただ、あまり面白みがない。RENTA!と比べると雰囲気の違いが一目瞭然。
売上高 144億27百万円
営業利益 8億24百万円
がんばってはいるけどちょっと厳しい
honto:ジュンク堂系列。運営会社は大日本印刷
まんがこっち :運営は2Dfacto
このあたりは正直もう駄目だと思う。
https://ebooksboy.com/honto-2dfacto-2018/
USENとかGYAOとかFODプレミアムとかひかりTVとか
入会すれば○円分ポイントがもらえる。すぐ入ってすぐ退会すればOK。紹介した人にはアフィ報酬がはいりますよってやつ。ひかりTVも同じ。なんかこういう「釣り」が多いね。でも自分もいつか使うつもりなので
スキマは取り組み面白いと思うけど使いにくい
初めての方へ | スキマ | 全巻無料漫画が32,000冊読み放題!
毎日21時に3枚、24時間使えるチケットを配布しています。また、アプリ版では動画広告を見ることで1枚入手できます(※1日20回まで)
普通に侍ばんぱいあとか読めるのでありといえばありなんだが、月518円払ってまで読みたいかというと微妙なんだよなぁ・・・・・。
ケータイコミック時代の情報が足りないという指摘があったので続きかきました
女性向けコミックが男性コミックよりも電子書籍の波に乗りやすかったのは、紙媒体での女性向けエロ市場が未成熟だったから? - 頭の上にミカンをのせる