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の続きです。
さて2020年2月に起きたコロナショック。先週はダウが3500ドル一気に下がり、下落幅においては過去最高になりました。今までの段階では、構造的に完全に2018年2月のVIXショックの再来と言えるでしょう。
というわけで、前回の記事では2015年に起きたチャイナショックの話をしたので、今回は2013年に起きたバーナンキショック及び2018年に起きたVIXショックの話をします。みんな日本で富士山以外の山の名前を知らないように、リーマンショックくらいしか知らないって人も多いと思います。普通の人はそれでもいいですが、この辺りは株をやる人なら絶対に覚えておいた方がいい基礎教養です。わからなくてもいいので軽い気持ちで読んで、気になった時にこんな記事あったなと思い出してみてください。
株は、こういう「タイミングリスク」を避けて、簡単な時期だけ投資をすることが勝利の秘訣だと思います。それがいやならインデックス投資にしましょう。インデックス投資家はこういうショックは2年に1度くらいは起きることを前提にして積み立て投資を続けるんだよオラァン。
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— さわでぃさん爆発しろ (@sawadyrr5) March 1, 2020
₍₍⁽⁽💹₎₎⁾⁾
見て!インデックス投資家が積み立ててるよ
かわいいね
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📉
相場が下がったのでインデックス投資家は積み立てをやめてしまいました
結局タイミングリスク取ってるだけですね
あ〜あ
今回、世界のファンドは2月20日ギリギリまで今回の件で株価が暴落すると思ってなかった
それどころかめちゃくちゃ強気でした。すでに結構コロナ問題が浸透し始めた2月11日時点でもまだ現金比率が4%しかなかった。
それが今回の大幅な下落を招いたといえます。
WSJによると世界ファンドマネジャーの現金比率は4%と2013年3月以来の低水準が続いている。2013年はその後バーナンキショックがやってきた。
http://www.shenmacro.com/archives/21945517.html
現金比率の低さは(たとえ一部が債券ブルによるものであったにしても)相場が下落に転じた時に彼らが取れる選択肢が様子見か投げかしかないことを示してる。
割高な水準でエイヤーで掴んでからあっさりバリュエーション調整でドローダウンした場合はけっこう辛い詰めが待っているのではないか。1月安値ではVIXが20までしか伸びずリスクパリティの投げを誘発することはなかったが、今回も20〜22ゾーンは要注目である。
1月時点でコロナ騒ぎで一度下げたのだけれどその時に調整を拒否した結果よけいにひどいことになった
1月時点で調整していれば22000くらいで収まった可能性はありました。
しかし、そのリスクを織り込みに行った時に新高値を取ったばかりでイケイケのファンドたちはそれを拒否した。
アメリカダウが新高値を更新した後の浮かれた相場が継続中であり、
VIXがいくら頑張っても低いまま推移していた相場に慣らされ過ぎてしまったんですね。
この時、日本のメディアは「市場に下げ耐性がついたのだ」などと解説しましたよね……
overtheperiod.hatenablog.com
2018年2月の反省が全く活かされず、今回もリスクパリティ戦略によるテクニカルもファンダメンタルも完全に無視した強制的な売りが起きた
※リスクパリティ戦略について
非常にざっくり言うと株指数と債券指数の双方に投資し、各資産のボラティリティから測られるリスクが一定になるようにポジションをコントロールするやり方である。
①株も債券もボラティリティが低位推移を続けるとどんどんレバレッジをかけて買い増すこともあるし、
②どちらかのボラティリティが大きく上昇するとその資産を売却する。
③またそれによってファンド全体のリスクが高まると判断される場合はとにかくポジション縮小(レバレッジの解消、現金化)が行われるIMFによるとこの考え方に沿って運営される資金は2017年10月時点で総額1500億~1750億ドルに達するそうだ
http://www.shenmacro.com/archives/22094012.html
要するに、VIXがずっっと低いまま推移していたので19兆円もの資金が延々買いに傾いていたが、VIXが急騰したので逆に19兆円が一気に売りに転じたということ
我々が2017年末から2018年2月にかけて見てきたチャートとそっくりである。ほとんど株を売る理由もない全員参加型の熱狂の後に、予想もしなかった材料による急落がやってきて売りが売りを呼び数ヶ月の上昇幅が一瞬にして吐き出された。指数の予想ボラティリティ(VIX, 恐怖指数)が急騰し、それがボラティリティを用いてポジションをコントロールするリスクパリティ戦略と呼ばれるクオンツファンドのポジション縮小を招き、割安判断も割高判断もない機械的な売り崩しとなって指数市場に降り注いだ
数年に一度のペースでやってくるリスクパリティショックの対策は難しくない。世のリスクパリティファンドのポジションがパンパンになっており、かつVIXが20〜22ゾーンを突破したらしばらく株ポジションを退避させればよい。
結局、今回もVIX47付近まで上昇したところで収まりを見せ始めました。
リスクパリティ戦略による売りが発動した場合、VIX以外の数値がほとんどん何の役にも立たないということがよくわかりましたよ……ほんとむかつく。
しかし、現時点ではまだ全くと言ってよいほどファンダメンタルの下落を織り込んでいません
今回の株価下落は現状のところ「VIXショック」にとどまっており、実体経済の悪化を織り込めていないのが現状です
中国の景況感指数がリーマンショック超えの大暴落に!
— Space Commander Zero-i (@Q92754414) March 2, 2020
2月としては過去最低
21世紀で最悪の世界恐慌となる恐れ pic.twitter.com/YsSooS3LW2
リーマンショックの時よりも大きなダメージを受けています。
本来であれば、どこよりも上海指数が下落しているべきなのです。
中国がある程度経済の悪化を織り込んで調整してしまえばそれよりも被害が小さい欧米や日本なども立ち直れます。
しかし、今回はほかの株価指数が10%以上調整している中で、中国だけが全く調整できていません。
これではいつまでたっても「どこかのタイミングで中国の株価指数が実態を反映して下げるまで安心して買えない」という状態になります。
ここから各企業の業績に大幅な下方修正ラッシュが続きます
実際、3月中はもうどうやっても不安は解消されないでしょう。解消された後でも、数か月遅れで実体経済のマイナスが可視化されていきます。
今日真っ先にHISが下方修正を発表しましたが、85%減益という悲惨なものでした。
今のPERなど全く何のあてにもなりません。 たった数週間・数か月でも経済活動を自粛するとどうなるか、それがはっきりと数字に表れてくるでしょう。これからの数か月もかなり厳しい流れが続くのではないでしょうか。 どっかで金融緩和するんだろうな……。
余談 リスクパリティ戦略による19兆の売りでこのありさまでしたが、日銀による今までのETFの買い入れ総額は31兆円以上です
www.nikkei.com
これは去年9月の数字だから現在は34兆円くらいかな?
「全世界に散らばった19兆円」が売りに傾いただけで日経平均は3000円以上下げました。では、日本だけに31兆円の売りが降り注いだらどうなるでしょうかね……?
実際もうすでに売り始めが示唆されていました。
www.nikkei.com
しかし、このコロナショックの影響を受けて買い入れ増額をしやがりました。
www.bloomberg.co.jp
そもそも日本株は「日銀が買ってくれるから」という理由で海外投資家が買ってくれてます。日銀が売り始めたら海外投資家は逃げますよね?
これはもう日本、日銀が売り始めたら、ファンダの半分くらいの価格になるまで助からないんじゃないですかね?
そして、そうなったころには日本企業のうちめぼしいところはすべて海外企業に買われ、まともな企業は日本の者ではなくなるかもしれませんね。