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「命令されなきゃ、憎むこともできないの?」(ブルーアーカイブ#3 エデン条約編3.私たちの物語)

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滋賀県守山市で起きた娘による母親のバラバラ殺人事件の詳細を見ていると「娘の友達」の結末が恐ろしくなってきた……

togetter.com

読みました。経緯については上のまとめにある通りです。

被告人は,平成10年頃から被害者と母娘二人暮らしとなっていたところ,

次第に,勉強面や生活面において被害者の強い束縛や干渉,抑圧を受けたり,厳しい叱責を受けたりするようになっていったこと,

大学受験に際しても被害者の意向を受けて国公立大学の医学部医学科に進学することを目指したものの不合格となり,その後も,被害者の強固な意向に逆らえないまま,再受験を続けるも合格することはできず,浪人生活が9年間にも及んだこと,

これらの間に,自ら就職活動をし,家出を試みるなどしたものの被害者に連れ戻されるということが数回あったこと,

被告人が滋賀医大医学部看護学科に進学した後も,被害者は被告人に助産師になることを迫り,なおも強い束縛や干渉,叱責を加えており,ときには始末書を作成させたり,自宅の庭先で土下座をさせたりするなどしていた

詳しくは書かれていませんが、束縛が強すぎて私が子供だったら耐えきれなくて暴れますね…… ちょっとひどすぎる。


判決読んでいててかなりつらかったのがここ。

被告人は,30年以上,一部に問題行動等があったとはいえ,大きなトラブルを起こすことなく社会生活を送ることができ,自閉症スペクトラム障害に起因するパニック症状につき,少なくとも近年のエピソードは見当たらず,本件各犯行後には看護師として働き,一人暮らしをしていた事実が認められる。そうすると,被告人は,日常生活を大過なく送る上で必要不可欠な善悪の判断や行動をコントロールする能力を当然に備えていたことが認められる上,E医師の証言により,被告人の精神障害等の重症度は短期間に大きく変動しないものと認められる

自閉症であることは認定されているのだが、それでもギリギリまで耐え続けて他人に迷惑をかけないように平穏に暮らしていたら責任能力がきちんとあるとみなされる。


また、下記にあるように、これらの凶悪な事情に関する情状酌量はほとんどされていない。


殺人事件は「裁判員裁判」であり、量刑の決め方はこのようになっています。

裁判官3人と裁判員6人が、非公開の評議で有罪・無罪や量刑を決める。全員の意見が一致しない時は多数決となり、有罪にするには少なくとも裁判官1人の賛成が必要。

量刑の意見が割れた時は、量刑の重い方から軽い方に人数を足していき、過半数(裁判官を1人は含む)になった時点の量刑が結論になる。

殺人の事実がある場合は下限でも懲役5年の求刑がされます。条文が5年「以上」になっているからです。ただし、執行猶予が付く可能性はあります。
https://www.senshu-u.ac.jp/School/horitu/publication/hogakuronshu/102/iwai.pdf
過去のデータでは殺人罪に執行猶予が付いた割のは約4分の1です。ちなみに、女性による殺人は徐々に量刑が増えており、執行猶予率が下がっているという報告がされています。


情状酌量になる一番大きな要素は「自首」と「反省の念」であり、「個々人の事情」はそれほど考慮されません。
徳に死体遺棄や事件の隠蔽といったことがセットになると、少なくとも求刑の段階では重い数字が課されます。



今回の件でも、どういう方々が裁判員をされたのかわかりませんが、
量刑としてはほぼ情状酌量はされなかったとみてよいかと思います。(20年求刑→15年に減刑)
認定事実だけを見ると確かに一番重いタイプの求刑になるのは仕方ないかもしれませんし実際「量刑の理由」でもそのような内容が記載されています。



また、今回の件ですが、判決文の「争点」を読む限りだと、弁護方針が失敗した印象を受けますね……。 

当初は殺害の事実そのものを争おうとしていました。母親は自殺したんだという主張をしていた。
裁判が初めてニュースになった時には実際にそのように報道されています。
その後、無茶苦茶な理由で隠ぺいしようとしたことが強く印象付けてしまった気がします。

その後で心身衰弱などを主張しても、裁判員には良い印象を与えることはできなかったでしょう。





量刑の理由として事情は考慮されているものの、「動機は自己中心的で,およそこれらの犯行を正当化する余地のあるものではなく」と認定されてしまっている

⑴ 犯行態様等について

被告人は,実母である被害者を殺害した上,その罪証を隠滅するために,のこぎりや鉈等を用いて死体を多数の部位に切断するなどして損壊し,そのうち頭頸部や上下肢を焼却ゴミとして処分し,体幹部を被害者方近くの住宅街にもほど近い河川敷に投棄するなどして遺棄した。本件殺人及び本件死体損壊・遺棄の各犯行は,時間的・場所的にも,犯行動機・目的においても,密接に関連する一連の犯行であるというべきであり,その犯行態様については,これらの犯行を一体のものとして全体的に評価をするのが相当である。この点,被告人は,その態様は不明ながら被害者を殺害した上,上記のような態様で死体損壊・遺棄の犯行に及んだものであり,本件犯行は,全体として,被害者の尊厳を著しく棄損し,かつ,近隣住民にも計り知れない恐怖感や不安感を与えるような残忍な犯行であったというべきである。


⑵ 計画性及び殺意について

前記「犯行に至る経緯」のとおりに被害者の殺害に向け,被告人なりの準備をした上での犯行であったことは認められるものの,殺害の時期・場所等,具体的で緻密な計画を立てていたと認めるに足る証拠はないし,殺害の具体的な態様も不明であるため,実際に被告人が準備していた方法で殺害したか否かも不明であるといわざるを得ない。他方で,被告人が,追い詰められた心境の中,次第に被害者に対する殺意を強めた末の犯行であったことに照らすと,強い殺意に基づく犯行であったといえる。


⑶ 犯行に至る経緯,動機等について

自らの希望する進路の障害となっていた被害者を殺害し,その発覚を防ごうとした本件犯行の直接的な動機は自己中心的で,およそこれらの犯行を正当化する余地のあるものではなく,被告人が看護師を目指し,生命を救うための勉強を重ねていたことに照らしても,強い非難を免れない。


もっとも,被告人が本件犯行を決意し,実行するに至った背景には,前記「犯行に至る経緯」で認定したような特殊な親子関係が存在した。すなわち,被告人は,長年にわたり,母娘だけの閉鎖的な環境で育てられ,成人後もなお,被害者から進路等に対する行き過ぎた干渉を受け,自由のない抑圧・束縛された生活を送ってきた。そのような中,母の姿におびえながら,誰にも相談することができず,過去の家出がことごとく失敗したことなどから被害者の呪縛から抜け出すこともできないまま,相当に追い詰められた末に本件犯行に及んだものと認められ,犯行に至る経緯には同情の余地がある。なお,被告人の抱える自閉症スペクトラム障害等が各犯行に影響していた可能性も否定できないが,仮に影響があったとしても,各犯行を実行する段階での心理的抵抗を低めた可能性があるという限度にとどまるものであって,各犯行の動機の形成に影響していたとは認められない。いずれにしても,その影響は限定的であるから,量刑上,大きく考慮することはできない。


⑷ 事件そのものに関する事情を踏まえた犯行の悪質性の評価

1以上のような諸事情を総合して,犯行の悪質性の程度を,親が被害者である殺人1件(単独犯,処断罪名と異なる主要な罪なし)の量刑傾向と比較すると,本件は死体損壊・遺棄を伴うものである上,これを含む犯行全体の態様が悪質であること等に照らせば,上記量刑傾向の中でも相当に重い部類に属する事案であるといえる。他方で,前記のような犯行に至る経緯等を併せ考慮すれば,最も重い部類を超えるほどに悪質な事案と評価すべきとはいえない。

2 事件そのもの以外に関する事情被告人は,死体損壊・遺棄の犯行を認め,反省や謝罪の弁を口にするものの,自らの刑責を軽くしようとの意図で,不合理な弁解に終始して殺人の犯行を否認しており,反省しているとはいえない。他方で,本件犯行の背景には前記のような長年にわたる経緯や被害者との特殊な関係性があったことに加え,被告人に前科がないことも踏まえれば,再犯のおそれは低いというべきである。

加えて,父Bが出廷し,被告人の社会復帰後は同居してその更生に協力する旨誓約しており,被告人自身も,父の監督指導の下でやり直したいと更生への意欲を示している。そうすると,被告人が,今後刑期を務める中で,自らの過ちに真摯に向き合い,反省を深めていくことができれば,更生への道を歩むことも期待することができる。

3 結論そこで,以上を踏まえ,被告人の量刑を検討すると,上記1の事件そのものに関する事情を前提に,上記2の事件そのもの以外に関する事情を併せて考慮すれば,被告人に対しては,主文掲記の刑に処するのが相当であると判断した。よって,主文のとおり判決する。



親権喪失・親権停止についてもっと認められてほしい

父親は、もう少し早く助けてやれよと思ったけど、母親がいる限りは手出しできなかったんだろうなと思うと本当に切ない。


www.gov-online.go.jp

これはこれで現時点だといろいろと問題があってほとんど利用されてないんですよね。

14万件以上の児童虐待が報告されていて、親権停止は申し立て自体が200件以下と非常に少なく、しかもあまり認められない。

子供の親族からの申し立てはその半数以上が結果的に取り下げられており、裁判所の判断によって却下されている件数も多いのに比べて、児童相談所長からの申し立てでは半数以上が親権停止を認められています。

https://best-legal.jp/custody-suspension-13892

実質的に児童相談所につながることができた未成年とか、よほど親切な親戚がいないと利用できず成年後に親権停止しても自活できないと厳しいです。



母親による虐待の描写を見ていると、いやでも「娘の友達」の母親を思い出しますね。

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勝手に携帯を覗き見ようとする

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常に監視して付きまとう

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いうことを聞かなかった罰として目の前で携帯を破壊する


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帰宅が遅くなると土下座させられる

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散々ひどいことをしておきながら馴れ馴れしい完全にDV母親

この漫画、「ミザリ」みたいなサイコホラーかとおもってるんですが、その前段階の描写としてひたすらに母親のDV要素を見せつけられるので心がげんなりします……浮気した父親への嫉妬や恨みを娘にぶつける狂った母親が延々と描かれます。娘が自分以外に関心を持つことを許さない徹底管理主義。当然父親とも一切会話することを許さない。 こんな母親を持ったら地獄ですね。

なんとなく、この母親は〇〇されそうな気がする……。