この記事は感想というか独り言みたいになります。
私って、魚と猫、どっちに似ていると思いますか?
コウスケさんはいつも優しくて大人で、私が間違ったことをしないように気を付けてくれて。
でも、私はそれが凄く嫌だったんです。
あの時、本当はめちゃくちゃにしてほしかった。
コウスケさんの前ではよいこな自分を捨てられるって思ってたから。
それに、私ってそんなに魅力ないかなって思っちゃいましたし。
野良猫っていろんな人にやさしくしてもらえるけど
結局、誰にも家には入れてもらえないんです。
コウスケさんにとって、わたしは今でも野良猫と同じなんじゃないかなって思っちゃって。
だから今日、一緒にお母さんと話そうって言われて、正直私、むかつきました。
きっと口ばかりで無責任だなって。
私を人間だって言ってくれて、コウスケさんの生活を犠牲にしてくれて、私の生活に踏み込もうとしてくれて。
コウスケさんが私に歩み寄ろうとしてくれてること、わかってるけど。
だけど……
全部彼女の言うとおりだ。
君を見ているよとか助けたいから、なんて耳障りのいいことばかり言って。
俺の正しさの中でしか彼女を理解しようとしなかった。
俺は結局、失っていいものと失いたくないものを冷静に見極めて、
傷ついたふりをしていただけの卑怯者だ
- 作者:萩原あさ美
- 発売日: 2020/11/11
- メディア: Kindle版
ンンンン………。
面白くないわけではない。
というかやりたいことも「WHITE ALBUM2の冬馬かずさ難民救済シナリオかな?」って感じはする。
それはわかるのだけれど、いくら何でもお話が間延びしすぎてる気がする。
正直、ここまで来るのに6巻も必要でしたか?って言いたい気持ち。
6巻もかかった割にはどれほども話が積みあがってない気がする。
ここから積み木を崩してもあまり話が盛り上がらないのではなかろうか?
「WHITE ALBUM2」ではこれよりももっと、それこそ40時間くらいかけてうだうだやってたけど楽しめたんだよね。
テキストこそ微妙だったけれど、コツコツとお話を積み上げてきたよねって感じた。どっぷりと感情移入させてくれた。
いよいよ、積み上げてきたものがすべて崩れ去ろうとする展開は、先が読めていても胸が締め付けられる気持ちになった。
これに対して、いよいよ決断の時が迫ってきたはずなのに、「娘の友達」はあまりドキドキしない。
なにがあかんのかというと、結局コウスケにもコトちゃんにもあんまり感情移入ができないからかな。
まず、主人公であるコウスケから「女がらみ以外ではちゃんとしてるおっさんである」という要素が感じられないんだよね……。
これはあくまでフィクションだから、別に「恋は雨あがりのように」みたいに絶対に女子高生を拒絶しなきゃいかんとは言わないよ。
でも、このおっさんはダメだろって思ってしまう。んで、逆にコトも別にこのおっさんである必要が全然ないな、と。
ホワルバ2は、主人公と冬馬かずさの必然性をこれでもかこれでもかと描いているし、
「捨てるべきもの」もまた、ものすごくかけがえのない大切なものなのだということをすごく丁寧に描きあげている。
それゆえに、二人の恋愛のためであればそのほかのすべてを捨てるかどうかっていう選択肢に葛藤が生じるわけで。
この作品の場合はなんかもういろんなところがグラグラしてる。
そもそも自分が、いろんなものが煩わしすぎて投げ出したくなっていて隙だらけ。
それでいて、自分で壊すまでもなく、その前に自分たちのうかつな行動で壊れていってる。
「小木曽雪菜」及びその周辺という積み上げが全くない。
今のままだと、二人が結ばれることへにも、築き上げてきたものを投げ捨てることへもカタルシスが感じられない気がする。
もう一段かもう二段、何かを積み上げてほしい。
そういう意味で、7巻でなにをやってくれるのかがとてもとても楽しみです。
今のままだと微妙な作品になってしまうもののきっとそれだけではない何かが描かれると期待してます。