52巻にも及んだマキバオーの物語もついにこれで終わりです。
なんだかとても寂しい気持ち。
ワンピースもナルトもブリーチもキングダムも全部挫折してしまった私が、軽い気持ちで読み始めて、まさかここまで一気に全部読んでしまうとは思わなかった……。
たいようのマキバオーW 19 (ジャンプコミックスDIGITAL)
- 作者:つの丸
- 発売日: 2016/10/19
- メディア: Kindle版
たいようのマキバオーW 20 (ジャンプコミックスDIGITAL)
- 作者:つの丸
- 発売日: 2017/03/17
- メディア: Kindle版
ダイナスティがフランス入り。まずは前哨戦のニエル賞に挑戦
①ニエル賞(2400m)
・ダイナスティは緊張から出遅れるも、幸いにスローペース
・最後の直線で差し切って勝利。
②その他のレース
・ベンダバールがフォワ賞勝利
・ヴェルメイユ賞ではシージの妹のファタリテが圧勝
・
一方マキバオーは炎症と闘いながら必死にトレーニングを続ける
・全員が協力してマキバオーをサポートする
・なんとか最悪の状況を乗り切り凱旋門賞へ挑む
凱旋門賞開始!
①ロンシャン競馬場のコース(2500m)
・そもそも芝が日本と違ってやわらかいので体力を使う。
・日本のような一瞬の切れで勝負しにくい。
・最初の400mは平地だが、そこから300mで7m上り、さらに300mで3m。
・第3コーナーでカーブしながら一気に下り
・3~4コーナーに偽の曲線がある
・最後に530mの長い曲線
①最初の400m~登り坂(ハイペースな争い)
・ヒノデマキバオーとファタリテが先行
・ムスターヴェルクが3番手。ダイナスティは7番手。
・ムスターヴェルクが後ろから追い立てる形で早いペースを作るがハヤトが上手くけん制する。
・まやかしがきかなくなったムスターヴェルクがハナ争いに参加。ダイヴァージョンもそれを追いかけて位置を上げる。
②偽の曲線地帯
・相変わらず超ハイペース。
・ムスターヴェルクとダイヴァージョン、ヒノデマキバオーの順に先頭争い
・ファタリテは馬群に沈んでいく。
・ここにダイナスティが突っ込んでくる。
③ラストの直線500m
・ムスターヴェルクが力を開放して二の足でさらに差を広げる
・マキバオーはキツツキ走法で追いかけるも、ダイナスティが割り込んでくる。二人で競い合いながら限界を超えていく!
・ダイヴァージョンは馬群に沈む。
④残り100m
・ベンダバールが地を這う走法で一気に追い込んでくる。
・3頭で競り合いながらムスターヴェルクを追走
・ムスターヴェルクがスタミナ切れ。
⑤残り100m
・マキバオーが決死のロデオスペシャルを出し、ダイナスティがそれに負けじと食らいつき頭一つリード。
・マキバオーはダイナスティに残りを託して失速
これはただの数10センチのリードじゃない!
あいつが、ヒノデが引っ張り上げてくれたリードだ。
いや、それだけじゃない。
ファム、フィール、カスケードやそれ以前の挑戦者たちが積み上げたもの。
一歩一歩世界との差を詰めてきた、積み重ねた頭一つだ。
どの馬たちもひたすらにゴールを目指した結果。
そして、そのバトンは今お前の手に渡ったんだ。目を逸らすな!この頭一つを死守しろ!それがお前の使命だ!!
⑥ついに悲願の日本勢勝利。1着を切ったのはダイナスティ
・ベンダバールが2位、ムスターヴェルクが3位、マキバオーは4位に。
たまたまこのタイミングで世界のトップに。
先輩たちにトップでバトンを渡されたにすぎないと思っています。
僕の使命はむしろこれから。
このバトンを、偉大な先輩たちがトップで渡してくれたこのバトンを
トップのまま次へとつなぐことだと思います。
エピローグ 3年後の2013年
①ダイナスティの引退レースとなる有馬記念
・4歳のドバイWCでは6着と大敗
・宝塚記念では完勝するも凱旋門賞は3着、香港ヴァーズでは勝利する。
・5歳時はドバイシーマCも、キングジョージも完敗。
・国内では5歳まで負けなし。
・6歳からはハマノグレネイドに阪神大賞典で敗れる。
春天は回避、宝塚では圧勝。秋天皇賞も勝利。JCで敗北。
・引退レースの有馬記念でも完勝。
結局特定の馬ではなく、ターフに立つものすべてにバトンを託し、ターフを去る。
完走した感想
①みどりのマキバオーと比べて「競走馬のレースを楽しむマンガ」としてはいまいちだった。
一戦一戦新しい敵や宿命のライバルとの戦いでどうなるのかわからないというワクワクを与えてくれていたみどりのマキバオーと比べ、たいようのマキバオーは似たようなメンツ相手に似たようなレースを繰り返す展開になっており、新鮮味は欠ける。
もちろんレースをしている競走馬や騎手からしたらどのレースも命がけだろうが読者としてはやはり似たようなものを繰り返しているように感じられた。レースの描き方が似たような感じばかりなのでレース描写については途中から先が読めるし、正直途中からレース描写については飽きに近い感覚を抱くようになった。
②しかし、「レースを楽しむマンガ」としてだけでなく、その周りの部分を意識するととても読みごたえのある作品だった。
・自分の周りにある壁を打ち破って飛び出していくマキバオーやハヤトの姿
・競走馬が大事な仲間やライバルからの思いを受け継ぎ、また次の人たちにバトンを渡していく姿
・競走馬を支えるスタッフたちや騎手たちとの信頼関係
③Wの13巻~15巻、Wの19巻などの展開は、それまでの積み重ねが功を奏してとても胸に迫る内容だった
また、「同じような内容のが繰り返して退屈だ」という読者の感覚もまさしく作品が意図したものであり、その「行き詰まり感や閉塞感、そしてモチベーションが燃え尽きるという感覚」も見事に作品中で描かれ、それを打ち砕く展開になったWの13巻~15巻の展開は、読んでいて苦しかったけれどとても素晴らしかった。
④マキバオーの挑戦の裏側で、もう一つ「高知競馬」の物語として広報の吉田が頑張った
あ…昨日って吉田さん誕生日だったんですね…気づかなくてごめんなさい…おめでとうございます…#たいようのマキバオー pic.twitter.com/Sz4cM4G5DM
— シオカラ@野良チワワ (@shiokaraMGS) November 24, 2016
比較的おとなしく、荒々しさに欠ける福留厩舎メンバーにおける唯一の強心臓
作中でも福留厩舎を巻き込み様々な騒動を起こすトラブルメーカー的な描写がされるが、広報としては有能であり、彼の不在時に新聞の扱いが悪かった文太が「吉田のおっちゃんがいればこんなことにはなってない」とぼやいている他、芝スタートのレースのためにゴルフ場と交渉してトレーニングのための芝コースを用意したりハグワールの短期免許を1日で用意したりしている。彼の行動力や企画実行力は飯富も一目置いている。
かれは間違いなく物語の両輪の片方を担っている非常に重要な存在だった。彼の行動力でいくつかの壁を壊した。ただ有能なだけでなく迷走も多かったけれど、高知競馬のためになると思ったことはためらわずに実行するそのガッツは、もう一人の主人公といっても良いと思う。実際に「たいようのマキバオー」は高知競馬の復活物語としての側面も大いに含んでいる。
うわぁ、涙なしに見られない高知競馬V字回復の歴史。 pic.twitter.com/82qny69EpB
— れいけん(日経賞◎→▲→☆で🎯) (@paddock_watcher) August 29, 2020
ハルウララ旋風によって「地方競馬でもやれる!」と確信を持った後、それだけに頼らずいろんな挑戦を行ってきてるんですよね。モチベーションって本当に大事だなと思います。
toukeidata.com
2009年、高知競馬は地方競馬として初めて、通年でのナイター制度を導入。次いで2012年には中央競馬(JRA)と連携し、馬券のネット販売システム「IPAD」の利用も開始しました。この取り組みと、計画的に組んだレースプログラムが嵌った
この結果として、佐賀の競馬場などが閉鎖になるなか、高知競馬は10倍近い売り上げ成長率を達成する快挙を成し遂げました。逆に大井競馬場が高知競馬場の成功を参考にしたなんて話もあります。
⑤ウマ娘をきっかけにしてこの作品を読むことになりましたが、とても楽しかった
一番最初につっこみどころ満載の馬の設定があるわけだけれど、そこさえ乗り越えれば、本当に熱いマンガだと思います。ウマ娘関係なくこれは面白い作品だと思うので、みんなもぜひ読んでみてほしい。