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「ミステリと言う勿れ」 戯言遣いシリーズが好きだった頃を思い出す作品。この作品をポリコレ作品として読むのはあまりに勿体ない

togetter.com

みんな、本作品の主人公整くんのことを説教臭いって思ってるのね。。。


まぁそう思わせる要素が満載なので別に否定はしないんだけれど、なんか思ってる以上にこのマンガの「説教」要素に引きずられてる人が多いようです。


そこに引っかかっちゃって他の要素が伝わってないのであればすごい勿体ないなと思ったのでちょっと補足書きます。


※1巻が無料で読めますが、1巻だけ読むと以下で書くようにミスリーディングが発生しやすいので読むんだったら最低でも3巻まで、できれば5巻までは読んだ方が良いと思います。



むしろそういうポリコレ的な語りを「ひっ剥がす」部分が面白いマンガだと思ってます

たとえばよく拡散されるのがこのシーン。

このシーンだけ見て「この男の子は何も悪いことしてないのにいじめっ子のせいでひどい目にあった純粋な被害者だ」って思っちゃった人が当時結構いて、「いじめに対抗する立派な言説」みたいな感じで拡散されてたんだけれど、

そういう人はもう一度読み直してみてほしい。
 



漫画本編におけるこのシーンは「全員が殺人の被疑者」であり「全員が嘘つき」というシーンです。

もっといえば、この元いじめられっ子、かなり深刻な問題児であることが判明します。

「問題児だったらいじめられてもいいのか!」みたいな話じゃなくてですね。彼は「一方的な被害者じゃないよ」ってことがこの作品内では重要なんです。




ポリコレ要素を「ミスリーディング」として活用してくるくらい、作者と整くんの間には距離がある作品

このシーンが登場するエピソードは、ポリコレ万歳みたいなお話じゃない。むしろその逆だったりします。


世間一般で「美徳」とされる要素が殺人の原因になってきます。そういうのを堂々と描いちゃうくらいきは、むしろ「ポリコレ」に対して距離を置いてると思ってます。




ポリコレ的に訓練された人ほど

「いじめ被害」を訴える人に対しては「疑ってはいけない」「悪くいってはいけない」っていう思考のブレーキがかかりがち。


もっといえば「こういう人は加害行為をしないだろう」っていう思い込みや前提が勝手に出来上がってしまうものです。

でも、本作品はそういう思い込みを見事にミスリーディングとして活用してきます。




本作品は個々のシーンだけ切り取ると「やたらとポリコレくさい」印象を受けるかもしれないけれど別に女性の味方だとかそういうわけじゃない。


だって、一見そのやりとりでは擁護されているような女性とか弱者を主人公が後から無表情に刺したりしますからね。


そのシーンで語られるポリコレっぽいやり取りはこの作品のテーマじゃないんですよ。むしろ撒き餌くらいの位置づけです。



なかなか侮れない作品だったりします。





なので、この作品を見て「クロエの流儀」っぽいだとか、
作者の持論をキャラに言わせてるだけって感じちゃう人はもうちょっとだけ頑張ってほしい。


「もうちょっと頑張ってほしい」というのは

①そこで結論を出さずに続きを読んでみてほしい。
②その語られている内容は、作品で果たして肯定されているのかというメタ的な視点を意識して読んでみてほしい

という2点を指しています。

マンガでは「主人公が言ってることは根拠なく正ってなりがち」な作品もありますが、落ち着いて読めば本作品に関してはそうなってないということがわかると思います。




整くんという「変人」がいて、彼の奇行や思想の「偏食ぶり」が周りをイラつかせる様子を楽しむ作品です


実際、この時の整くんのセリフってこの「自称いじめられっ子」の青年がどういう人間かを全く考慮せず発せられたものなんだよね。

一方的に喋ってるだけ。対話になってない。それは作中でもちゃんとそういう扱いになってる。ウザがられてる。彼の主張を作品として肯定してるわけじゃない。

後から見ると半分くらい空振りしてるセリフなんですよ。

というか、主人公の整くんは別に正しいことを言ってるわけじゃなくて、割と変なこともよく言っている、と作中でもちゃんと扱われてます。

整くんは、ただ思いついたそれっぽいことを言ってるだけ。

「運よくあたりを引いた人は人生の教訓を得られるだろうし、はずれを引いてもあくまで整くんの独り言、、、ってな塩梅」です。





繰り返しますが、整くんがポリコレっぽく見える人ほど、この作品を3巻くらいまで読み進めてほしい。
整くんの歪みっぷりというか「実は倫理的な事はどうでもいい」ってことがよくわかって驚くと思います。



整くんはおっそろしく好き嫌いが激しく「一見まともなことを言ってるように見えるが心は幼児じみている」というキャラとして描かれている

読み進めていくと、この整くんはHunter×Hunterのゴンみたいなやつだということがわかってきます。

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3巻にもなるとだいぶ本性が明らかになってきて


殺人犯に対してこんな評価をしたりします。

「僕のことうざいって言わない珍しい人。もっと話がしたいから、こっそり来ていいよ。春になったらね」

これがポリコレ作品に見えるんだとしたらちょっと根本的に自分の読解力を疑った方がいいかなと
このあたりまでくると、「ああ、単なるポリコレ作品ではないな」ってのがうすうすとわかってくると思います。



作者は整くんを絶対的な正義として描いてるわけではないというか、むしろそういう枠を嫌うキャラとして描いてます。

むしろ「頭の回転が早い多動性障害型の発達障害児」がまともな人間のふりをしようとするがすぐ化けの皮が剝がれる、くらいに思った方が良い。*1






もっと言えば、「よくしゃべるせいでスキが多い戯言使い」くらいのイメージでもよいかもしれません。

しゃべってることの大半は「本心じゃない・本題ではないからこそペラペラと口から出てくる」というやつです。

推理部分以外の彼は、特に意味もなく好き勝手に徒然草をつぶやいてるだけだって思えばいい。






まぁ、合わない人にはとことん合わないだろうから無理におススメはしません。

極論、過去の田村作品や西尾維新が嫌い人がこの漫画読んでも、多分全然楽しくないと思います。






ただね。面白くないなら面白くないでいいんだけれど、もうちょっとちゃんと作品読んでから文句言ってほしい。

あまり1巻まで読んでこの作品はこうだ!って感想を語るには向いてない作品だと思います。

*1:いうならば「まともなことをいう率」が高い青〇才さんって感じです。私は「まともなことをいう率」が低い方で訓練されてきたのでむしろ整くんの語りは安心して読めるまである