さすがカプコン様というか。5ではかなり不安だった3Dの立ち絵だが、6ではかなり改善されて、違和感がないレベルになっている。
また、5の時から導入された「証言シーンのリッチ化」がさらに進んでおり、
マジックの種を暴くシーンなどは3までしかプレイしていない人には感動ものだと思う。
本作のテーマは「革命」。
5の「法の暗黒時代からの信頼回復」よりさらに一歩進んで「大衆の意識を変える」ことがテーマになっている。
そのため、本作の裁判シーンでは今までただの演出のためのガヤくらいの存在感しかなかった聴衆が突如意志や言葉を持つようになった。
聴衆は凝り固まったイデオロギーを持っている。
また、いろんな人間によって簡単に扇動され、安易に正義を掲げながら弁護人や被告人を極悪人呼ばわりしたり罵声を浴びせてくる。
まるではてなブックマークを見ているような感じで目がくらくらする……。
「4」の裁判員裁判の時ですら最後くらいしか意識することはなかったのに
今作の裁判シーンでは聴衆を意識しながらプレイすることになるのだが、はっきり言ってこれがかなりうっとうしい。
今までの「弁護人と検事の鎬を削る対決」にかなり邪魔なものが混じっている感覚を味わう。
ただし、この変更は「革命」というテーマを扱ううえで重要なことだと思う。
そもそも、法は専門家だけのものになってはいけないというのはもっともなことである。
最初は「ただの無責任で無思慮で簡単に人に踊らされるだけ」だった観衆たちが、
終盤の展開で自分たちの発言や思考にも責任があるのだと意識し始めるようになる展開はとてもグッとくるものがある。
4からはじまった流れをきちんと終わらせ切った点は素晴らしいと思う
主人公たちのドラマも盛り上がっている。
4と5でキャラを増やしすぎたせいで発散しかかった流れを収束させ、
「オドロキくんの物語」をきっちりと完結させたうえで、再び成歩堂龍一にバトンを戻している。
3までで活躍した「霊媒」を復活させ、
さらに「見抜く」「サイコロック」「カウンセリング」をきちんと活用しつつ物語を展開している。
今まで登場したキャラクターにそれぞれ見せ場を作りつつもコンパクトにまとめ、
最後は成歩堂龍一のサポートを越えて、「オドロキくん」だけの力で問題を解決に導いている。
ちゃんと4と5に意味を持たせ、シリーズ作品をプレイしてきた人間にとって
これまでの積み重ねがきちんと報われるような「ご褒美」と言える作品となっている。
「シリーズ作品の続編」という要素と「作品単体の完成度」を両立させた素晴らしい作品だと思います
個人的には3を越えてこれが最高傑作です。
大枠について:5はココネの過去を解決する物語だったが、6はオドロキくんの過去の因縁を解いていく物語
クラインという国が大きくかかわってくる。検事もクライン国からやってきたナユタという人物。
また、この国で革命家として活動しているドュルクはナユタの実の父親であり、またオドロキくんの育ての親でもある。
ナユタも初めはクライン国の仕組みを変えようとしていたが「あきらめ」てしまい、
むしろ国の手先となって、革命派の人間に刑罰を与える存在になってしまった。
また、クライン国の王女レイファも、当初はクライン国の制度や仕組みに全く疑いを持っていなかった。
そんなクライン国で起きた殺人事件の裁判に成歩堂龍一やオドロキくんが乗り込んでいって
国民の意識ごと引っ掻き回していく、という展開になっている。
各エピソードについて
1章 ナルホド君が弁護士。
舞台は「巫女の託宣が絶対され、弁護士の存在が空気となっている」クライン国。
真宵ちゃんたちの倉院流の源流となる霊媒の力が受け継がれており、真宵ちゃんも修行のためこの国を訪れていた。
真宵ちゃんを訪れてクライン国を訪れた成歩堂龍一はなりゆきで「とある人物」の弁護を行い、この国では23年ぶりに無罪判決を勝ち取る。
しかしちょうど反政府勢力が国を脅かしているという情勢もあり、反政府勢力との関連を疑われることに。
2章 オドロキくんとココネちゃんのペアが主人公。
「トロンプ・シアター」で行われたマジックショーで起きた事件。
アルマジキ一座のMrメンヨー氏が殺害され、その容疑者として成歩堂みぬきが逮捕される。
1話と同じように、観客が容疑者であるみぬきを犯罪者として決めつけ、それを弁護しようとする弁護士までにもブーイングを浴びせる光景が描かれる。
はてなブックマークではよく見かける光景ですね。図にしたらこんな感じなんだなって思いながら見てた。
それはそれとして、物語としてはスカッとする展開になってるのでヨシ!
3章:「逆転の儀式」 ナルホドくんとレイファ様がコンビ
舞台は再びクライン国へ。真宵ちゃんと一度合流するも、その真宵ちゃんが儀式の最中に殺人を犯したとして逮捕されてしまう。
「絶対的に信じられるものがある」(巫女の託宣)と
人ってそれに反するものを一切思考せずに切り捨ててしまうのだな、と感じさせるような描写がある。
ひさしぶりに真宵ちゃんの「霊媒」を使って物語を解決する。
革命派と王政派の分断が、仲のよかった人たちの関係をずたずたに切り裂いてしまう話になっており、
目の前の人間よりもイデオロギーを大事にすることがもたらす悲劇をえがいている。
とにかくこの事件により、「弁護罪」や「巫女の託宣」に国民が疑問を持ち始めるようになる。
4章:「逆転寄席」 ココネが成歩堂・オドロキなしで弁護に挑む(途中からユガミが助けてくれる)
不器用な師匠の愛情がねじれ伝わり、弟子の殺意に代わってしまうという悲しいお話なのだけれど
いまいち話としては盛り上がらず。ボリュームも乏しくてちょっと浮いている印象がある。
キャラクターを出し過ぎた結果、そのキャラクターに見せ場を作る必要が出てきてとっちらかってしまう
「バイオハザード6」と同じ現象が起きているような気がする……。
とはいえ、「まんじゅう怖い」という一点ネタできちんと物語を作ってきたところはほんとにすごいと思う。
5章:「逆転の大革命」① 初の民事裁判。オドロキ&ココネ VS 成歩堂龍一
4と5でオドロキくん・ココネちゃんを新しい弁護士キャラとして打ち出したものの
結局成歩堂龍一が美味しいところを持って行ってしまうという展開が続いていたが
ここにきて「オドロキ&ココネ」が成歩堂龍一を敵に回して戦うことに。
敵にすると、いかに成歩堂がいやらしい存在であるか、いかに検事側がいさぎよいかがよくわかる。
結局民事訴訟とは言っても、その途中で殺人事件の真犯人がわかってしまうわけですが。
ヒルネリアちゃんめちゃくちゃかわいい。
5章:「逆転の大革命」② オドロキくん&成歩堂龍一が弁護人。「23年前のアマラ殺人事件」&「インガ法務大臣殺害事件」を解決
インガ法務大臣によって誘拐・監禁されていた真宵を助けるためにドゥルクが単身霊廟に乗り込んだところ、
20分後にはインガ法務大臣の死体と血まみれのナイフを持ったドゥルクが……。
ドゥルクは殺人罪で逮捕され、彼を裁くための裁判が行われることに。
成歩堂龍一は御剣・レイファと共に法務大臣の部屋を捜索し、
一方でオドロキくんは、革命家のアジトを調べ、アマラが実は生きていたことを知る。
ここで革命派の群衆がデモを起こし裁判所につめかける。今まで敵だった群衆が今度は味方として主人公たちの後押しをしてくれる。
今までの検事はすべてナユタだったが、女王ガランが自ら検事としてドゥルクを裁きにくる。
……ここから先の真実は実際にプレイして確かめてみてください。
かなり悲しい真実です。
・なぜナユタがずっとガランに従ってきたのか(アマラのためではない)
・23年前に放火し、オドロキくんの父親を殺害したのは誰だったのか
・そして革命の行方は……。
おまけ。 6でも茜ちゃんでてくる。
4ではひたすらやさぐれキャラだったが、6では念願の科学捜査官になることができて常に機嫌がよさげ。
と思ったらやっぱりナユタ検事にこき使われてかりんとうサクサクお姉さんになってしまうのだったw