「愛に勝つ条件はただ一つ。希望を忘れないことだ
パンドラの箱に残されたものがなぜ希望なのかと。
なぜ愛ではなく希望が最後に残ったんだと。
そこを愛はうらんでいる。
選ばれなかったものの呪い。それがラヴの正体だ。相手の存在は、イヤな思いがあって初めて成り立つ。
ゆえに、愛とは何なのか。誰もこいつにたどり着いたやつはいない」
もうね、めちゃくちゃ面白かった!
こういうタイプのゲームをやったのは初めて!
ストーリーで泣いたとかじゃなくて、演出とかプレイ体験そのものにここまで感動したのは「QUARTETT!」以来かもしれない。
アニメ「ぬるぺた」」を制作したスタジオ製作のノベルゲームなので、普通のゲーム会社とちょっと毛並みが違う
本作は、一応ジャンルとしてはノベルゲーム・ADVゲームということになってるけれど、
実際には「アニメとノベルゲームの融合」という感じで、どちらかというと感覚としてはアニメに近い。
それもそのはず、このゲームを開発したTOKYOTOONさんは、アニメ「ぬるぺた」を作った会社なのだ。(動画制作はシンエイ動画)。
アニメに軸足を置きつつ、シナリオは「のらとと」シリーズのスタッフが担当(この作品も原作がヒットし、アニメ化もされた)
本作はTOKYOTOONのアダルトゲームブランド「HARUKAZE」の美少女ゲーム『ノラと皇女と野良猫ハート』シリーズのスタッフによる、全年齢向けアドベンチャーゲームである。
さらに最初から、日本のエロゲオタク向けではなく、steamで海外のアニメオタクをターゲットにして開発・販売された
さらにいうと、本作品はまず最初にsteamで配信され、その後でパッケージ版が日本で発売された、という流れになっている。
いろんな意味で、「ノベルゲー」っぽさの常識にとらわれていない、斬新なつくりの作品となっている。
いわゆる「紙芝居」と呼ばれるようなキャラクターの立ち絵とセリフ中心でじっくり日常描写を楽しむタイプではなく、一枚絵をガンガン切り替えながら目まぐるしく起きるドタバタ劇を楽しむ作品
プレイヤーを飽きさせないように次々と一枚絵が登場して、どんどんイベントが起きて、いろんなキャラが暴れまわるのを見て楽しむという感じ。
途中では一枚絵だけではなく、デフォルメされたトゥーンキャラによるアニメーションも加わるため見てて飽きない。
このように、ものすごく贅沢な作り方をしている。
「少し尺の長いアニメ作品を
全編アニメでつくるよりも低コストで作り
それでいて一枚一枚の絵は豪華仕様にした」
という感じだ。
アニメでも止め絵を使って尺を稼ぐことがあるが、本作はその部分にノベルゲームのテキストを利用している。
そのため、とにかくストーリーを読ませるというよりは、
1話1話ごとにプレイヤーを楽しませることがメインとなっており、
・テンポ重視!
・フィーリング重視!
である。
格好いいアクションと中二病めいたセリフ回し、テンション高めの声優さんの演技などを楽しむ作品となっている。
※実は冒頭に引用した意味深なセリフは別に作品のテーマでもなんでもなくて、ただの1エピソードのセリフである(第9話目あたりのエピソード「伝染生物・ラヴ」との戦いのの一幕からの引用)
日本のアニメでいうと「パンティー&ストッキング」なんかのアニメが好きな人とかは絶対ハマると思う。
それでいて、アニメと違って、時々大事なところはテキストでしっかりと読ませてくるのも良い
ノベルゲームが好きな人には「アニメとノベルのいいところ取り」って感じがする作品だ。
「アニメは好きだけどエロゲとかノベルゲームやったことがない人」にこそぜひプレイしてもらいたい作品
本作は、美少女ゲームにありがちなシリアスなストーリー展開とか、キャラクター同士の恋愛とかそういうものはない。
ただただ、映像作品としての面白さを追求した痛快なアクションやドタバタ劇があるだけである。ひたすら笑って楽しめる。
それでいて、最後までプレイすると、じわっと胸に残るものがあるいい話だった。
身構えずに楽しめるし、分量としても7時間くらいで完了するので比較的お手軽だ。
15話くらいのアニメーション、あるいは2本立ての映画作品を楽める作品だと思ってぜひ試してみてほしい。
ちょっとお値段的に高いとは思うが、アニメのBDーBOXを買うよりは断然安いしこの作品にはそれだけの価値はあると思ってます!
まずは実際に体験版だけでもプレイしてみてほしい!
2000年位には紙芝居をクリックして読み進めるだけとも揶揄される中『痕』や『AIR』のようなノベルゲームは隆盛を極めたが、20年くらい経った今ノベルゲームはどんな表現にするべきかという一つの解がこれ。
1クリック毎に画面が切り替わり、イベント絵と新規絵の嵐の中破天荒なキャラクターと世界観が描写されていく。カートゥーンアニメをノベルゲーム中に取り入れている点も斬新だが、謳い文句にもあるCG・スチル1000枚を駆使して刺激に満ちた新情報を常に提供し続けてくる。明らかに現代人向けにチューニングされている一品。
文章とグラフィックと音楽による没入感がノベルゲームの醍醐味だが、退屈を誘うような無駄を省きまくって絶え間なく刺激を与え続けられる。テンションが高いキャラクター達によるテンポのいい会話と一枚のグラフィックの美麗さ、合間にアニメーションを入れてアクセントをつけ、全編アニメだと間延びしかねない尺を自分のペースで読み進められるというのは非常に心地よかった。
テキストアドベンチャーゲームの体裁ながら次々とイベントスチルが切り替わり、また地の文も殆どない&フルボイスで映像作品を見ているかのようにサクサクな豪華仕様!アクションシーンに差し込まれるカートゥーンなアニメもよく動いて本当に目が楽しい作品。BGMも60曲以上でいやほんと…すごい。
ADVを限界まで豪華にした、一つの頂点を見ましたねこれは。
『ビジュアルノベルゲー』とはこういうモノを言うんだと叩きつけられた作品。ボリュームとしてはやや少ないのだが途中でダレることなく熱量を最後まで保ったまま駆け抜けるにはこれくらいがベストなのだろう。シナリオ、音楽、キャラ、演出どれを取っても素晴らしい出来で洗練されたアニメ映画を観ているような感覚だった。細かい描写や説明がされていない所はあるが大量の絵も合わさって容易に想像出来、あえて文字にしないことで没入感を高めることに成功している。文句のつけようが無い素晴らしい作品だが唯一問題があるとすれば今後他のノベルゲーをプレイする際、物足りなく感じる恐れがあることだろう。
この作品はジェットコースターです。確かに他のアトラクションと比較すると一瞬で終わっちゃう。物足りない!って感じる人もいるかもしれません。
でも、ジェットコースターの爆速で駆け抜けるスリルと快感はなかなか他じゃ味わえないですよね?このゲームはそんなゲームです。
CG、スチル1000枚級というのは伊達ではなく、数回セリフ送りしたら新しいCGが1枚表示される。文章中に状況説明というのがほぼなく、その代わりに全部絵で描かれる。
今までのビジュアルノベルの概念を覆すレベルでコロコロ変わっていくので、ビジュアルノベルというよりは漫画やアニメ映画のような感覚で楽しめる。
途中挟まれるトゥーンアニメーションも出来がよく素敵。ストーリーを妨げない程度のミニゲームも何個かあり、恐らくは一気にプレイしても飽きさせないことを意識している。
短く凄まじい熱量を保ったまま最後まで行くので満足度はとても高い。