株クラ的には「製造業でもハイテク企業でもなく、アウトソーシングという事業で常に30%以上の成長を続け、リーマンショックの後で株価が100倍以上になったかなり珍しい企業」としておなじみのエスプールさん。
なんか話題になってるみたいなので説明しようかと思ったけど、思った以上に面倒だったので簡単にメモだけ。
nordot.app
エスプールの事業の変革について
①もともとは「大学フリーターの就職支援事業」の会社だった。
www.spool.co.jp
就職に困ってる学生を「携帯電話販売支援業務やコールセンター業務等」を中心に派遣するビジネスを展開。
②リーマンショックの際に倒産寸前までいき資金不足の状況となり「公共事業に食い込む」ビジネスを強化
・2010年に「農園」による障害者雇用のアウトソーシングビジネスを展開。
・スマートメーター設置業務によって急成長。
一度倒産危機を経験したメンバーは肝が据わっている。
ただのアウトソーシングではなく「全体的に人がやりたがらない仕事」を優先的に請け負い
それによって官公庁と親しくなっていくことで競合に比べて圧倒的優位を築いていく。
今回問題視されたのは「貸農園」ビジネス。
あんまり知らない人の中で誤解があるようだけれど、最近までは主力ではなかった。
現在でもエスプールの売り上げの2割程度。
しかし他が苦しい中この事業に本腰を入れて投資を行っている途中だった。(たぶんかなり強引に営業とかして目立ったんじゃないかなあ…)
plus.spool.co.jp
これは「お上にとって必要だけどあまりやりたがる人がいない」問題を解決することで成長してきたエスプールらしいビジネスといえる。「障害者雇用に興味がなく、そういうものにわざわざ対応したくないけどESGやってるフリはしたい。お上からのペナルティは食らいたくない」という企業には超魅力的な仕組みとなっている。
「法律で決められた割合だけ障害者雇うためにはこれだけコストかかりますよね。障害者雇うのは大変ですよね。私たちの農園を使えばコストカットになりますし、オフィスに面倒な障害者を抱えなくて済みますよ。しかも社会貢献をしてる企業という名誉も手に入ります。どうですか?」
こういわれれば、障害者に興味がない企業なら喜んでやると思う。
もちろん違法ではないです。障碍者就労支援をして補助金をもらうというのはリタリコとかウェルビーもやってるし、立派な仕事です。ただまあ……「法の隙間を狙ったビジネス」ではあります。「国の規制ルールへの対応」とか「雇用率達成の事業主への補助金」という制度さえなければ何の問題もないんですけどね……。
最初は職が得られない障害者に就業の機会を、ということだったかもしれないんですけど、最近問題視されるようになったのはあまりに露骨に提案活動をやりすぎたからかも?
www.youtube.com
③「アウトソーシングのシェアリング」というビジネスモデルで、多くの企業を効率よく顧客とすることに成功
一社ごとにビジネスの一部をアウトソーシングしてもらうというよりは、本当に「権利を販売する」みたいなビジネスを展開。これだと企業はそもそも障害者を自社で雇ってるという感覚すらないかもしれない。
Colaboもそうだけどこういう事業を批判できる人ってどういう人だろうね?ザ・資本主義という感じがしますし、特にESG投資ってのはこういう例が他にもたくさんあると思いますよ。それこそ若年女性被害者支援とは規模もけた違いなレベルで。
言ってみれば、採算が厳しかった時期に「排出権取引」を利用して狂気のような赤字垂れ流しまくりながら権利の売買で収益を上げて強烈な投資を行い超成功したテスラと同じようなもんです。むしろイーロン・マスクを絶賛してるような人はこの会社も褒めたらいいのではないでしょうか。(私は遠慮しておきます)
④次は地方創成ビジネスと環境対策ビジネスに参入しようとしている
www.spool.co.jp
みんなはパソナって企業について「FF5のエクスデスみたいに、竹中平蔵とともに無から生じた存在」であるかのように勘違いしてるかもしれないけど(ちなみにパソナの創業者は竹中平蔵じゃないのはさすがにみんな知ってるよね)パソナにだって歴史があります。
そういう意味でこの企業は「現在進行形で生まれつつあるパソナの後継者」って感じがしてとても興味深いです。
本来この業態はそこまで高成長を維持できるようなものではないはずなんだけど
株価の高騰を見てもらえばわかる通り、ものすごく高成長を維持しておりいつの間にか「年30%くらいの成長率を当然のように求められる」という状態になっていた。
中期経営計画もそれにそったものでちょっとおかしなレベルの成長率を目標として掲げていた。
正直、このビジネスがあかんということになると、ここの株価は相当厳しい気がするな・・・。