「サクラの刻」をプレイして、その後初回特典版の外伝小説を読みました。
そしたら「素晴らしき日々」のキャラクターが出てきたわけですが、
私はこの「素晴らしき日々」が当時あまり楽しめなかったプレイヤーなんですよね……。
みんなは「素晴らしき日々」も私の何倍も楽しんだんだろうな……と思ったら
なんか悔しくなったのでもう一回だけちょっと挑戦してみようかなと思ってみたり。
とりあえず一回目はストーリーを理解するだけでいっぱいいっぱいで
全然楽しむということができてなかったような気がするので、
二回目だし、設定部分をちゃんと踏まえた上で余裕をもって味わいたい。
というわけで、ざっくりあらすじをまとめておきます。
次の行から早速ネタバレしていくからプレイしてない人は引き返してね!
- パッケージが女の子二人なのはパッケージ詐欺であり、主人公は男であり本名は「間宮皆守(トモサネ)」である(のちに登場する悠木皆守とは全く性格が違う)
- 間宮皆守は8年前に沢衣村へ
- 7年前の惨劇により「間宮皆守」人格が一時消滅し「間宮卓司」人格になる
- 6年間はずっと「間宮卓司」人格として過ごす。皆守の人格は眠りにつく。
- 1年前の事件で「悠木皆守」人格「水上由岐」人格が発生する。
- というわけで、主人公は物語開始時点で多重人格状態になっている。
- このお話で起きる事件は「麻薬汚染」×「終末思想(オカルト要素)」で構成されている
- 高島ざくろの死によって不安定化した「新・間宮卓司」人格が「元の間宮卓司人格(救世主妄想)」に代わる
- 最終的には、「悠木皆守」人格がアップデートされてちゃんと現実を認識し、「間宮皆守」人格を取り戻すことになる
- 蛇足:私は「サクラの詩」は大好きだがこの「素晴らしき日々」はすっごい苦手だ。
- 別に私は「あらすじがわからない」と言ってるわけではない……
パッケージが女の子二人なのはパッケージ詐欺であり、主人公は男であり本名は「間宮皆守(トモサネ)」である(のちに登場する悠木皆守とは全く性格が違う)
・間宮皆守は、間宮浩夫とその佐奈実琴美との間に生まれた少年。
・なお、間宮羽咲と間宮卓司は「新興宗教白蓮華協会の教祖」と、その愛人となった琴美の間に生まれた双子の兄妹である。
・教祖に捨てられて精神を病んだ琴美と母親の教えを刷り込まれて「救世主幻想」に染まった間宮卓司は、間宮羽咲が間宮卓司の救世主としての能力を奪ったとしていじめていた。(というか殺そうとしていた?) これに対し、皆守は母親に反抗して羽咲を守ろうとしていた。
・ある日錯乱した琴美に刃物で襲われ、逆に負傷させてしまう。皆守は父親の実家がある沢衣村に移され、水上由岐と出会う。
間宮皆守は8年前に沢衣村へ
浩夫の癌が悪化した為、間宮羽咲も沢衣村へ移り住むことになる。由岐と一緒に三人で過ごしていくうちに、自分は「兄として羽咲を守る」という決意が固まっていく。
7年前の惨劇により「間宮皆守」人格が一時消滅し「間宮卓司」人格になる
沢衣村に錯乱した間宮卓司と間宮美琴が現れて、羽咲を殺そうとする。この際に水上由岐は羽咲を庇い崖から転落して死亡する。
また皆守はナイフを持った卓司ともみ合いになり何かの拍子で卓司の胸にナイフが付き刺さって彼を殺してしまう。この事件によって羽咲は身体と心に深い傷を負う。間宮卓司はこの際に主人公に憑依しようとし、それ以降皆守はこの事件以後自分を間宮卓司だと認識するようになる。ただし、元の間宮卓司とは全く違った非常に気弱な性格になる。
6年間はずっと「間宮卓司」人格として過ごす。皆守の人格は眠りにつく。
卓司の死が受けいれられない母親も、学校に間宮卓司で書類を提出し卓司として扱っていた。「羽咲」は兄として慕っていた皆守の魂を呼び戻したいと願っていたが、「間宮卓司」人格は「羽咲」の存在そのものを認識できない状態だった。(「間宮卓司」人格も「悠木皆守」人格も「水上由岐」人格も、それぞれ「羽咲」の存在を別のものに置き換えて認識していた)
羽咲は父が死亡し、母が狂った状態で、皆守もこんな状態だったから、だれも頼る人がおらず、死亡した水上由岐の父によって育てられた。(一方で、自分を殺そうとした母親を見捨てられず、母親の家に通っては間宮皆守の帰りを待ち続けていた……)
1年前の事件で「悠木皆守」人格「水上由岐」人格が発生する。
数年のあいだ、ずっと間宮卓司人格で安定していたが、北校で城山ら不良グループからいじめにあう。ざくろの制服を盗むよう命令され、それを着せられて嬲られているときに「悠木皆守」の人格が発生し、城山らをボコボコにする。この際に、合わせて水上由岐の人格も出現する。
※なぜかこの際に水上由岐は、皆守の人格を「間宮卓司の中に生み出された別人格」と教えるので、プレイヤーは「間宮卓司がベースで、そこに皆守と由岐の人格が後から生まれた」とミスリードされる。皆守の人格は、自らを間宮卓司の人格を消しさる「破壊者」の役割であると認識している。
というわけで、主人公は物語開始時点で多重人格状態になっている。
ゼノギアスのフェイと一緒で、本来の間宮皆守の人格は沈んでおり「不良の悠木皆守(破壊者)」と「間宮卓司(救世主)」と「水上由岐(調停者)」の人格が宿っている。
これだけなら簡単なストーリーなのだが、非常に厄介なことに「水上由岐」の人格がシナリオが進展するごとにちょっとずつ書き換えられて章ごとに別物になっている。これのせいで、何をやってるのかちんぷんかんぷんになってしまう。特に序章の由岐と高島ざくろのHappyEndに登場する由岐は、解説を読んでもよくわからない
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このお話で起きる事件は「麻薬汚染」×「終末思想(オカルト要素)」で構成されている
◇そのころ、北校では麻薬汚染が起きていた
◇トモサネくん人格は麻薬ユーザーから麻薬を奪って捨てていた
◇由岐人格が「Web Bot Project」のサイトをいじって放置していたらカルト的な話題を獲得してしまう
(実際はただの後付けインチキサイト)
→「Web Bot Project」は7月20日に北校で大惨事が起きると予言する。
◇城山翼が薬でラリって転落死する(これはただの事故)
高島ざくろの死によって不安定化した「新・間宮卓司」人格が「元の間宮卓司人格(救世主妄想)」に代わる
◇赤坂めぐと北見聡子の二人からいじめ被害にあっていた高島ざくろが間宮卓司と出会う。
→いろいろ交流があったあとにいじめに耐え続けたあと精神崩壊する
→高島ざくろ(&築川うさみ、瑞緒あゆみ)が飛び降り自殺する(スパイラルマタイ)
◇高島ざくろの死を受けて間宮卓司人格が精神不安定になり、いろんな幻覚や妄想を見たのち「元の間宮卓司人格(自分は救世主であるという妄想に取りつかれた状態)」を覚醒させる。
→ここの部分があまりにも読んでいて苦痛なので、序盤で脱落する人が多数いる。逆に言うとここが苦痛すぎるゆえに、ここに耐えてクリアした人は脳がおかしくなって本作を過剰に礼賛する傾向がある
◇そのあと「旧・間宮卓司」人格になった主人公は、高島ざくろを装ったメールや「Web Bot Project」のオカルト人気を背景とした予言や演説によって校内を支配し「集団自殺」事件をおこそうとする。
最終的には、「悠木皆守」人格がアップデートされてちゃんと現実を認識し、「間宮皆守」人格を取り戻すことになる
・一度間宮卓司にボコボコにされた後で、水上ユキとの精神的修行を経て夢の扱い方を身に着け、ちゃんと羽咲を認識できるようになる。
・間宮卓司との対決の後、(水上ユキ人格が)間宮卓司の人格を消滅させ「間宮皆守」となって間宮羽咲のもとに戻ってくる。
なお、「フルボイス版」にだけエピローグがありトモサネとユキのいちゃらぶストーリー「Knocking on the Heaven’s Door」シナリオが読める。(10thにもある)
まぁいないと思うけど、今からこのゲームやる人は絶対に「フルボイス版」の方をプレイしよう。
定期的に50%offセールをやっているのでその時に買うのがおすすめ。
蛇足:私は「サクラの詩」は大好きだがこの「素晴らしき日々」はすっごい苦手だ。
音楽はすごく好きだし、MADも好きだし最後までプレイし終わって魅力のある部分だけを抜き出してみれば無茶苦茶面白い作品なのは私も認める。
www.nicovideo.jp
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だけど、実際にはプレイヤーである私はプレイしている時間の大半は「錯乱した間宮卓司人格」と「ころころと中身が入れ替わる水上由岐人格」として過ごすわけで、これがマジでわけわからなくてしんどい。
私が実際にゲームをプレイしている時は何が面白いのかよくわからなかったし、とにかく悪趣味かつグロテスクな演出とテキストのgdgdさがあいまって、ただひたすらに苦痛だった。常に不快な気持ちを抱きながらプレイしていたと思う。
※悪趣味な部分だけ抜きだしたMADもあってこちらも人気があるので単に私とあわんかったんだろう。
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こういう感じでデバフがかかりまくった状態で読んでたせいで、当時の私には、難しすぎてこの作品の良さの2割~3割くらいしかわからんかったような気がする。この作品がいったい何がやりたいのかがわからんくて、何も受け取れなかったのだ。
これは子供時代に「ナニワ金融道」を読んでも「よくわからんけど先物怖い」だけで終わったのと似てる。*1
別に私は「あらすじがわからない」と言ってるわけではない……
で、記事に書いてる通りあらすじがわからないというわけではないんだ……。
多少の間違いはあるだろうし、本編開始後はハショってる。ガチ勢の人のいうような「高島ざくろ」を交えた四重人格説は全然理解できていない。ただ大筋として理解は間違ってないと思う。そういうあらすじ部分を理解するのが苦手だからこの作品が苦手なわけじゃないんですよ。
ただ、このゲームをプレイした人たちがみんな銀河鉄道の引用とか「モンパナッシュ!」とか「幸福に生きよ!」とかの部分にすごい感動しただとか、キミカ好きだあああああ!とか言ってるのが全然わからない……。橘キミカとの2章Happyエンドが最高とか言ってる人いるじゃないですか。マジで全く理解ができないんですよ(悪いって言ってるんじゃなくてむしろわかる人がうらやましい)
こういうストーリー部分と、作中で多用されている文学の引用が上手く自分の中でマッチしないのです。「サクラの詩」はそのあたりすごくわかりやすかったけどこっちの方はなぜかマッチしない。
私は「他人のために傷つきまくって自分の記憶すら失ってしまう」トモサネくんを見ても、そもそも多重人格の中の一人にそこまでの実存を感じられなかった。どういう風に読めばみんなと同じように感動できたのかがわかってない……。
それがとっても悔しかったので当時は酸っぱい葡萄的にこの作品に苦手意識持ってましたね。もしかして1回目はストーリーを理解するのに頭を使いすぎて感情を楽しむ余裕がなかっただけかもしれない……。2回目にプレイしたら感動できたりするのだろうか……。
*1:このゲームがヒットしていていることに対して、私は自分がアホなだけなのを棚に上げて「こんなゲームがその年のベストゲームとして称賛されてること自体もうダメすぎる。高尚になりすぎたエロゲー業界はもう袋小路だよ……」とかなぞの逆切れをしてたくらい。