軽い気持ちで読んでみたら予想外に面白かった。普通に先が楽しみになる作品だ。
アニメ１話見た時点では「黒髪ロング無表情美女が主人公」という点が気に入った程度だったのだけれどアニメのテンポが遅くてダルいのでマンガの方を試してみたらとても気にいって既刊の3巻まで一気に読んでしまった
物語の入り口は悪役令嬢の基本に忠実な作品だ。つまりゲームの世界に転生してしまったけれど倒されるべき裏ボスなのでそういう結末を回避するために自分を鍛えつつ穏便に過ごそうという話。特にストレスなく読める。
しかも主人公はとても優秀。優秀というか「特に目的がなくとも淡々とレベルを上げて強くなることに喜びを感じる」というゲーム脳という感じ。なので、こちらでも行動に無駄がなく読んでいてもストレスがない。
その結果、物語開始時でLV99。圧倒的に最強なので全く脅威がない。黒髪差別とか、高いレベルをやっかんでくるやつはいるけれど、「その気になればお前殺せる」状態なのでやはりストレスがない。むしろ圧倒的高みから下々の者がピーチクパーチク騒いでいるのを無の心で眺める展開である。
とはいえ、このあとしょうもない「私TUEEEE」とか「有能な私は平穏に過ごしたいのにやれやれ」をダラダラとやられるんだったら虚無すぎるのでギブアップしようと思っていたのだが、幸いにしてそういう話じゃなかった。
この作品の主人公であるユミエラは「薬屋のひとりごと」の主人公であるマオマオが毒が大好きでひたすら我が道をいくマイペースキャラであるのと同様にレベル上げが楽しくて宮廷の出来事とか割りとどうでもいいと考えてるマイペースな娘である。
そんなユミエラに対して、パトリックという男が主人公のことと積極的に関わってくるあたりもジンシ様がマオマオにちょっかいを欠けてくるのと似ている。
その上で、女性向け作品なので、恋愛のような甘酸っぱい要素は割りとストレートに描いてくれている。薬屋のひとりごとはなんか「もう付き合っちゃえよ！」って言いたくなるけどそういうもどかしさがあんまりなくてストレスがない。
「さて、この作品はいったいどのあたりをメインに楽しめば良いのだろうか」と悩む程度には楽しめる要素がいろいろと散りばめられていると思う。元々のヒロインであるアリシアが闇落ちするみたいな安易な展開でさえなければなにをやっても受け入れられるはず。
私としてはこの「ゲーム内のユミエラ」的な何か、自分が幸せに過ごせていることの代償について丁寧に描いてくれたら面白いなと感じる。
4巻からが見どころらしいということで今から続きがとても楽しみだ。
