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トランプ大統領誕生と「低金利&過剰流動性」時代の終わり

「なぜトランプが勝利したか」という話はもうみんな色々語っているので、私は今後の話でも考えます。*1



最初に言っておきますが、私は経済学の勉強もろくにしてないし、ただ投資の関係で必要最低限の知識をかじってるだけのど素人なのであてにしないでください。「ここ間違ってるよ」というご指摘や「そういうことなら、このポイントを考えてみたらいいよ」というアドバイスは大歓迎です。


トランプ大統領当選から約1週間で起きたことを一言でいうと……


米国債売りによる長期金利(市場金利)の短期的な上昇」です。

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*2

よりわかりやすい言葉でいうなら「インフレ」(の予兆)です。


なんで「国債売り」「長期金利上昇」になったのか

トランプ当選後に株価は大きく上昇してますよね。

これ、「株価が上がってる」からトランプの政策が期待されてる!と思ってる人いませんか?完全な間違いではないと思いますが、どういう株が上がっているかを見てみると、あまり楽観はできません。


今の株価が上がっているのは「国債が売られて長期金利が上がっているから」でありそれ以上でも以下でもないという状態ではないでしょうか。


では、なんでこんなに急激に国債が売られて、株価が上がっているかというと、私はおそらくこういう流れなんじゃないかと思ってます。

クリントンと違ってトランプ大統領は不安だ……株価大幅下落


②インフラへの大幅な財政投資という景気刺激の政策期待で大型株が上昇


③日本みたいに借金しまくることによる財政悪化を嫌って米国債売り
 →長期金利上昇・銀行株上昇
  →ドルインデックス上昇
   

金利上昇は、資金調達のコストを上げるので、
 緩やかに景気に対する締め付け・減速効果を発揮して
 過熱した株式市場にもゆっくりブレーキがかかる。
 特にNASDAQなど新興市場の高PER株からじわじわ売られる。


(⑤これに対抗するため、ドッド・フランク法廃止などの銀行規制緩和などがあると一時的にバブル発生)

私は、だいたいこれが半年くらいのペースで起こるのかな、と思っていました。ところが、わずか一週間で①~④までほぼすべて起こっています。⑤の兆候も出てきています。


本来はこれらの流れがすべていっぺんに起きることは考えられません。1つずつ順番でゆっくり相場が動くはずでした。特に③はがいっぺんに起きているのはかなり違和感があります。インフレとドル高が同時に起きてるのは違和感がある。


なぜこうなっているのかは私にはよくわかりません。過去の株価の動きがすべてアルゴリズムに学習されているため、それらが圧縮されて起きてしまったのでしょうか。



とにかくいえることは、現在は非常に危険な動きだということです。



「短期的な金利上昇」は危ない

消費税を5%から8%に上げただけで個人消費が減速してしまうのだから、急激に金利上昇すると、企業活動、つまり景気に対して急激なブレーキをかけてしまうようなものです。

日銀やFRBは、今まで景気を刺激するためにQEという形で金利を低い方向に誘導してきました。日本にいたっては実質マイナス金利誘導です。最近は「長期金利が0%以上になったら国債を買い支える」とまで言ってましたね

(※日銀が国債を買い支えてる限り低金利になるわけで、低金利を維持しながら物価上昇率2%を達成しようと言ってたのが黒田日銀の財政政策でした)


しかし、金利があまりに低すぎたりマイナスというのは短期的な景気刺激策や、企業救済策としてはともかく、長期的に続けるものではありません。ずっと続けているとデフレになったり、銀行などの間接金融部分がつぶれて経済に血液が回らなくなってしまいます。また、低金利状態でも景気がだめということになるともう打つ手がなくなってしまいますから、ある程度景気が回復して来たら、バッファを作るためにもある程度金利はもとに戻しておきたいところです。

しかし、先ほど述べたようにいきなり金利(資金調達コスト)を大幅に上げたら、経済はびっくりしてブレーキがかかってしまう。

だからこそ、FRBは、アメリカの景気が回復してきているのを確認して段階的に政策金利を引き上げたり、テイパリングを行うという判断を行ってきたわけです。景気にブレーキをかけないペースで、慎重に金利上げを目指す、ということですね。


「経済がデフレに陥らないよう、安定したインフレが起きるように金利をコントロールする」のが中央銀行の本来の基本的な役割で、日銀はもうとっくにそれを逸脱してしますが、FRBはその本来の役割を果たしてきていた。


ところが、そんな動きを無視して、トランプはまだ何も政策を実行してない、大統領にすらなっていないのに、周りが思惑から勝手に長期金利を大幅に上げてしまった。トランプは「自分が大統領になったらFRB議長はクビにする」という発言をしていましたが、実際こんなことをされたらFRBとしては、議長をクビにされる以上にたまったもんじゃないと思います。


ここからバブルになるのか、それとも急激すぎるドル高・金利上昇で景気にブレーキがかかるのか


これからトランプが大統領になってどうなるかはわかりません。ただ、急激なインフレは絶対にアメリカ経済にとってプラスにはならないと思います。


実態経済にブレーキをかけつつ、株式市場でだけバブルを起こしたところで、潤うのはすでに資本を持っている人たちです。貧困層が助かるわけではない。ましてそれが官製バブルだったりするとはじけたときに実体経済ごとつぶれて10年20年という爪痕を残します。

※日本バブルの話はこちらに素晴らしい記事があるので読んでください。
日本のバブル時代のすごさ&バブル発生〜崩壊の理由をわかり易く解説

また、慢性的な低金利やデフレは、経済全体には良くないないですが、貧困層には物価安という恩恵があったりします。日本でも、「実質賃金」を用いたアベノミクス批判や民進党支持がいまだに人気があったりするくらいです。 貧困層は急激なインフレに耐えられなくなって、ますます追いやられていくかもしれません。

なので、早めにクールダウンしたほうがよいんじゃないかなと思います。バブルが始まっちゃったら乗らざるを得ないけど、そのあとの反動考えると恐ろしい。



短期的な見通し

もっとも、バブルは起きないかもしれません。上で書いたようにすでにトランプ当選後にFacebookなどのハイテク株・高PBRの株などは売られています。上がっているのは銀行株やオールドエコノミー系の株、公共投資に絡むような株中心だったりします。そこそこのところで落ち着くような気がしています。


また、先ほども言っているように、今株価やドルインデックスが急騰しているのはすべて「国債が投げ売りされているから」の一言に尽きます。この国債の投げ売りが止まった時点でいったん落ち着くんじゃないでしょうか。


どこまでいくかはわかりませんけど。長期金利が3%に到達するまで国債は売られる、という声もあるようです。








いずれにせよ、はっきり言えることは黒田日銀や各国の中央銀行がけん引してきた「QE(量的緩和)による過剰流動性」「低金利誘導」といった金融政策一辺倒のやり方は通用しなくなってきたということでしょう。

各国がこぞってQEに踏み出した結果「通貨戦争」となり、経済がよくわからぬ世界に突入してしまった感があります。そういうあたりも政治への不信を招いてしまっているのでしょう。

その巻き戻しとしてわかりやすい「インフレ」「公共投資」といった財政政策を唱えるトランプが勝利したのはある意味象徴的だと思います。




しかし……なぜトランプなんだ……。



アナリストは相場の動きに提灯つけるだけの信用できない人が多いですが、この人はとても信用できると思っています。2015年10月の時点で2016年1月~2月の動きを価格や時期含めて正確に予測されており、その後も非常に的確な市場見通しを発信されています。投資に興味がない人でも、現在の経済を理解するための勘所を紹介してくださっているのでとてもおすすめ。
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*1:というか、「なぜ勝利したか」については人の意見を聞くよりこのページExit Polls 2016 みて自分なりに考えたほうが絶対にいいと思いますよ

*2:※ちなみに、イエレンさんたちFRB金利上げる上げるといってたのは「政策金利」であり、無関係ではありませんが別物ですこちらは短期金利に関するもので、性質が違います。こちらは主に金融に関係する金利で、長期金利はビジネスに影響します。詳しくはこちらを読んでください