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「穴殺人」「火傷少女」  ファッションメンヘラ系マンガについて

精神病や発達障害、メンヘラというのは、現実においては本当に苦痛でしかありません。地獄です。

一般人は絶対にそういうものになりたくないと思っていることでしょう。

一方、一般人はその苦しみを実感し得ないので、その「普通じゃない私」「ちょっと変わった私」という部分に、ファッション的に興味を持ってしまうのかもしれません。

実際の当事者からすると全くリアリティのかけらも感じない、「ファッション狂人」「ファッションメンヘラ」ものは結構人気があるように思います。

これはフィクションの中だとより顕著でフィクションの世界で「ぼくやわたしがかんがえたさいこうのメンヘラ」を描く作品は人気があるように思います。

現代社会に馴染めず、かつ何のとりえもない人が努力して部活でかったり刷るスーパーヒーローに成ったりするよりは想像しやすい「日常からの逸脱」の実現なのかもしれません。

その証拠に、この系統のマンガは主人公は普通の人であり、あくまで「パートナー」がメンヘラだったり精神病だったりします。

自分は普通の人、という立ち位置から狂人の世界を垣間見て(最終的に)返ってくる、そのくらいの感覚が求められているように思います。






そんな「リアリティを感じさせない、人形じみた人たちを一生懸命動かそうとしている作品」というのは、読んでいて不思議な印象を与えます。

真面目にサスペンスものとかとして読むと本当にひどい駄作なんですが、こうなんというか、一生懸命作者の中で描きたい理想のイメージみたいなのがあって、それがこっちに全然伝わらないこの気まずさ。 その気まずい感じが、逆になんかすごい好きです。

たとえばこの「穴殺人」という作品。この作品は、本当にくっそつまらないです。お金出して読む価値はないと思います。Amazonの評価も散々ですしね。お金出して読んだらそりゃ文句も言いたく成ります。

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でも、擁護のしようもないほどつまらないからこそ、なんかもうそういう作品としてのおもしろさとかはどうでも良くなってしまって、純粋に「やりたかったこと」をこっちが考えてしまうんです。

この作品の場合、「一点の非もないような美人の女性に殺されるってどんな感じだろう(そのくらいディープな世界を垣間見たい)」という、この一点の欲求です。そのために「冴えない自分に美人が興味を持ってくれるとしたらどんな状況だろう」「その女性がどうすれば自分を殺すというモチベーションを持ってくれるだろう」「ただ殺されるだけじゃなくて、殺されることによって相手に何かを刻みつけることは出来ないだろうか」などなどを考えてる感じがします。

いかにして「美女に殺される」ということを劇的に読者に届けるか、そのインモラルな欲求の価値をいかに説得力あるものにするか、それを一生懸命考えて、いろいろ工夫して、でも作者の力量が全然足りてなくてヘッタクソで、グルグル回り道をしたあげく最終的に上手く行かなくて挫折する。 

作者の狙ったところではないと思いますが、作品そのものには全くこれっぽっちもリアリティを感じなかったのに、この作品の迷走ぶりだけには、ものすごいリアリティを感じました。




ちなみに同じ欲求でも、ベテランのマンガ家さんがスマートに描くと2巻で終わってしまいます。こっちはよく出来ていて面白いんですが、こういう欲求はスマートに描かないほうが良いのかなぁとか思ってしまいました。 もともとありえない欲求であるため、上手に話が描かれると逆にすごい違和感を感じてしまうという……。 なんてこったい。

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そのあたりで、ちょうどいい感じかなと思うのがこの「火傷少女」。

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左目に眼帯をつけながらも、明るい性格でクラスの皆から慕われている女子高生シイナ、彼女には“裏の顔”があった。

シイナの同級生で、かつて自殺志願者だった少年のカナメは、ある日、『思想ノート』と題された彼女の秘密のノートを見て、それを知ってしまう。

彼女は最高の自殺をするために、毎日を生きていた。

徐々に彼女に惹かれていくカナメだったが、案内されて足を踏み入れた死臭の漂う廃校で、彼女のもう1つの秘密を知ることになり……

狂気100%の彼女と無感情な僕の戻れない恋路を描く、恋愛ホラーコミックス。

死に魅了された女子高生シイナと同級生のカナメは、一緒に最高の死を迎えることを誓い、恋人同士になった。

だが、カナメは彼女に惹かれつつも、どこか考えについていけない部分を感じていた。

もやもやした気持ちを抱えたカナメが廃校から帰ってくると、中学生の頃に付き合っていたカエデが、家の前で帰りを待っていた――彼女の狂気が暴走する!? 

穴殺人はガチの異常者を描こうとしたけれど

設定に凝ってあれこれ盛りすぎた上に作者の力量が足りない感じでこっちに伝わらず、

それをストーリーやキャラの動きではなく「言葉で」一生懸命説明しようとしてくるからすごい作者のオ●ニー臭がきつくて耐え難かったんですが、

こっちの作品は、設定そのものはそんなにこだわって無くて

それよりもとにかく「この女の子やべえよやべえよ……」って感じをなんとか行動で表現しようと努力してるのが感じられてとても好き。

この作品は原作と作画が別なのですが、原作者さん他の作品は、正直あんまりおもしろくなかったので、多分絵を描いている人が力量があるのだと思う。


ここから試し読みできるので、興味がある人はどぞ。
http://www.cmoa.jp/bib/reader/main.html?cid=0000128672_jp_0001&u0=1&u1=0&rurl=https%3A%2F%2Fwww.cmoa.jp%2Ftitle%2F128672%2F



……わたし、なんだかんだいって、「まんが王国」で紹介されてるようなマンガ大好きだよね……。 ごめんね……