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「命令されなきゃ、憎むこともできないの?」(ブルーアーカイブ#3 エデン条約編3.私たちの物語)

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FGO2部1章完了 差別と戦う人が絶対に陥ってはいけないルートについて

FGOの新章プレイ中。

この章の舞台は厳寒に閉ざされた、「歴史のif」状態にあるロシア。

主人公たちはまず皇帝(正確に言えばコワンスカヤさん)の圧政に苦しみ、その結果相互不信によって密告だらけになっている息苦しい村Aを訪れる。この村で密告され殺されそうになっていた男と共に村を抜け出す。その後国に反逆している村Bにたどり着く。

その村はAよりも弱い人間が多く、物資も乏しいなど苦しい状況に追いやられていた。いろいろあって、ついに村Bは食糧難に陥るが、この時村Bのリーダーが、村Aを襲って食料を奪うという決断をする。 その時の村Bの人たちの声が以下である。

「あいつらが獣の群生地を秘匿しているのは間違いありません。」
「それが連中の手口だ。あいつら自分たちの食い扶持を確保してるだけじゃなく、あれで儲けてやがる」
「そりゃオブリチニキにもいい顔するでしょうよ。飢える心配がないならね!」
「あそこの連中、首都並みに潤ってるからなぁ」
「誇りがないのよ、彼らには」

プレイヤーは先に村Aを見てきた後だから、それが見当違いの意見であることはわかる。
しかし彼らはいろんな推測で相手のイメージを極悪なものにし、何一つ同情の余地はないという「自己正当化」の論理を勝手に作り上げていく。


そもそも戦うべきは圧政を強いている皇帝であるはずなのに、いつの間にか憎悪の対象が村Aに集中していき、村Aから、村Aの人間が生存できる最低限量すら残さず奪うことに何の躊躇もなくなっていく。あくまでこれは生き残りのために、相手の生存権を侵害してやむなく奪うのだ、と考えることを避けて「あいつらは今までいい思いをしてきたのだから、そういう人間から奪うのは当然の権利だ」という流れに傾く。略奪という行為をなしておきながら、そのことになんの後ろめたさも感じない。

この空気は見ていて恐ろしい。バルマムッサほどではないが地獄の一歩手前だ。


コレに対し、村Aから弾圧されて追い出された男は、村Aのことなんか好きでも何でもなかったが「ちょっと待て」と異論を唱える。

「……。……なあ、おい。
 あんたたちだって、同じ立場にアレば同じことをするんじゃないのか?
 あそこはたまたまそういう立地条件にあり、それでも死ぬ思いで都市を作ってきたんだ。
 住人全てが潤ってるわけでもない。 狩りに出られず、餓死するヤガだって居るんだ。

 それでも他の村……いや、あんたたちからすりゃ好条件だろうがよ。
 だからといって「あいつらは悪いやつだから、何をしてもいい」なんて虫酸が走る考え方だ。

「あんた、あの街の出身か?」

「追い出されたがな。
 庇い立てする気もないし、食料の略奪に反対しているわけでもねえよ。
 ただ、俺もアイツラも、同じヤガだ。それだけは忘れるな。」

もちろんこんな言葉で簡単に彼らが心を落ち着かせるわけはない。もともと村Bがこれほど強硬的な姿勢に出ているのは、「殺すか殺されるか」の関係になった上に、「抵抗によって自分たちがやられること」を恐れるからだ。不満や敵意の上に大義名分や恐怖が混じり合った時、人は完全におかしくなる

「たしかにその可能性は考えなかったと言えば嘘になる。だが、それがどうした。私は彼らを守る義務があり、使命感がある。地獄のような連鎖を断ち切るような素晴らしい行為ではないと理解している。だが、可能性だけなら、私は目を背ける

この後も村Bの人達による村Aへの「虐殺」の兆候が高まっていくが、主人公達がそれを防ごうとするはいいですね。ご都合主義的展開だけど。


私はこの一週間くらいずっと記事を書いてきた中で、何度も何度も同じことしか言ってなくてそれがこの赤字の部分。

極論すれば、私がいいたいのはこれだけ。「相手が悪いやつだ」と思った瞬間に「何してもいい、何言ってもいい」と思って、途端に社会的存在である人間の最低ラインを踏み越えてしまう人たちがいるが、そういうのは忌むべき存在だということ。ただそれだけです。

私はこういう考え方が本当に嫌いで、これがわからない人が正義の主張をしていると一度制止したく成る。キャッチャー・イン・ザ・ライではないけれど、その道はあかんって言っておかないといけない気持ちになる。

どれだけ99%正論を言っていようが「あいつらは悪いやつだから、何をしてもいい」という臭いを感じる人の主張は受け入れられない。私が、ここが一番根本的な部分であり、絶対に抜かしてはいけないと思っているからだ。そこまでひどくないにせよ、「相手の悪」をつらつらと語ることによって自分を正当化しようとする、という思考や手法全ても嫌いだ。「トーンポリシング」に賛成するのもそれが理由だ。

相手がどんなに間違った人間であれ、それだけで自分の正しさを証明しない。相対的にマシなだけで自分だって悪かもしれないのだ。そもそも相手がどれほどの悪であろうが、それを理由に「どんなことをしてもいい」といい出すやつは、立場が変わればその悪と同じことをやらかしかねない。少なくともそれを律する論理を自分の中に持っていないということだからだ。「相手の間違いや誤りを指摘すること」と「自分の正しさを証明すること」は個別に行わなければならない。どちらかを優先するなら後者だ。前者しか出来ていない人は「ああそうですか。ところであなたは何者ですか?」「あなた自身はどういう考え方を持っていて、それはなぜですか」という問いに別途答えなければならない。 その点をサボっている人に一定以上の信頼を預けることは無理だ。

もちろん、ネットで後者をそんなに書くことは簡単でないのはわかってる。私も基本的には前者のみを書くことが多い。だから「書いてないから駄目」とは言わない。でも前者しか書いてない人を「敵の敵は味方」みたいな雑な認識で持ち上げるような姿を見ると強い抵抗を感じる。



というわけで、このあとどうなるかわからんけど引き続きFGO新章をプレイしてきたいと思います。

FGOでは以前に「クリストファー・コロンブス」の発言を保留つきで紹介したら、その後あんなことになったし……。

アビゲイル」について紹介したらあんなことになったので、下手をすると今回紹介したキャラもあんあことに……まさかね。


余談 「カミーラ様の主張」をしている人たちからは距離を取りたい

それでも、村Bのメンバーは「自分の力で相手を殺す」ぶんまだましと言える。それどころか「自分は文句をいうだけで何もしないが、世界が自分のためにより良く動かないことが不満」という人達がいる。「私達は今まで我慢してきたのだからその見返りをよこせ」というやつだ。

例えば男女問題で言えば、アンチフェミニストを主張するごく一部の方々が、「女はいざとなれば身体を売ればいいから楽だ」だの「女は俺のようなキモくて金のないおっさんよりは人生イージーモードだろ」というルサンチマンの塊のような人達がいる。一方で、フェミニストを主張する方々のこれまたごく一部ではあるのだが、「男は女性から一方的に搾取していて潤っている。」「男は全く苦労していない」と主張するすごい頭の悪い人たちが居る。

そして、どちらも「相手を敵としてみなしながら、その敵が、自分のために行動しないことを不満に思う」とか言い出す。前者は「積極的に差別解消に行動しないやつは悪」、後者は「キモくて金のない男に女を割り当てろ」的な話だ。(こういう話をすると、絶対にどちらも相手側を指して「あいつとは違う。私の主張は正義、一緒にするな」と言い出す。)

前史時代権力者でもない人間がそんな主張をして通った試しなどないし、権力が弱いから今そういう不満を抱えているはずなのだが、「謎の空間から自分に都合の良い存在が降ってきて自分の願い事を叶えてくれる」というようなミッシングリンクを想定しないととても主張し得ないことを主張する。

正直言って、どこをどうしたらこういう主張を真顔でできるのか私には理解できないのだが、なぜかそれに違和感を感じない人たちがいるのだ。

ここまでくると「H✕H」に出てくるカミーラ様である。

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一つ前の記事に取り上げた自称ラディカル・フェミニストさんはその典型例なのだけれど

こういう人たちは、それを上手におだてて踊らせる人たちの餌に過ぎないんだよね……。 こういう「自分にとって都合のいい」楽園を求める思考は、程々にしておかないと「大虐殺」につながりうる。そうならないように気をつけたい。



http://d.hatena.ne.jp/kaien/20081025/p2

「彼らは本当のことを知りたいわけではなくて、自分に都合のいい甘い夢を見て、他人と共有することだけが望みなのです。弥勒菩薩だろうと、イエスキリストだろうと、それが彼らを夢から分断する存在ならば、たとえどんな正法を携えていようとも、理解しようともせずに石を投げるでしょう」

「私たちに出来るのは、自分の力で夢を見られない弱い人間のために、夢の管理人を買って出ることだけです。彼らの美しい夢を守るために、彼らが自分の醜さに気が付かないように、こっそり真実の芽をつみ取るのが私たちの仕事です。彼らが真実を携えた聖者を望まないのなら、彼らのかわりに殺してしまうのが私たちの仕事です。私たちは正しさの味方ではなく弱さの味方です。弱く醜く臆病なものたちのために楽園を提供するのです」

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