頭の上にミカンをのせる

マンガアニメ大好き兼業投資家の日記です

とりあえず性犯罪の件については2017年7月13日から「監護者性交等罪」(179条)の設置や「性犯罪の非親告罪化」(180条廃止)などが施行されていることを覚えておこう

news.yahoo.co.jp

ブコメには、これ読んでも論点がまだよくわからない、という人もいるみたいですね。

正直情報としては付け足すところあんまりないので「2017年7月13日から「監護者性交等罪」(179条)が設置されたり「性犯罪の非親告罪化」(180条の廃止)などが施行されている」というところだけ強調しておきます。


www.nhk.or.jp
www.bengo4.com
条文はこちら → http://www.moj.go.jp/content/001220246.pdf

一連の事件について、この件を知らずに発言してた人は、必ず読んでください。特にここが重要です。

今回改正された刑法には“附則”が付き、施行後3年を目途に、実態に即して見直しをすることが盛り込まれました。
性暴力被害者として発信を続けている山本さんは、その後、被害当事者による社団法人を立ち上げ、現場の声を施策決定の場に届けるべく、精力的に活動しています

日本の司法に問題があると考えているなら、この3年の間に、声を届けてくれる人に協力するという方向で考えてみてはいかがでしょうか。




どちらかというとこの記事では、こうした大事な問題についてコメントするときの態度について考えます。

とても好ましいなと思ったコメント

裁判所はなぜ、娘に性的虐待を続けていた父親を無罪としたのか(江川紹子) - 個人 - Yahoo!ニュース

準強制性効罪の基準に達しなかったのはわかった。一方で著しく人権侵害しているように見受けられるんだけど人権侵害したことに対する刑事罰はないのだろうか。他の罪での起訴を選択しなかった理由も知りたい。

2019/04/28 23:39

私はこういうコメントがとても健全な感覚だと思います。

不健全な感覚というのは「いやこれ読んでもダメだろって思うが。毎回抵抗してボコボコにされないとあかんのか」とか「被害があったのに無罪にした裁判官はダメだ」という感じの感情論だけでコメントしたり、それに対してスターを付けている人ですね。

別にわからずに発言するのは悪いことじゃないですが、わからんまま適当なコメントを書いて、何一つこのニュースから学ぼうとしないという人はどうかと思います。無知そのものは恥でもなんでもないけど、自分が無知であることに開き直って、あまつさえその無知の状態で他人を否定するようなコメントを書くのはさすがに恥ずかしいことだとか、じぶんがヒステリーを起こしているかもしれない、と疑えるようにしたいです。はてなでは一部のフェミニスト界隈の方がたが、そういう慎重さとは無縁なのでとてもよく目立ちますがそうでなくとも「自分が正しい」とか「相手が悪者だ」と思ってしまうとすぐに思考停止してよく知らないくせにいきなり人を断罪するムーブに入る人が結構います。好きなことならある程度何を言ってもいいけど、他人を批判したり攻撃するときくらいもうちょっと慎重になったほうがいいと思います。


それと比べたら引用したコメントはものすごく慎重に書かれています。私がよく「好ましい」例として書いている「自分がわかったところ」を述べたうえで、「まだわからないところがあるかも」ということでその部分を疑問として述べる、という形になっています。やっぱりはてなブックマークなどに毒されてすぎてない人は普通にこうできるよね。

www.tyoshiki.com
これは、「自分の意見と違うというだけで、よく知らなくても上から否定しにかかる」という人たちに致命的に欠けている姿勢だと思います。ネットに限らず自分が理解できたところだけで勝手に話を組み立てるという「察する力」が暴走してしまってる人が多い中、こういう慎重な姿勢の人はとても信頼できます。


実際、こういう風に書いてくれたら、わかってる人がフォローしやすいです。はてなって、喧嘩腰じゃなくてちゃんと質問したら、答えてくれる人が結構いる場所でもあります。もともと質問サービスから始まったところなので。でも、自分で結論を出してしまったり、さらに誰かを否定するようなことを書いたら何も帰ってきません。わからないとか納得できないというのは学びのチャンスでもあるので、一円の価値もないはてなスターを取るために過激なことを言うよりも、自分の学びのために、わかってるところとわからないところを整理して質問してもいいのではないでしょうか。(ほしい人のことは否定しない。はてなスターはなんだかんだうれしいですよね)コミュニケーションからギスギスを取り除き、とても円滑に情報交換ができるのはこういうしっかりした姿勢の人がいるからだと思いますね。


実際、今回の場合も上の質問に応えての発言かどうかはわかりませんが、ちゃんと疑問に回答してる人がいますね。

はてなブックマーク - 裁判所はなぜ、娘に性的虐待を続けていた父親を無罪としたのか(江川紹子) - 個人 - Yahoo!ニュース

本裁判は「第1事実及び第2事実が準強制性交罪足るか」という事しか判断されない。本当は監護者性交罪で一発だが18歳以前の行為は運悪く施行前。だからといって心証のみで別罪適用しろ言うんじゃ人民裁判だ。

2019/04/29 12:03


私はこんな感じで、ちゃんと質問と回答という形でコミュニケーションが成り立っているのをはてブで見ると嬉しい気持ちになります。
こういう感じのやりとりが増えたらもうちょっとコメント欄も面白くなるんじゃないかなーって思ってます。(大喜利とかもあって全然いいと思いますけどねw)
はてな運営はそのあたりもうちょっと考えて設計してくれませんかねマジでお願いしますよ。。。まさかはてブで完結したら「はてな質問」が商売あがったりとか考えてるわけじゃないよね?




はてなブックマークで回答がない場合、その疑問についてググってみるのもよいでしょう。ググったらこういう記事が出てきます。

www.nikkei.com
togetter.com

こういう法律や金融関係など専門性が高い話題の時に参考にすべきは、「はてブの素人が何言ってるか」じゃないです。まずは専門家が何を言ってるかです。さらに言うと弁護士といってもWさんのように偏った意見の人もいるので数人確認する人がいるといいですね。間違っても、自分の感覚で判断して、それをそのまま吐き出して満足ってならないようにしたいです。


さて、こちらでは以下のような解説がされています。

岡崎支部のケースでも,同様の悩みがあったのかもしれない。18歳以前に被害を受けていたことは疑いないとしても,特定の被害を取り出して起訴状に書き込むことが難しかったのかもしれない。こういった場合,いちばん立証しやすいのは直近の被害。しかし岡崎支部のケースでは,直近の被害は18歳になった後のものだから,児童福祉法違反は適用できない。そうなると,使えるのは準強制性交しかない。抗拒不能のハードルが高いことは分かっていても,他に手段がなかった可能性がある。

というわけで今回は改正前177条でも児童福祉法でもなく178条を採用したことがわかります。だからこそ「抗拒不能」が問題になったことがわかります。

ここまできたらちょっと印象変わったという人もいるのではないでしょうか。


なので、江川さんの記事を読んで、今度は「検察が無能だったんだな」という単純な理解に帰結してしまう人もいそうなのですがそれはそれで乱暴だと思います。今回の件は以前の尊属殺の概念のように「刑法における不備(旧弊)」が存在し、現在「刑法の不備が修正されつつある過渡期」における裁判であり、検察も裁判官も判断が難しかった、と理解するのが良いかと思います。そこまで把握したうえで、感想を述べるなら意見が変わってくる人もいるんじゃないかと思います。


「いやいや、そもそも準強制性行について性的暴行の事実があるのに抗拒不能のハードルが高いこと自体が理不尽だ」という意見もあると思います。これについては以下の記事が参考になりますね。
anond.hatelabo.jp

・予備的訴因というものが認められているし、必要なら訴因変更もできるわけですよね。別に一発勝負というわけではないので被告人の人権を侵害しない範囲で訴因を変更するなり追加するなりすればよいのでは


追記:178条に関する過去判例を確認すると、多くの場合で「抗拒不能」についてはそれなりに合理的な判断がなされている印象です。
準強姦罪・準強制わいせつ罪における抗拒不能に関する裁判例
警察はいつ、香西咲さんを抗拒不能におちいらせた性犯罪者たちを準強姦罪、または強姦罪で逮捕するのでしょうか。国民は害虫の捕獲を心待ちにしています | 香西咲さんを勝手に応援するブログ

なので、本当にハードルが高すぎるのかどうかというのも重要ですね。本来であれば、178条でも抗拒不能は認められていたのかもしれません。その上で、やはり録画された状況において、検察の立証のためのプロセスに問題があったことが大きな原因とみるべきかもしれません。

www.bengo4.com
とはいえ、こちらのページでは複数の弁護士が、抗拒絶不能についてはかなり説得力がないと「合理的な疑い」を排しえないと考えているようです。




ちなみに、このtogetterまとめ見てる人はだいたい江川さんの記事では慎重なコメントしてますけど、どっちを読んでも全く意見変わらないで感情論述べてるだけの人たちは「いつものメンツ」だなぁって印象ですね。
fut573.com
2つのページのはてブコメントを比較するツール | はてなスターウォーズに勝ち残るためのツールその27


いずれにせよ、はてなの人たちが批判している国の人たちは、はてなの人たちよりよほど真剣にこの問題について議論して改定を行っていることだけは間違いない

上の安孫子弁護士は、検察や裁判官を皮肉るためにはてブなどで「中世〇ャップランド」みたいな言葉を使う人にもくぎを刺しています。

今回の一件は,無罪になったケースが出たというだけで,いま被害を受けている子どもたちが訴えても必ず無罪になるということではまったくない。あなたが発信した不用意なツイートが,加害者を通じて,今晩にでも被害を受けている子どもたちに届けられるかもしれない。その罪深さをよく認識してほしい

自分たちが正義ぶるために、結果として実際の被害者をより苦しめるようなことをしてることに自覚がない人がたくさんいる。自己満足で、自分だけ正義のために憤ってますってポーズをとるためだけにしょうもないことを言うくらいならほんとに黙っててほしい。




余談ですが、今回の改正で性犯罪の被害者は女性だけでなく男性も明確に被害者たりうると認められるようになりました。今までは男性は強〇の被害にあっても加害者には刑法が適用されなかったわけです。もういい加減性犯罪の世界でも「女性が男性に一方的に虐げられている」という単純化した図式で物事を論じることが成り立たなくなってます。女性の上司による男性へのセクハラは今でもたまに見かけますが結局問題なのは「強い立場」の人間が「弱い立場」の人間を虐げることだと思う。男女の区別に意識が偏りすぎてる人はもうちょっと冷静になってほしい。

www.tyoshiki.com


令和を迎えるにあたり、GW中に「虚構推理」読んでおきましょう!

改めて思うけど、もはやこういった話題の時のはてなブックマークは、江川さんのようなちゃんとしたジャーナリストが出てくるまでは、無責任な人が声の大きさを争う状態になっている。「虚構推理」で皮肉たっぷりに描かれた光景そのものだ。

虚構推理(5) (月刊少年マガジンコミックス)

虚構推理(5) (月刊少年マガジンコミックス)

今回の件で、序盤の段階で「よくわからず裁判官たたきに参加してしまった」とか、今でも「でも父親は悪いよね?なんで有罪にならないの?」がわかってない人は、GW中にこの漫画をぜひ読んでみてほしいと思います。なにか事件があったとして、ネットの観衆にすぎない自分たちがどういう立ち位置にあるのか、この漫画を読めばイメージが理解できると思います。